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「サービスを意識的に買って、『値段』の理由を探れ」 というテーマでお話ししたいと思います。
タイトルで、ほぼ結論を言っちゃってるパターンですが、なんとか誤魔化しながら喋りたいと思います。
 
 
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「ファーストクラスに乗る人の気持ちを知る為にファーストクラスに乗る」はやった方がいい
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今日は、「サービスを意識的に買って、『値段』の理由を探れ」 という話です。
 
「ファーストクラスに乗る人をターゲットにしたビジネスをしたければ、頑張ってお金を貯めて背伸びをして、ファーストクラスに乗って、彼らの気持ちを追体験しろ」的な話って、時々、聞くこともあるかもしれませんが、「じゃあ、実際に、皆が実践しているか?」というと、怪しいところだと思うんです。
 
やっぱり、「高いホテルは勿体ない」と思うし、「移動は安く済ませたい」と思っちゃうじゃないですか?
 
「勉強として、グリーン車に乗ります」という学生なんて、ほとんどいないですよね。
 
「高価格帯のサービスを買う人の気持ちを知る為に、高価格帯のサービスを受ける」を、試す前にやめている人がほとんどだと思います。
 
 
だけど、これは勉強として絶対にやっておいた方が良くて…でも、そんなことを、どこかで聞いた上で、今現在やっていないわけだから、今日は、「それをやることによって、どんなリターン(気づき)があるのか?」をお話しします。
 
 
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女性に選ばれないと「高いホテル」は成り立たない
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たとえば、ホテルなんかすごくわかりやすいのですが、「安いホテル」と「高いホテル」の違いって、何だと思います?
 
部屋の広さとか、窓の外の景色とか、ベッドのフカフカ具合とか、そりゃ、一つずつ挙げていけば、全部、違うんですけども、一番大きな違いは、「『嫁と旦那』あるいは、『彼氏と彼女』のどちらがそのホテルを選んだか?」です。
 
別の言い方をすると、「そのホテル代の決定権(財布の紐)をどちらが握っているか?」です。
 
今の時代に、こんな乱暴な分け方はどうかと思いますが、一般的に、男性は安い宿を選び、女性は高い宿を選ぶ。
 
これは、くれぐれも「安いホテルに男性が多くて、高いホテルに女性が多い」という話じゃないですよ。
 
「このホテルにしようよ〜」と言い出したのは、どちらか?という話です。
 
その上で、「女性は高い宿を選ぶ」なのですが、これ、逆に言うと、女性に選ばれないと「高い宿」は回らない。
 
ホテルだと、洗面台まわりが一番顕著ですが、女性にとってはアメニティが命だし「安いドライヤー」なんて絶対にNGです。
 
僕なんて、「髪なんて乾けばイイじゃん」と思うし、たとえば、高級なアメニティが揃っていたところで、ぶっちゃけ高級ホテルの料金から逆算したら、絶対に元はとれてないじゃないですか?
 
でも、その考えがダメなんです。
 
その算盤は捨てなきゃダメなんです。
 
「女性は、素敵な洗面台の前に立ったら、全ての理屈を失う」と考えた方がいい。
 
僕らが小学生の頃に、カブトムシに命をかけていたような感じです。
 
汗だくで山に登って、スズメバチに狙われて、それでいて、カブトムシが採れない日もある。費用対効果で言えば最悪じゃないですか。それでも僕らは山に登った。
 
大きなエネルギーが生まれる時って、あんまり理屈はないんです。
 
女の子と海外に行くと、空港の免税店で必ず足止めをくらうのですが、あれに近いです。
 
すごい勢いで物色してるから「そんなに欲しかったの?」と聞くと、「そこまで欲しくないけど、ここだと安いし、買わないと勿体ないじゃん」と返ってくるんです。
 
「そんなに欲しくないものを買わないと勿体ない」って、もう、理屈どころか、日本語も失っている。
 
でも、それが女の子で、「高い宿」を選ぶのは女の子なんです。
 
だから、高い宿を運営するなら、「広さ」とか「景色」とかの前に、「女心」を分かっておかなくちゃいけない…ということが、高い宿に意識的に泊まれば分かってくるわけですね。
 
 
これ、男性の場合だと、「時計」とか「車」がそうですね。
 
時間を見れたらいいし、快適に移動できたらいいので、わざわざロレックスを買わなくていいし、わざわざ外車を買わなくていいのに、旦那はそこに手を出して、嫁に怒られたりしています。
 
僕、学生時代にリーバイスの「501」が流行って、裾を折り返すと、「赤耳」と呼ばれる赤い縫い糸(ライン)があって、その「赤耳」が入っている「501」は他よりも高かったんですね。
 
当時、頑張って貯金して、高いお金を払って買って、「この赤耳がええねん」とか言ってたんですけど、そんなの女子からすると知ったこっちゃないんですね。
 
「そんなことより、あんたの上着、ダサない? 上着にお金使ったら?」みたいな爆弾を放り込まれるんです(笑)
 
 
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「高いサービス」と「安いサービス」、両方見た方がいい
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そうやって見ていくと、高価格帯のサービスというのは、理屈で説明できちゃダメなことが分かってくるじゃないですか?
 
「これに、コレとコレが足されるから、この値段です」と“説明できてしまうもの”は、高価格帯のサービスにはならない。
 
値段に目を向けながら、そういったサービスを買って、「値段の理由」の仮説を一つずつ立てていくんです。
 
そして、これは、両方を見た方がいい。
 
つまり、「高いサービス」と「安いサービス」を、「なぜ、高いのか?」「なぜ、安いのか?」を意識しながら、両方買った方がいい。
 
そうすると、今度は「高いサービス」を買っているお客さんと、「安いサービス」を買っているお客さんの所作や礼儀の違いとかが見えてくる。
 
「高いサービス」を買っておいて、「俺は客だぞ」とか叫んでいるお客さんが、昨日今日誕生したばかりの成金であることなんかも見えてくる。
 
新幹線のグリーン車と普通車だと、椅子の大きさ云々の前に、「デシベル」が違うことが分かってくる。
 
そうすると、サービスの値段というのは、他のお客さんが作る空気にも由来していることが分かってくる。
 
大切なのは、高いサービスも安いサービスも両方意識的に買って、値段の理由(根拠)を、できるだけたくさん知ることです。
 
一度、試してみてください。
 
 
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