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いいことおもいついた!

ブックスルーエでは5月と6月の2ヶ月間、美術家ミヤケマイさんのフェアを行います。
新しい作品集『蝙蝠』(※正式名称は「蝙蝠」を上下反転させたものです)のサンプル展示、及び予約注文を募ります。納品、お渡しは期間終了後となります。
 

作品集というより、ミヤケさんの作品そのものと言えそうです。
価格は35000円+消費税です。
高いとおもうかもしれませんが、現物を見ると納得できます。
私は過日、銀座の森岡書店さんで拝見して眩暈をおぼえました。
本にこんなことができるのか、と。
そしてこのようなものの販売に尽力することができたら、どんなに素晴らしいか、と。
どうでもいい情報ですが、私は学生のときに将来就きたい職業として学芸員を夢見ていたころがありました。
芸術(美術)に携わりたい気持ちは書店員となった今でも強くあり、今がそれを果たせる機会の一つなのではないかとおもい内心興奮しております。
 

『蝙蝠』とはこのようなものです。ミヤケさんの事務所が用意してくださったものから引きます。
 

ミヤケマイという現代アートのアーティストがこの度4冊目の画集を刊行いたしました。昨今書籍が電子化され、ネットなどからの情報収集がデフォルトとなった今、本の存在意義を考え、所有する欲望を刺激するもの、物質としての本の存在を信じ、本好きの有志が手弁当で(編集バッハの幅さん、山口さん、紙平和紙業の西谷さん、製本篠原紙工さんデザイン日下さん赤波江さん、岩橋さん)で製作いたしました。
ミヤケは媒体を限定しない作品を発表していて、昨今の旧来のメディアムによる安直で乱暴なジャンルわけに無意識にも意識的にも逆らい、工芸的な素材から紙、ガラス、鉄、木や最先端の有機 EL、人工知能まで自分の表現のメディアとして並列に配し表現へと昇華しています。今回は本を一つのメディアムとしてとらえ、その一筋縄では捉えにくい活動範囲を6冊(うち中に入る4冊は”内蔵”のようにつくり)あたかも本を身体化する造作になりました。一冊ごとにミヤケの活動のカテゴリーでまとめ、計6册組で一つの画集というていになってます。
構成
① チャコールグレーの表紙:在処 Time + Place 
一番上の一冊 身体に見立て他時の位置づけ(お腹の皮)
過去3冊の作品集にあまり収録してこなかった、過去から今年までの主に美術館などでのインスタレーション作品を収録。
②青色I型:残像 Backbone  
身体に見立てた時の位置づけ位置づけ(背骨)
日本画系の作品を収録。
③深緑L字型:余白 Nameless 
身体に見立てた時の位置づけ位置づけ(背骨)
空間および建築関連の作品を収録
④肌色の横位置I字型:品 Things  
身体に見立てた時の位置づけ(頭)
主に美術館や企業と共に作ったプロダクト作品
⑤白表紙:詞 More Than Words
身体に見立てた時の位置づけ(心臓)
詩・小説・論説・エッセイ等収録。
ポケット聖書のような判型は、持ち歩き読んでもらえるようにコンパクトで軽いサイズに、こちらだけ見返しは表と裏が同色でありながら、触った時の触感の差にこだわっております。
⑥ピンク表紙:言葉 Auxiliary Line 
身体に見立てた時の位置づけ(背中の皮)
この作品集の編集者 幅允孝さん選出の、多岐にわたって活動されている作家(蝙蝠)を中心に(椿昇氏(現代美術家)、東直子氏(歌人/小説家)、木村宗慎氏(茶道家)、内田鋼一氏(陶芸家))との対談・寄稿を収録
作品集タイトル「蝙蝠」は文字が逆になっています。誤植ではなく、あっちにいけば鳥といわれ、こちらにいけば動物といわれる一見、どちらにも属しかつ夜も自由に飛べる蝙蝠の、裏を返せばどこにも属してはいない、孤独を表して言います。蝙蝠は通常天井から逆さまにぶら下がる姿と、中国や日本で蝙蝠は福という字がはいっていることからお目出度い存在とされていること(また中国では福をひっくり返すとお目出度いという風習とも)重ね合わせ、ミヤケの作品にも通じる、意味やシンボリズムを多重構造にしています。
メインタイトル蝙蝠と対になるように反対側に鉤括弧の形になるように各表紙に各章のサブタイトルが印字されています。
文字で「 」(かっこ)はその人間の発言を入れる場所です。
世界から何を独自のアングルできり出すかということが美術家の仕事であることからのデザインになってます。本の見返し、本文の紙も全てその章のコンセプトを反映し、全て違う紙を使用してます。
 

ミヤケさんのプロフィールも引きます。
 

ミヤケマイ
日本の伝統的な美術や工芸の繊細さや奥深さに独自のエスプリを加え、過去・現在・未来をシームレスにつなげながら、物事の本質や表現の普遍性を問い続ける美術家。一貫したたおやかな作風でありながら、鑑賞者の既成の価値観をゆさぶり、潜在意識に働き掛ける様な作品で高い評価を得る。斬新でありながら懐かしさを感じさせるタイムレスな作品は、様々なシンボルや物語が、多重構造で鑑賞者との間に独特な空間を産み出す。媒体を問わない表現方法を用いて骨董・工芸・現代美術・デザインなど、既存の狭苦しい区分を飛び越え、日本美術の文脈を独自の解釈とユーモアで伝統と革新の間を天衣無縫に往還。
主要なコレクション展示
OPAM 森美術館、水戸芸術館、ポーラ美術館、世田谷美術館、
銀座エルメス、TOTO、モアツリーズ、ビームス、慶應義塾大学
 

http://www.maimiyake.com
 

ミヤケさんのフェア開催の時期がB&Bさんとおもいきりかぶってますが、下北沢にも吉祥寺にもミヤケさんのコーナーがあったらおもしろかろう、とおもったからです。(一方的にこちらがおもしろがって開催を急いだんですが…。B&Bさん、おもしろくなかったらごめんなさい)