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「1ドル=200円になる前提で動いておかないと…」おっしゃる通りだと思います

 
トランプ大統領候補が銃で撃たれてガッツポーズを決めた時、僕はちょうどアメリカにいたのですが、その場にいたアメリカ人が全員「これはトランプで決まりだな」という話をしていました。
 
あれはバイデン大統領が撤退を表明する前で(ボケ倒していて)、「大丈夫なの、このお爺ちゃん?」となっていた時だったので、「悪に屈しない強いトランプ」がより鮮明に映ったんですね。
 
そんなこんなでトランプ大統領の誕生(復活)が、ほぼ確定となったアメリカ大統領選ですが、今、「トランプになると円安が加速して、1ドル=180円、いや、1ドル=200円になるんじゃないか?」と、まことしやかに囁かれております。
 
昨日、オンラインサロンの中で、この話題に触れたのですが、うちのサロンは経営者が多いのでコメント欄も面白いんです。
 
その中で、「トランプが当選して、1ドル=200円になるかどうかは分からないけれど、1ドル=200円になる前提で動いておかないと死ぬよね」とコメントされていて、おっしゃる通りだと思いました。
 
経営者は常に「最悪」を想定しておく必要がある。
 
 

「キャストで集客」のアプローチにはいくつかの懸念が

 
さて。
 
ここで日本のミュージカル業界のお話をさせていただきます。
 
日本のミュージカル業界は、近年「輸入に頼らない国産のミュージカル」を掲げる動きが見られます。
 
アニメ作品などがミュージカル化されたりしています。
 
しかし、現実には多くの公演が海外のメジャータイトルに依存しておりまして、つまるところ海外のクリエイターや技術、資材に依存しており、円安などの経済的な変動がモロに影響を与えるリスクがある。
 
円安が進行すると、外国からのライセンス料や輸入品のコストが上昇して、日本での公演費用が爆上がりする可能性があります。
 
これにより、チケット価格が上がったり、プロダクションの質を維持するためのコスト削減が必要となることがあります。
 
ちょっと前だと、ミュージカル『ムーラン・ルージュ』のチケット代が炎上していました。
 
たしか「1万7500円」とか。
 
話を聞けば、嘘か誠か、今、日本でやっているミュージカル『ムーラン・ルージュ』はコスト削減の為に「韓国公演と美術セットを併用」という話もあって、そうまでしてでもコスト削減に努めているもののチケット代が1万7500円になってしまっている(ならざるをえない)。
 
さすがにこれでは首が回らないので、「輸入に頼らない」「国産で行くぞ」と旗を振るわけですが、国産作品になってくると、今度は「人気アイドル」を主演に起用するケースが多く見られます。
 
言うまでもなく、これは、「キャスト目当ての観客」を集めるための施策ですが、このアプローチにはいくつかの懸念があります。
 
人気アイドルの実力が申し分なければ最高なんですけども、そうとは限らないケースもあって、作品そのものの質や魅力が二の次になってしまうことがある。
 
その時、「初めてミュージカルを観にきたけど、あれ?ミュージカルって、こんなもんか」という感想を持つ人を生んでしまう。
 
これは、なかなか耳の痛い話で、日本だと「演技派女優」という言葉がありますが、そもそもそれって「演技が苦手な女優」がいるから生まれる言葉でして。
 
「走れる系ランナー」とか「筋肉ある系ボディービルダー」という言葉が存在しないのは、「走れないランナー」や「筋肉のないボディビルダー」がいないからで、「演技派女優」という言葉が生まれてしまっている「演技が苦手な女優が生きれる業界」は、そもそも健康的じゃない。
 
だけど、「そこに頼らないと客席が埋まらない」というのがあるので、個人の人気に依存するわけですが、キャストで集客してしまうとキャストのファンが客席を埋めて、「作品自体の評価や認知度が高まらない」という新しい問題が出てくる。
 
あと、これは以前、Bリーグの『ニシノコンサル』(@YouTube)で話しましたが、キャストで集客することを当たり前にしてしまうと、スタッフの会話・思考が「集客できるキャストを探せー」になっちゃうんですね。
 
これは危険信号です。
 
 

日本のミュージカル業界に必要なのは…

 
結論、「海外に依存してちゃ先がないし、キャスト個人に依存しても先がない」という話なので、日本のミュージカル業界は「円安」や「輸入」依存のリスクに対処しつつ、「アイドル」依存のリスクに対応しつつ、作品そのものの力を育てることが、今後の成長と持続可能な発展に向けて必要なんだと思います。
 
さっきから偉そうに語っておりますが、何も自分のことを棚に上げて話しているわけではありません。
 
ミュージカル『えんとつ町のプペル』は最初からこの問題と向き合っていて(ここまでの円安は想定外でしたが)、とにかく日本で作品を固めて、ニューヨークでリーディング公演を繰り返して、投資家を集めて、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の為の会社を作って、「ライセンス使用料を日本から払う」のではなくて、「ライセンス使用料をアメリカから貰う」というところ(契約)まで話を進めております。
 
僕らは大きな事務所にバックアップされているわけでもないから、ここにくるまでも本当に大変だったのですが、その分、知見はたまったので、これから色々と情報共有していこうと思います。
 
 
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