今日は、以前、サロンに投稿したNFTに関する記事の「前編」を公開したいと思います。


僕のサロンでは、NFTを使ったある試みを進めようとしているのですが、その前に、「NFTって、なんか聞いたことがあるけど、何のことかよく分からない」という人がサロンの中にもいると思うので、「前編」で、基礎知識として、NFTの説明させていただきました。


少しややこしいですが、サロンでは翌日に「後編」を話していますが、ここでは前編しかお話ししません。


今日の話を聞いて、「後編」が気になった方はサロンをチェックしてみてください。


そんなことも踏まえて、それではどうぞ。


 


by 西野亮廣エンタメ研究所 







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▼ 転売って何が問題なの?
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西野です。


今日は『NFTと品【前編】』というテーマでお話ししたいと思います。

「品」というのは、「上品・下品」の「ひん」のことです。



すっごく長くなりそうなので、今日と明日で【前編】【後編】に分けてお届けしたいと思います。


「転売」って、なんか【悪いこと】みたいになってるじゃないですか?



まずは「転売によって、誰が、どんな損を被っているのか?」を把握しておいた方がいいと思います。


たとえば……




①西野が『えんとつ町のプペル』という絵本を作って、2000円で販売する。



②Aさんが2000円で買って、読み終わった後に、『BOOK・OFF』に700円で売る。

→Aさんは結果的に1300円で絵本が買えてラッキー。



③『BOOK・OFF』がAさんから700円で買った絵本を1500円で、Bさんに売る。

→『BOOK・OFF』は800円の売り上げが出てラッキー。



④Bさんが1500円で買って、読み終わった後に、メルカリでCさんに600円で売る。

→Bさんは結果的に900円(-メルカリの手数料)で絵本が買えてラッキー。



⑤Cさんは定価で買おうと思っていた2000円の“ほぼ新品”の絵本を、600円で買えてラッキー。





……みたいな感じで、転売が繰り返される度に幸せになる人は多いのですが、転売が繰り返されてしまうと、「本屋さんで買う人」が減ってしまうので、大元の西野にお金が入らなくなります。



作者の西野としては本屋さんで(新品を)買ってもらえないと、印税が入らないので、「転売は(なるべく)やめてー」となるわけですね。




僕個人的には……転売が繰り返される度に、作品の認知が上がって『新品が欲しい』と思う人も増えるので、「転売=作家泣かせ」という結論は安直だと思っています。



なんなら、転売されることを前提として、本を「グッズ」や「サロン」などに誘導するようにデザインにしておけば、本が「チラシ」として機能するので、広まれば広まるほど得だとも思っています。


 




しかしまぁ、多くの出版社さんや、作家さんは、「本は、本でマネタイズする!」という考えなので、「本から始まる2次展開にキャッシュポイントを置いとけばよくないっすか?」というアドバイスは、少し酷かもしれません。



とにかく、出版業界では「転売=作者(出版社)が損をする」という感じになってます。



しかし、僕らはここで思考を止めちゃダメで……

「転売がダメ!」なのではなくて、

「作者が得をしないからダメ!」という整理をしなくてはいけません。




つまり、作者(出版社)が得をするのであれば、転売はむしろ歓迎されるハズです。




ならば『「転売されればされるほど、作者が得をする」という状況』を作ればいいわけですね。



この状況を作る為は、「西野が出した絵本が、今、誰から誰に手渡ったのか?」というデータを世界中の人が共有しておくことが必要になってきます。



そのデータさえあれば、AさんからBさんに、BさんからCさんに絵本が転売される度に、「転売料」のようなものを西野に振り込むことができるので、西野からすると転売されればされるほどラッキーです。



で、この「今、絵本は誰の手元にあるの?」という“データの共有”を実現させたのが『ブロックチェーン』という技術です。



ブロックチェーンで「本の在りか」を管理しておけば、転売記録を作者(出版社)が逐一チェックできるわけですね。

もはや転売は作者の味方になります。





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▼ で、『NFT』って、何??

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今年の1月頃から、耳にするようになってきた「NFT」とは、Non-Fungible Token(非代替性トークン)のことです。



これによって、クリエイターは自分のデジタル作品を複製不可能な「唯一無二」のトークンとして販売できます。



……安心してください。




説明できたと思っておりません(笑)。
なんだよ「非代替性」って。
なんだよ「トークン」って。


大丈夫です。



オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の記事のモットーは、「よし子(僕の母ちゃん)に伝わらないことは書かない!」です。




こんな乱暴な説明をウチのよし子にしてしまうと、「詐欺でしょ、それ。やめとき!トークンやめときっ!」と怒られてしまうのです。



なので優しく説明します。



「非代替性」というのは、要するに、「世の中に2つとしてないモノ(替えがきかないモノ)」のことです。


たとえば、僕が持っている「千円札」と、あなたが持っている「千円札」は(多少汚れの違いはあれど)同じじゃないですか?



「僕の千円札と、あなたが持っている千円札を交換して」とお願いしても、交換してくれますよね。

これが「代替性(替えがきく)」です。



一方、



同じ千円札だとしても、「バンクシーがイタズラ描きをした千円札」は世界に一枚です。


「僕の千円札と、あなたが持っている『バンクシーがイタズラ描きをした千円札』を交換して」とお願いしても、交換してくれませんよね。


これが「非代替性(替えがきかない)」です。





今、テーブルの上に置いてある『車の鍵』や、


財布の中に入っている『運転免許証』も、「非代替性」のモノですね。



実際にテーブルの上に置いてある『モノ』とかならイメージしやすいと思うのですが……これをテーブルの上に置いてあるモノではなくて、『デジタルデータ』として「非代替性」を持たせたのがNFTです。



ブロックチェーン技術を使って、「このデジタルデータの持ち主は、この人!!」という感じで、世界中の人が「デジタルデータの持ち主」を共有できるようになったんです。



これによって、Beepleというアーティストさんのデジタルアート作品が、先日、約75億円で落札されて、大きな話題を呼びました。



作品は画像検索をすれば普通に出てくるので、皆さんのスマホの待ち受けにすることも可能です(笑)。



「おい、ちょっと待て!」と思いません?



そんな簡単に複製できるものに、何の価値があるんだよ!

なんで、そんなものに75億円も払うやつがいるんだよ!

と思いませんか?



しかし、考えてみてください。



本物の『モナリザ』の絵と、プロがコピーした『モナリザ』の絵って、見分けがつきますか?

今の技術でコピーすれば、プロが見ても、本物と贋作の見分けがつかないと思います。



では、なぜ、本物の『モナリザ』の絵に価値があるかというと、「本物を持っているのは、この人!」という【証明書】があるからです。




絵が売買される時は必ず【証明書】が付いてきて、有名な作品であれば、世界中のコレクターが「今、あの絵は、○○さんが持っている」という情報を共有しています。




これをデジタル上でやったのが、NFTです。




「Beepleのデジタルアート作品は簡単にコピーできるけど、『本物のデータ』を持っているのは○○さん」といった感じで、世界中の人達が記録を共有することで『本物のデータ』というのが生まれる。




NFT関連のニュースで一番面白かったのが、Twitterの創業者のジャック・ドーシーさんが最初のツイートをNFTで約3億で販売したことでしょうか。



ツイートなんて誰でも確認できるし、リツイートも、スクショもできますが、「創業者の最初のツイートの持ち主は、この人!」という記録を共有することで、何の価値もなかったものに、価値が生まれた。




現代アートにも似ているのですが、証明書を発行して唯一無二を証明し、「これには価値があるよね」と思う人がいれば、価値が生まれんです。『共同幻想』ですね。



覚えていますか?


2020年4月に投稿した記事で、「お笑いライブをデータにして、ブロックチェーンで管理すれば、データが転売される度に芸人にお金が入るので、ライブが資産になりますよ」と書かれていただいたのですが、それです。




その大きな大きな波が、今年の1月に突然やってきました。


とても面白い未来だなぁと思う反面、丁寧に向き合わないと、落とし穴にハマる人も出てきてしまうなぁと思ったので、その件については、明日の「後編」でお話します。



ちなみに、キングコング西野は『NFT化』できるネタの宝庫なんです。

作品の権利を個人で持っているので😊

明日の記事をお楽しみに。



現場からは以上でーす。





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……とまぁ、『西野亮廣エンタメ研究所』では、こんな感じの記事を毎朝投稿しております。

興味がある方は是非!




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