(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)

https://voicy.jp/channel/941/657673

 

 

 

「共感をとるか? 創造をとるか?」という話

 
今日の話のエビデンスは「西野亮廣の勘」なので、決して鵜呑みにはせず、話半分で聞いてください。
 
「今、こんなことを考えていて、この先、こうなるような気がしています」というだけの話です。
 
僕はよく「共感」と「創造」の話をします。
 
「共感をとるか? 創造をとるか?」という話です。
 
圧倒的な創造が共感を生むことは稀にありますが、それは本当に「創造」で突き抜けた時のレアケースで、情報を発信する側からすると、「共感」と「創造」が共存することってあまり無いんです。
 
「共感」を取りにいっちゃうと、「多数を取りに行く」ということだから、どうしても、そういったコンテンツに寄ってしまう。
 
極端な例で言うと「不倫した芸能人に一言物申す動画」とか。
 
たしかに再生回数は回るのですが、そこに「創造」は無くて、それが資産となって5年後に爆発する…みたいなことはあまりない。
 
一方で「創造」に振ると、多くの人は「他人のクリエイティブなんて知ったこっちゃない」が本音なので、再生回数やら閲覧数がガクンと下がっちゃう。
 
「好きな人は好き」という、極めて身内っぽい人達からの共感を集めて、そこからは伸びない。
 
 

『映画 えんとつ町のプペル』の約200万人動員は「創造」の力が大きかった

 
だけど、冒頭申し上げましたが、そういった「創造」がバコーンと突き抜けた時に、「共感」を取りにいった時以上の「共感」を得られることがあります。
 
僕の話をすると、『映画 えんとつ町のプペル』は約200万人を動員しましたが、僕個人にこれだけのお客さんがついているわけがなくて、ここは「創造」の力が大きかったように思います。
 
ただ、そこに至るまでの「創造」は相手にされないことが多くて、そう考えると「創造」には、「創造の谷」のようなものがあって、(僕を含め)多くのクリエイターは、この谷をなかなか越えられない。
 
「創造の谷」で心が折れてしまうクリエイターさんも少なくありません。
 
なんとなくイメージ分かりますよね?
 
劇団でも、アーティストでも、芸人でも、「活動はしているけれど前には進んでいない」という創造の谷を迎えていたりすることが結構あると思います。
 
あの原因を考えた時に、いくつかある原因の1つに「創造と名乗ってはいるものの、結局は、今いるファンの共感を取りにいっている」みたいなことがありそうな気がしました。
 
ここは難しい問題ですよね。
 
それこそ、『えんとつ町のプペル』という絵本を出す前に、実は絵本を3冊出していたのですが、一部から支持されていたものの、正直、伸び悩んでいたんです。
 
そんな中、最新作である『えんとつ町のプペル』を分業制で作ることを発表した時に、アンチは勿論のこと、ファンからも「絵本は1人で作るもんでしょ」という感じで批判されまして。
 
ただ、僕は皆の意見をまとめて作りたいわけじゃなくて(共感されたくて作っているわけじゃなくて)、自分が作りたいモノを作っているわけですから、勿論そういった意見はガン無視で「創造」に全振りで進めました。
 
そうすると、その先で、結果的にたくさんの共感が待っていたんです。
 
これはチョット出来すぎた話なので、やはり話半分で聞いてください。
 
ただ、あの時、絵本は創っていたものの、それが『創造』とは呼べないモノ(身内の共感を取りにいっていたモノ)だったら、今は無かったような気がしてなりません。
 
あの時、「あんたらのイイネなんて知らねーよ」と言えてなかったら、その後に待っていた映画もミュージカルも幕張メッセも全部無かったような気がします。
 
どこまでいっても「タラレバ」ですが。
 
 

厄介なのが「今あるモノを捨てて創造に全振りする方が難しい」という問題

 
話がアッチコッチに飛んじゃって申し訳ないですが、次に「共感」の話もさせてください。
 
先日の放送で、アメリカのAIのトップチームとのやりとりを紹介させていただきました。
 
フォロワー数や、再生回数に興味の針がいっていなくて、「何を創っているか?」「何が創れるのか?」…つまり、創造(作品やパフォーマンス)のみがコミュニケーションツールになっている世界線であったと。
 
これには心当たりがあって、先日、海外戦に興味を持っている人気YouTuberさんとお話しさせていただいたのですが、「日本でYouTubeの再生回数を狙いに行けば行くほど、世界から興味のない人に向かってしまう(世界が遠のく)」というジレンマを抱えられていたんです。
 
厄介なのが「何も持っていない段階から創造に全振りするよりも、今あるモノを捨てて創造に全振りする方が難しい」という問題です。
 
「このまま活動を続けていけば、どんどん創造できない自分になっちゃう」とおっしゃっていて、表裏一体だなぁと思いました。
 
 

創造と共感、どちらをとった方がいいのか?僕の答えは…

 
で、ここからどうなるか?
 
「創造をとった方がいいのか? 共感をとった方がいいのか?」という問いに対する僕の答えなんですけども、正直に言うと、「わからん」といったところです。
 
というのも、AI技術がこれだけ進歩すると「共感」を選んだ人でさえ、ある日、突然、圧倒的なモノを創造できてしまうので。
 
ただ、「創造」というのは「創造村のコミュニティー」の力が大きくて、そこの後押しがないAIにどこまでのものが作れるのか?はちょっと見えません。
 
それこそ先の『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』なんてAIだけでは絶対に作れないんです。
 
そうした時に、「共感」に振った人達は、この先ずっとありとあらゆる「創造」を横目に見続けることになるわけですから、さっきの人気YouTuberさんのようなジレンマを抱え続ける…という日々が待ってそうな気もします。
 
いずれにせよ自分が「共感に振るのか? 創造に振るのか?」ぐらいは明らかにしておいた方が良さそうです。
 
 
▼西野亮廣の最新のエンタメビジネスに関する記事(1記事=2000~3000文字)が毎朝読めるオンラインサロン(ほぼメルマガ)はコチラ↓
 
\メールアドレスのみで利用できるようになりました/
https://salon.jp/nishino

 

 
※サロンメンバーさん同士交流される場合は今まで通りFacebookアカウントが必要です
 
\公式LINEができました/
▼西野亮廣 公式LINEはコチラ↓
https://lstep.app/yshrz02