「いっぱいになりましたね!では行きましょう」

籠を持って颯爽と歩くイタチの後について行った。

イタチはまた歌い出す。

♪やらかい新芽はやらかい心♪
♪やらかい心はなんでも見える♪
♪やらかい心はどこでも行ける♪

公園の草むらの中をズンズン進むと
広場があり、そこには学校の体育館のような建物があった。

「え〜⁈うそ。こんな所に⁇」

後ろを振り返ると、今来た場所には
こんもりと草が山のように茂っていた。

どういうこと?

その時

「あつこ〜」と

聞き覚えのある声が私を呼んだ。

「あっ、おばあちゃん!」

「ちょっとこっち来て手伝っておくれ」

体育館に入ると青いビニールシートが敷かれ
可愛らしい子どものイタチが向かい合って二列に並んでいた。

その間にはよもぎの葉っぱの山。

それぞれの前には大きな籠と小さな籠が置かれている。

近寄ると
♪やらかい葉っぱはやらかい心♪
♪硬い葉っぱは頑固者♪

と歌いながら新芽は大きな籠に、硬い葉っぱは小さな籠へとよもぎの葉をより分けていた。

〝新芽〟より〝葉っぱ〟の方が言いやすいよね、なんて揚げ足を取りながら奥に進む。

体育館の倉庫に当たる場所は給食室のようになっていて、そこでは大きなお鍋がいくつか並びグラグラとお湯が沸いていた。

お母さんイタチ達がよもぎを投入して茹でていく。さっき子どもたちが分けていたものだ。

隣りではお父さんたちが水にさらして
細かく刻んでいた。

別の場所では若いイタチ(なのかがもはやよく分からないけれど)が蒸し上がったもち米を突きながら刻んだよもぎを混ぜていた。

「おばあさま〜手が空きました。何かお手伝いありますか?」

仕分けをしていた子どもイタチのリーダーがやって来た。

「ああ、じゃあ次はこしあんを丸めとくれ」

「はい!」

わらわらと子どもたちが隣りの部屋に入っていった。

後ろからは大きな袋を担いだイタチが
「ちわー。きな粉どこに置きましょう?」

「おおきにね。あの部屋へお願いします。助かるわ」


どうもおばあちゃんはここを仕切っているようだった。