おはようございます。

予備校「英語」講師の西です。

 

いつもありがとうございます。

 

私はこれまで塾・予備校の先生として30年近くお仕事をさせていただいておりますが、ものすごく頑張って勉強している生徒を数多く見てきました。朝は9時から自習室に来て、昼・夜の分のお弁当を作ってもらって、夜は10時近くまで勉強している生徒は一人二人ではありません。一人の行動が周りにも影響を及ぼし、お互いが切磋琢磨している状況が教室のあちこちで見られます

 

もう20年近く前の話ですが、ある小学5年生のお子様でした。

本が大好きで、毎日毎日塾に来ては本を読んでいました。

 

「1日に何冊読むの?」と聞くと、

「10冊くらいかな!」と笑顔で答えてくれました。

 

しかし、・・・。

 

 国語の成績が低いのはなぜ?

 

しかし、これだけ本を読んでいても、国語の成績が低いのです。

それが本人だけでなく親御さんの悩みでもありました。

 

一般的に「国語の成績が悪ければ、本を読みなさい」という指導をされている方が多いようです。果たして、効果があるのでしょうか?

 

実は、私も同じで、母親の影響を受けて小5から本格的に読書人生を歩み始めました。

高校生の時には「1年間で読むべき100の本」のリストを渡され、私は8か月程度ですえて読破しました。そんな私ですが、高3での国語の偏差値は30(ちなみに、英語は70近くありました)でした。国語の模試を解いているとき、そこに書かれていた小説の内容が自分の置かれている環境とそっくりで、泣いてしまって解けなかったのを覚えています。

 

 

あれだけたくさんの本を読んでいたあの生徒、そして、私は、なぜ国語の成績が低かったのでしょうか?

 

それは、・・・

 

 

 努力の方向が間違っていたから

 

実は、努力の方向(しかた、方法)が間違っていたからです。

私たちは読書好きなので、他の生徒と比べると、本を読むスピードも速く、知識も豊富で、漢字も読めるだけでなく、語彙力も圧倒的に多かったです。作文を書かせると必ず先生から褒められました。私などは、「作文の何が難しいのか分からへん」という感じでした。書くアイデアがどんどん生まれます。

 

しかし、私の場合は、「国語の問題を解く練習」をほとんどしてこなかったのです。それは、「日本語で書かれてるんやから、読んだらわかるやん」と思っていたからです。「国語なんて勉強してもしゃーない」というのが本心でした。

 

つまり、点数を取るための練習をする努力をしなかったのです。

 

さすがに大学受験を迎えた直前に不安になって、冬期講習のみ予備校に通いました。英語は一番上のクラスを受講し、現代文は一番下のクラスを受講しました。この「一番下のクラス」が私にはピッタリで、「へえ」「ほお」「そうなんや」と毎回感動しました。初めて現代文の解き方が分かったからです。

 

 

 例の小学生はどうなった?

読書ばかりをしていて、国語の点数が上がらなかったあの子は、実は大学受験の勉強で驚くべき成果を発揮していました。

 

それは、「多少単語が分からなくても長文の内容がほぼ正確に言え」たのです。それは、「読書を通じて背景知識が豊富であった」からです。そのため、少し読んだだけで、「これは・・・という話ですよね」となるわけです。

 

普段から本を読んでいるから、実は単語を覚えるのも「単語の意味」ではなく、「例文で意味を覚える」ことができるようになっていました。この子にとっては「流れ(ストーリー)で覚えたほうが記憶に残りやすい」のです。