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2024年に「二幕モノ」はキツイ

 
ミュージカル『えんとつ町のプペル』のニューヨーク版の制作で、2〜3日前からニューヨーク生活を送っております。
 
昨日はミュージカル『えんとつ町のプペル』のニューヨーク版のプロデューサーとディレクターと作曲家とスタジオに籠って、『えんとつ町のプペル』のことを掘り下げる時間がありました。
 
このあたりのエグい話はオンラインサロンの方で赤裸々に語っておりますので、興味がある方は是非オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に参加してください。
 
さてさて。
 
背伸びをして、ニューヨークでミュージカルなんかを作っておりますと、「やっぱ、ブロードウェイは盛り上がってるんですか?」というザックリとした質問をいただくことが少なくありません。
 
数字の話をすると、ブロードウェイには客席が500席以上の『ブロードウェイ劇場』が41館、客席が500以下の『オフ・ブロードウェイ劇場』が90館近くありまして、これらの劇場がほぼ1ヵ所に集中しています。
 
なので、まぁ、街は賑やかです。
 
チケットは1階の普通席だと140ドル〜150ドル(約2万2000円)ぐらいで、高い席だと3万〜4万円する席もあります。
 
「ウン千円で観られる」ということはなかなか無いので、それもあって、盛り上がっているように思われるブロードウェイの客席にも「高齢化」の波は確実に来ています。
 
この「客席の高齢化待った無し」現象は(ジャニーズJr.の皆さんや2.5次元の皆さんの舞台は除いて)日本の演劇・ミュージカル業界でも起きています。
 
当然、日本のクリエイターの目にも、ブロードウェイのクリエイターの目にもこの問題は入っておりまして、「若いお客さん」が取れていない原因について、そこかしこで喧々諤々した会議がおこなわれているわけですが、業界人は大体みんな「チケット代が高いから」と言うんです。
 
ただ、僕みたいなド素人(世の中の誰よりもエンタメを観に行っている男)から言わせると「チケット代」の問題も勿論ありますが、それ以上に「長い」んです。
 
これ、演劇・ミュージカル関係者さんも聴かれていると思うので、どうか耳を傾けてください。
 
「おもろい・おもんない」の前に「長い」です。
 
今の演劇やミュージカルって、YouTubeとかTikTokとかNetflixとかアレやコレやがなかった20年前ぐらいの時間軸のまま進んでいるんです。
 
いつも舞台屋は「二幕あって当たり前でしょ」「それが演劇でしょ!」ぐらいの圧で迫ってくるんですけど、よっぽどのコアファンじゃない限り、2024年に「二幕モノ」はキツイっす!
 
「この長さに耐えられないヤツらは観なくてイイ!」と言うのであれば、それならもう「コアファン相手に一生やっておいてください」というだけなので、これ以上お話しすることもありませんが、もし、「コアファンにも喜んでもらいたいし、コアファン以外にも届けたい。届けなきゃいけない」という課題意識を少しでも持たれているのであれば、とにもかくにも、あの「長さ」をなんとかしてください。
 
ちなみに言っておきますが、僕が好きで好きで何度も観に行っている舞台は「二幕モノ」が多いです。
 
ですが、それは僕がコアファンだから、その時間を受け止められているだけの話で、今の時代に、Netflixを捨てて、Amazonプライムを捨てて、YouTubeを捨てて、TikTokやインスタライブを捨てて、生まれて初めて観に行った舞台が3時間を超えていたら、僕は、もう二度と舞台を観に行かないです。
 
 

やることで溢れている今の時代は「長ければ長いほど高い」

 
これは以前もお話ししましたが、モノの価値って、時代によって変動するんです。
 
戦後まもなくモノが少なかった時代は、モノを手に入れることにお金が払われたんです。
 
ですが、モノで溢れた現代は「こんまりサン」に代表されるように「上手にモノを捨てる方法」にお金が払われるんです。
 
戦後は食料にお金が払われたけど、今はダイエットにお金が払われているんです。
 
他にやることがない時代は、持て余した時間を埋めてくれる長いエンタメにお金が払われ、長ければ長いほど「お買い得」という考えでしたが、やることで溢れている時代は「時短」にお金が払われるので、むしろ「長ければ長いほど高い」んです。
 
極端に言うと、「1万円払って4時間も楽しめてラッキー」というのが高齢者の思考で、「1万円払った上に、4時間も奪われるのかよ」というのが今の人の思考です。
 
一生懸命お金を貯めて旅行で東京やニューヨークまで行って、いろいろ観光したいのに、舞台に3時間も4時間も奪われた日にゃたまったもんじゃない。
 
他をまわれないじゃない。
 
地元・東京、地元・ニューヨークの「いつでも行けま~す」という金持ちはいいかもしれませんが、兵庫県川西市の人間からすると、東京なんて一世一代の大勝負で、このタイミングで東京タワーに登らないと、下手すりゃ自分の人生で東京タワーに登るタイミングなんてやってこないかもしれない。
 
舞台屋は、あらためて「時間」について考えた方がいいと思います。
 
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は90分〜100分の一幕モノです。
 
公演終わりは是非是非、横浜の中華街でご飯を食べてください。 
 
 
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