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https://voicy.jp/channel/941/658759

 

 
 

投資家向けの公演、スタッフが口を揃えて「作り切らない方がいい」と言う理由

 
ニューヨークでミュージカル『えんとつ町のプペル』のクリエイティブが続いております。
 
1月に投資家向けの公演があって、そのやり方が少しユニークなので、ちょっとだけ共有させていただくと、当初、僕らはニューヨークの投資家にカマしてやろうと思って、美術も照明もできる限り最大出力で臨もうと思っていたのですが、コッチのスタッフが結構口を揃えて「作り切らない方がいい」と言うんです。
 
曰く、「投資家は想像したい」と。
 
なので、小説のように「想像できる余白」を残しておかないといけないそうです。
 
おそらく、コッチで作りきってしまうと、「僕らがクリエイティブを全部やったので、あなた方はお金だけ出して」という風に見えてしまうのかもしれません。
 
それだと投資家は面白くない。
 
なので、「俺だったら、このシーンは、こうする」と想像できる余白が必要なんだと思います。
 
なので、1月の投資家向けの公演は美術セットも組まなければ、衣装も用意しません。
 
とはいえ、『えんとつ町のプペル』は地上から、地下から、煙突の上から、星空まで、様々な場所に移動するので、「投資家が想像する際の後押しとなるような照明はあった方が良い」という話になり、今回のクリエイティブ合宿から、イジツさんに参加していただいております。
 
ご存知、『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』を仕掛けたコンビです。
 
お忙しい中、わざわざ日本から来ていただきました。
 
 

ブロードウェイ戦に必要な「兵站」とは

 
さて。
 
そんな感じでジワジワと話を進めているブロードウェイ戦ですが、今日は「ブロードウェイで戦う上で押さえておかないといけないこと」についてお話しさせていただきたいと思います。
 
「いやいや、私、ブロードウェイで戦う予定無いんですけど」という人がほとんどだと思うのですが、「知らないことを知る楽しさ」を知って、酒場の話のネタに使ってください。
 
これは何年か前にオンラインサロンのメンバーさんに話したことなんですけども、昔の戦争って戦地の指揮官の采配とか軍隊の士気、そもそもの兵力、『信長の野望』や『三国志』といったゲームで育った人からするとお馴染みの『兵糧』が戦の勝敗を決めていたんですけども、第2次世界大戦あたりから、必要な物資と兵隊を戦地に送り続けることができる国が勝つようになったんです。
 
要するに、戦争は「現地決戦」から「補給戦」になったわけですね。
 
戦に必要なモノを生産して、現地に送り続ける、この一連の動き(仕組み?)のことを「兵站(へいたん)」と呼んだりします。
 
自分達はブロードウェイに仕掛けに来ているわけですが、まさか一発でスパーンとは決まらないんです。
 
チームメンバーを揃えるのも本当に苦労したし、心が通じるまでにもメチャクチャ時間がかかったし、日本語の脚本を英語に直すのも、実は2〜3回失敗してるんです。
 
1回目は、ほぼ直訳に近いモノだったんですけども、それだと伝わらなくて…でもだからといって翻訳家に任せきってしまうとハチャメチャなものが出来上がってしまう。
 
なので、翻訳(アダプト)してくださるスタッフと何度も何度も飲みに行って、意見を交換して、それだけの合宿をして、ナンジャカンジャで10ヶ月ぐらいかかって、ブロードウェイ版の脚本が完成しました。
 
泣けるぐらいトライ&エラーの連続で、その都度、ニューヨークに飛んだわけですが、これをやる為に必要なのは「しぶとさ」と「兵站」なんです。
 
メチャクチャ生々しい話をすると現地で使うお金を日本から送り続けなきゃいけない。
 
現地で使うお金を日本で作り続けなきゃいけない。
 
昔の戦争みたいに「現地決戦」の感じで臨んでしまうと、1回失敗したら、もう終わりなんです。
 
だけど、1回で決め切ることは、ほぼほぼ不可能です。
 
 

ユニクロは17年間赤字を出し続けても...

 
昨日、NYのスタッフから聞いた話なんですけど、ユニクロが北米進出したのって2005年なんですけども、去年、初めて黒字化したんですって。
 
17年間赤字を出し続けて、ようやくです。
 
つまり、ユニクロには17年間赤字を出し続けても耐えられる体力があった。
 
ここでもやっぱり「兵站」なんです。
 
過去、ブロードウェイに挑戦したカンパニーはたくさんあったのですが、1〜2回チャレンジして、断念しているんですね。
 
彼らにも「しぶとさ」はあったかもしれません。
 
強い気持ちもあったかもしれない。
 
だけど「兵站」の設計がもしかすると甘かったかもしれない。
 
「現地決戦」で勝負を決めようとしていて、「補給戦」前提でやれてなかったかもしれない。
 
まとめると、「日本で予算を作り続けて、現地に送り続ける」というのがブロードウェイ戦では大事っぽいです…という話です。
 
 

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