こんばんは!


西尾で読書会。の宮子京(みやこ けい)です。


さて、今週の12月8日には太平洋戦争開戦の年から数えて80年目を迎えました。


今なお地球上に数え切れぬ爪痕を残す戦争の惨禍を語り継ぐ「語り部」が今後減っていくことが危惧される昨今、


西尾で読書会。の主宰として、戦争の惨禍を読み繋ぐ一冊を今晩、ご紹介させていただきます。


その一冊とは、


野坂昭如『アメリカひじき』新潮社、1968年


です。(※文庫版『火垂るの墓』に収録)


私は、高校中退後に通った予備校時代の頃に、「牧師でありながら古文の講師」を務めておられた恩師が主宰する読書会に出入りしておりました。


当時は、その後ひょんなきっかけで10年以上にわたって自分が読書を嗜むようになるとは思わず、なんとなく興味関心が湧いて読書会に参加しておりました。


恩師が、時代背景を解説しながら参加者全員(職員さんを含めて総勢10人くらいだったか?)で、一冊の本を読み深めるという読書会でした。


読書会のとある回の時に参加者全員で読み深めた一冊が、この野坂昭如氏の本だったのです。


ここまでの件を、最近の朝の連続テレビドラマ小説の「カムカムエヴリバディ」を観ていて、ふと思い出しました。


話は少し脇道にそれるのですが、ヒロイン役の上白石さんを(君の名は。の出演時から)応援している私にとっては、


(心の声)「上白石さん、この作品では英語のセリフを喋っとる〜!カッコいい!」


心の中のワクワク感を三河弁(愛知県の三河部の方言)で膨らましておりました。


なんだか話が、かなり脱線しそうなので再び本題に戻ります。


太平洋戦争の時代を生き抜いた肉親から直接話を聴くチャンスは、自分も肉親も年老いていく中、お互いの命の砂時計の残りが幾ばくかと考えてしまいます。


直近の世界情勢を見ていても、もはやいつどこで戦争の火種が生まれてもおかしくないような国家間の摩擦係数の高まりをも感じます。


今後の日本の国際的な役割は「戦争は、絶対にダメだ」とハッキリ言い切れる国になることです。


そのためにも、国民の間で、戦争の根絶について、語り繋ぎ、書き繋ぎ、読み繋いでいく必要があると思います。


そうして、世代を超えて、平和の大切さに対する共通認識を育んでいくことが、将来の私たちの子孫に対する贈り物の一つにもなり得ます。


その時に、手に取りやすい一冊を考えると、私も恩師に倣って野坂昭如氏の一冊を「読み繋いで」いこうと考えます。


現状では、日本とアメリカの立場の関係性は一言にまとめると「不平等」です。


野坂氏が、この「アメリカひじき」を発表した当時(1968年)から、すでに国家間の関係性に歪みがあったことがニュアンス的に窺えます。


この作品では、戦後の日本に主人公の妻の友人であるアメリカ人夫妻が訪日をして、その当時のアメリカに対する鬱屈した気持ちを描き出しています。


現状で、私には「書き物をする」という社会的な役目があって、また「読書会の主宰」という立場もあります。


今日時点での私にできることは、「戦争の根絶」を社会に向かって発信することです。


現段階では、「日本が唯一の被爆国」という視点だけではなく、アメリカ側が受けた「真珠湾攻撃による犠牲者」についても、双方の被害について学んでいくことが、大切だと考えられます。


世の中から戦争の「惨禍」がなくなると同時に、生命の「讃歌」が連綿と紡がれるようになった時が、本当の意味での平和の達成なのだと思います。




微力ではありますが、愛知県西尾市から、平和の祈りを捧げます。


それでは、また次回!