「洗剤とパン、袋をお分けしますか?」
ワカメちゃんを彷彿とさせるおかっぱ頭の店員さんが言った。
「いえ、選挙のついでに、洗剤がないから洗濯出来なくて買いに来て、あとは帰るだけですから」
そう答えて支払いを済ませる。
何をイメージしたのか不思議でならない
ちょっと力の抜ける機械音。
返されたカードを小銭入れのサイドポケットに戻した。
箱入りの洗濯洗剤と数個の菓子パンの入った袋をカウンター越しに渡す時、
コンビニエンスストアでは私にとって
初めての言葉をかけられた。
「おつかれさまでした♡」
マニュアルにその言葉を使う場面設定があったとしても、投票帰りの中年女性は想定外だと思う。
労いはしても労われるのは圧倒的に少ない主婦。
20数年を経た今では、主婦とは自分の言葉で家族にバリアを張って安全をキープしているのだから、別にそれはそれでいいと思っている。
それは諦めに似てはいるけれど非なる感覚だ。
だからこそ思いがけない場所で
発した人の人間性のこもったねぎらいの言葉を貰うと、しなびかけていたレタスに鮮度が戻る感覚が自分のどこかで感じられるのだ。
それだけで、今日一日が満ち足りた気分で過ごせるだろう。
コンビニのお姉さん
ありがとう♡