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今、AIが色んな職場に侵食していて...

 
今日は吐き出したい気持ちがいくつかあるので、あまりまとまらないかもしれませんが、お付き合いください。
 
まずは、「西野、お前、今、どんな感じなの?」といったところなんですけども、「上手くいっていることもあれば、躓いていることもある」といったところです。
 
「上手くいっていること」に関しては、また今度お話しするとして、「躓いていること」でいえば、ブロードウェイとかハリウッドの海外案件です。
 
いろんなことが重なって、現在、ストップしちゃってるんですね。
 
1つに「チーム内の歯車がうまく噛み合っていない」という内側の問題。
 
これに関しては改善を進めていくしかないので、引き続きやるんですけども、それとは別で「AI」の問題があります。
 
ニュースでご覧になられた方もいらっしゃるかもしれませんが、ハリウッドやブロードウェイって「組合」が本当にしっかりしていて、AIを多用することによって脚本家や俳優の仕事が奪われていくことに対して、明確に「NO」を出して、ガッチガチのストライキを起こすんです。
 
今、AIが色んな職場に侵食していて、「脚本執筆」もそうだし、あとは、撮影に参加した俳優さんがスキャンされて、別の作品のエキストラとして勝手に使われるリスクなんかもある。
 
作る側からするとコストを下げられるから嬉しいのかもしれないですが、使われる側からすると、自分のコピーロボットに仕事を奪われてしまうから嬉しくない。
 
クリエイティブの現場におけるAI活用の流れは止められなくて、そんなことは勿論みんな分かっていて、色んなことを言っていますが、結局のところは「それならそれで、ギャラを上げろ」という話だと思います。
 
だけど、作品の制作費には天井がありますから、「おいそれとギャラを上げられない」という事情もある。
 
このバトルが思いのほか長引いていて、ストライキ前にいただいていたお話が現在ストップしている感じです。
 
ただ、これに関してはジタバタしても仕方ないと思っていて、「OK、分かった。それならそうで、今できることをやっときますわ」と割り切れています。
 
「強がり」で言っているわけじゃなくて、このあたりは自分でもビックリするぐらいドライで、結構、サクッとハンドルが切れています。
 
映画公開とコロナがぶつかった時と雰囲気が似ています。
 
「OK!コロナが蔓延しちゃったから、公開記念イベント(での集客)は全部白紙なのね。それならば…」と次々と手を打ったあの頃と。
 
とりあえず今日の話の前半戦は、「いろんな要因が重なって、思い通りにいっていないこともありますが、気持ち的には結構サッパリ割り切ってやれています」というご報告です。
 
 

切り取った画面を観ただけで、誰の作品なのか分かる監督

 
この話の流れで後半戦です。
 
昨日の夜、渋谷の映画館で『アイスクリームフィーバー』という映画を観ました。
 
今度、『スナック西野』にも出てくださる千原徹也さんの初監督作品です。
 
『スナック西野』の収録はすでに済んでいて、収録中も収録後も千原監督とひたすら映画の話をしたんです。
 
「切り取った画面を観ただけで、誰の作品なのか分かる監督っているよね〜」とか、「学生時代に観た岩井俊二作品にはキュンキュンさせられたよね〜」といった(友達の家で話すような)とりとめのない話を。
 
そんな話をさせてもらった人が作った映画を確認しないわけにはいかなくて、昨日の夜、ようやく時間がとれたので渋谷の映画館に駆け込んだんです。
 
そこにあったのは「切り取った画面を観ただけで、千原監督の作品とわかる映画」で、その振り切り方が僕にはたまらなく魅力的に見えたし、羨ましかったです。
 
物語の舞台は「渋谷」なんですけども、皆がイメージするビカビカ感は無くて、なんか高円寺ぐらいザラッとしていて、渋谷で過ごした時間が長い人が作る絵でした。
 
「好きで好きでたまらないモノを作る」ということと、「たくさんの人に届ける」というのは、トレードオフの関係になることが少なくありません。
 
そんなことは百も承知ですが、「好きで好きでたまらないモノを作って、たくさんの人に観られたい」というスケベ心が僕らにはあって、だけど、それはやっぱりなかなか叶わないから、なので、涙ぐましいドブ板営業に走って、朝から晩まで「よかったら受け取ってください」を繰り返しています。
 
僕はよくマーケティングの人のように扱われますが、皆が好きなのは「暴力」であり、「エロ」であり、「食」であり、「恋愛」であり、「制服」であり、「刑事モノ」であり、「医療モノ」であって、「ゴミ人間と煙突掃除屋」には誰も興味がなかったんですね。
 
それでも、そんなものを好きになっちゃったものだから、それを作り上げて、このままだと誰にも観てもらえないから、朝から晩までドブ板営業をしているわけですが…
 
それと似たようなことを千原監督はやられていて、同気相求(どうきそうきゅう)なのか、もしかしたら僕自身を肯定したいのか、よく分からないですけども、とにかく眩しく見えたんです。
 
 

「自分の好きなモノをやった結果、サンプルの無い場所に着地した」みたいなところなので面白い

 
ここで前半のAIの話に戻ってみます。
 
AIの得意領域は「大量のサンプルがあるところ」で、つまるところ「すでに大きなニーズが確認されているコンテンツの制作」がAIの得意技で、クリエイターのライバルとなる部分です。
 
それでいうと千原監督の作品って、「何、その作り方?」というところから創っているので、あまりサンプルが無いんですね。
 
で、これを「逆張り」とか「あえてやってます」でやっていたらクダラナイんですけども、千原監督の場合は「自分の好きなモノをやった結果、サンプルの無い場所に着地した」みたいなところなので面白いなぁと思いました。
 
「AI」「ニーズ」「アルゴリズム」「マーケティング」といった言葉が溢れている時代に、映画『アイスクリームフィーバー』がすごく魅力的に見えたこの感覚というのはきっと間違いじゃなくて、きっと自分が向かう方向にあって、そのことを忘れたくなくて今日はこんなお話をさせていただきました。
 
 

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