今日は「今の時代を生きるなら、もっと『権利』と向き合った方がイイ」というテーマでお話ししたいと思います。

僕らのチームはエンターテイメントを中心に事業を展開していて、たくさんの人に支えていただきながら、まぁ、いろんなことをやらせてもらっています。
その中で、ミュージカル『えんとつ町のプペル』は今、ブロードウェイに挑戦中でして、再来月には、「リーディング公演」なるものがあります。
日本だと、あまり聞き慣れない言葉ですが、要するに、関係者さんに向けての「ストーリーの」お披露目・プレゼン公演です。
詳しくは昨日のオンラインサロンの記事で書いたので、そちらで確認していただくとして…ここで言いたいことは「ブロードウェイに向けて着々と駒を進めています」ということです。
日本公演があったのが去年の11月だったので、思っているよりも早いテンポ感で進んでいるんです。
このスピード感はひとえに、ファンの皆様の応援や、スタッフの皆様の頑張りがあってこそではあるのですが、もう一つ、重要な背景があります。

それが『権利』です。

ミュージカル『えんとつ町のプペル』は、どこかの大手事務所さんに予算を出してもらって、作ったわけではなくて、自分達で予算を捻出して作ったんですね。
たしか1億5000〜6000万円ぐらいです。
見ての通り、簡単に出せる金額じゃないので、まぁ、それなりにヒーヒー言ったんですけども、それと引き換えに得たのが『権利』でした。

ミュージカル『えんとつ町のプペル』は日本公演を7カメぐらいでガッツリと撮影したんですけども、その素材をブロードウェイの関係者に配るんですね。
「コレをブロードウェイでやりたいんですけど」といった感じで。
こんなに明確なプレゼン資料はなくて…この素材のおかげで非常に優秀な演出家が決まって(日本公演を観て惚れ込んでくれて)、「じゃあ、契約しようか」という話がまとまったんですけども、素材を配るのも、契約するのも、『権利』を持っていないとできないんですね。

厳密に言うと、『権利』を持っていなかったら、まずは「『権利』を持っている人を口説きにいって、契約を結んで…」みたいなことをしなくちゃいけない。
これには、やっぱメチャクチャ時間がかかるんです。
とてもじゃないですが、今のスピードで進めることはできません。

で、ここからが本当の本題なんですけども、昨日、僕、『パブリックドメイン』の話をさせていただきましたが、正直、「『パブリックドメイン』という言葉を初めて聞いた」という方が少なくなかったと思うんです。
要するに、これまで多くの方にとって、『権利』というテーマは日常ではなかったということですね。
「権利? いや、私には関係ないし」という。

ここは少し見直した方が良いと思っていて、「そもそも、何故、私は『権利』のことを真剣に考えなかったんだろう?」というところから考えてみると、出てくる答えは「『権利』が必要となる場面が少なかった」ということだと思います。

たとえば、映像の権利を持っていたところで、D V Dにするのも大変だし、頑張ってD V Dを作ったら、今度は売るのが大変だし、そもそも「売る場所」を持っていないし…みたいな。
もう昔すぎて忘れたかもしれませんが、僕らは、その昔、世間に対して、動画や音声を発信することはおろか、文章すら発信する場所が無かったんです。
文章を発信しようと思ったら、吉本ばななサンとかと戦って「新聞・雑誌の連載コラム」みたいな枠を勝ち取らなきゃいけなかったんです。

なので、動画の権利を持っていても、音声の権利を持っていても、文章の権利を持っていても、それらの売り場を自分で持っていないから、「権利を持っていても仕方がない」が当たり前だったんです。
だから、売り場を持っている大きな会社に、動画や音声や文章を渡して、売ってもらっていたんですね。

「権利」と「売り場」ってセットなんです。
売る場所がなければ、権利を持っていても仕方ないんです。
そして、昔の人は売る場所が無かったけど、今の人は売る場所があるんです。
つまり、今、「多くの人が『売り場』を持っているのに、『権利』を持っていないから売れない」ということが起きている。
「起きている」というか、生まれてコレまで『権利』について真剣に考えてこなかった僕らは、今おかれている状況に…もっと言うと「取りこぼし分」に気付けていない。

たとえば、『パブリックドメイン』の話で言うと、『オズの魔法使い 絵本』で検索すると、ポプラ社から出ているものや、フレーベル社から出ているものなどなど、ものすごい数の『オズの魔法使い』が出てくると思うのですが、あれって、パブリックドメインだからなんですね。

でも、インフルエンサーで、「アパレルブランドを作ろう」とか「焼肉屋さんを作ろう」とか、それこそ「グッズを作ろう」という人はいるけど、「『オズの魔法使い』作ろう」という人、いなくないですか?
自分の影響力を使って売ることができる様々な選択肢の中から、『オズの魔法使い』を外したわけじゃなくて、そもそも、「あの超メジャー作品を自分が作る」という発想がない。

誰もが知っている超メジャー作品が毎年パブリックドメインになっていっている時代に立ち会ったのは初めてだし、一人一人が「売り場」を持っている時代に立ち会ったのも初めてて、僕らはこの時代の立ち振る舞いをまだ正確に捉えきれていないけれど、こと『権利』に関しては、僕もあなたももう少し向き合った方が良さそうです。
今日のオンラインサロンの記事も、この『権利』というものがモロに絡んでくる次のビジネスについて、お話ししたいと思います。