【『エンジェル投資家』が求めていること】
 
 
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今日は「『エンジェル投資家』が求めていること」というテーマでお話ししたいと思います。
 


学校で学んだことが全てで、世の中のことを知らずに真っ当に生きていたら、あまり「エンジェル投資家」という言葉にブチ当たることがないと思うので、まずは「エンジェル投資家って何なのさ?」という説明からさせていただきます。
 
僕は今、『CHIMNEYTOWN』という会社で働いていて、大小いろんなプロジェクトを手掛けていて、大きなプロジェクトになると本当に大きくて、生々しい話をすると、まとまった予算が必要だったりします。
 
ミュージカルとか武道館のライブとかも、 CHIMNEYTOWNが主催で、あとは今、町を作っているのですが、これなんかも CHIMNEYTOWNが運営していて、やっぱりそれぞれ大きなお金が必要なんですね。
 
じゃあ、このお金はどこから出ているか?というと、日頃の売り上げから出ているわけですが、会社を立ち上げる時というのは「日頃の売り上げ」なんてないわけじゃないですか?
 
CHIMNEYTOWNは僕の身体が「資本」となってスタートした会社で、そして、スタート時は今みたいな大きな事業はやっていなかったので、お金がかからなかったのですが、それこそ「Voicy」みたいなサービスをやるとなると、まだ何者でもない状態からいきなり、まとまった予算が必要になってくるんですね。
 
じゃあ、「銀行が貸してくれるか?」というと、そんな簡単に貸してくれないんです。
 
ちなみに、僕、2017年に CHIMNEYTOWNを立ち上げる時に、銀行の方から事業内容を聞かれて、「既存のクリエイティブは、『チケット代』や『書籍代』や、あるいは『権利関係もろもろ』といった【作品の売り上げ】が予算源となっていますが、それに加えて、オンラインサロンで制作プロセスを物語として販売することで、作品の予算を増強して、圧倒的な作品を生んで、その作品を軸に事業を横展開していこうと思います」と答えたところ、2秒で撃沈して、会社の口座を作ってもらえませんでした。
 
「価値の観点からいくと、『成果物』よりも、『制作過程』の方が希少価値が高いので、『制作過程』を販売して、『成果物』は無料で提供した方が効率的だと思いませんか?」と説明を付け加えたのですが、なんかもう詐欺師みたいに扱われて門前払いです(笑)
 
ちなみに今になって、その銀行から連絡がきます。
 
まだ世の中にない概念を提案する起業間もないベンチャーには、お金が集まらないんです。
 
そこで、ベンチャーの社長は、お金を出してくれそうな人に頭を下げてまわるわけですが、ここでは、当然っちゃあ当然なんですが、「リターンあるの?」みたいなことを言われちゃうんです。
  
「説明してよ」みたいな。
 
で、ここ厄介なんですけども、「前例がないこと」は説明しきれないんですね。
 
いや、説明はできるんですよ。
ただ、理解されないんです。
そのことについて、そこまで考えているのは、世界で自分だけだから。
 
7〜8年前にプロセスエコノミーの話をしても、日本中誰も理解してくれなかったんです。
 
「完成品は制作過程を販売するためのチラシだよ」とか言おうものなら、日本中からヤリで刺される感じでした。
 
新しい選択肢を提案するベンチャー企業の社長って、銀行にも相手にされないし、「リターン」を求める投資家にも相手にされない。
だけど、「まとまったお金はいる」という状態なんです。
 
そこで、「大丈夫、いける?」と救いの手を差し伸べてくれるのが「エンジェル投資家」です。
 
ちなみに僕も「エンジェル投資家」と呼ばれる人です。
 
 
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エンジェル投資家は「面白いことしまっせ」で口説け
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ここからは、「エンジェル投資家目線」で語りますが、エンジェル投資家は、まだ何者でもないベンチャー起業にお金を出して、その会社の株をいただくわけですが、これって、その会社が上場するか、どこからか買収されないかぎり、金銭的なリターンはないんです。
 
1000万円を出しても、その会社が上場しなかったら、そのお金というのは1円も返ってこないんです。
その会社には、返す義務などないんです。
 
金銭的なリターンが発生するのは、あくまで、その会社が上場するか、買収された時のみ。
 
で、ここからがポイントなんですが、「エンジェル投資家」もピンキリで、上場後のリターンを期待している人もいれば、「それすらも別にどっちだっていい」という人もいる。
 
僕とか、けんすうサンとかは完全に後者で…ここって、あんまり理解されないんですが、「エンジェル投資家」には金銭的なリターンをそもそも期待していない人は結構多いと思います。
 
そもそも、ほとんどの会社が上場なんてしないんだから、金銭的なリターンを求めるのであれば、そもそも「エンジェル投資家」なんてやらないです。

「じゃあ、なんで、そんなことやってるの?」と言われると、「呑んでる時にお願いされたから」ぐらいしか理由が見当たらないのですが、近いところでいうと、「『推し』に使っている」という感じです。
 
アイドルに課金するか、Voicyの緒方さんに課金するか、みたいな話で、いわゆる『推し活』ですね。
 
だからね、これは人(エンジェル投資家)によって、いろんな考えがあると思うのですが、少なくとも僕は『推し活』をやっているので、「お金出して」と言ってくる人に、一つお願いしたいのは「バットは長く持ってくれ」です。
 
なんか、「それっぽい事業計画書」みたいなの要らないんです。
そんなことよりも、「どうせなら面白いことをして」と思っちゃう。
 
お金を使ってお金を増やしたかったら、エンジェル投資家なんてやらずに、積立 NISAをやります。

なので、「ボケてくれ」と思っちゃうんです。
 
ベンチャー企業の社長なんて、芸人そのものなんだから、ボケなきゃダメじゃないですか。
 
そのライブを最前列で見て、「グッズを買って」と言われたら買うし、次のライブの宣伝もします。それが「エンジェル投資家」です。
 
なので、エンジェル投資家を口説く時の基本スタンスは「儲かりまっせ」ではなくて、「面白いことしまっせ」ですね。
 
ここのスタンスは銀行を口説く時と真逆なので、見誤らない方がいいと思います。
 
ちなみに、僕はYouTubeのメンバーシップで『スナック西野』というのをやっているのですが、次回のゲストはVoicy代表の緒方さんです。
 
Voicyが今、すっごく艶っぽい段階に突入しているので、そのへんの話をお聞きしようかと思っております。
 
興味がある方は、是非。
 
 
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