僕が運営しているオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』は毎日2000~3000文字の記事を投稿してある(いわば)メルマガなのですが、内容は「口外禁止」になっている為、よく「なんか怪しいことをやってるんじゃないの?」と言われます。

なので、月に1~2度ほど、内容を公開する回を設けております。今日が、その回です。

こんな感じの記事を毎日更新しております。
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それでは、「2021年2月24日」の記事をご覧ください。
どうぞ

 
 
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【オリエンタルランドから学ぶ「弱者の戦い方」】

(投稿者:西野亮廣)

 
 
おはようございます。
それにしても、よくぞ毎日「喋ること(Voicy)」と「書くこと(サロン)」のネタが尽きないなぁ、と自分に感心しているキングコング西野です。
#文字数にすると毎日約6000文字

 

 

 



さて。
今日は『惚れさせる』をテーマにお話ししたいと思います。
まだ何者でもない人間がビジネスをする上で、メチャクソ大切な話です。
 
 
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いつも弱いキングコング西野亮廣
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これまでの僕のキャリア(職場)を駆け足で説明すると、「劇場」→「テレビ」→「絵本」→「ビジネス/オンラインサロン」→「映画」です。

頑張り屋さんなので、どの職場でもそれなりにイイトコロまではいけるのですが、自分の中に「応援シロ」が無くなったら、まったく違う業界に転職するようにしています。

 
転職先の一歩目はいつも散々です。

芸人が絵本を描こうものなら、
芸人業界から「なんで芸人が絵本を描いとんねん」と攻撃され、
絵本業界からは「そんなものは絵本じゃない」と攻撃されます。


絵本作家がビジネス業界に参入する時も、そのあと、映画業界に参入する時も、だいたい同じような目に遭います。


僕が決めていることは一つで、「どの業界に行こうが僕が一番努力をする」ということ。
チクチク言ってくるどの絵本作家さんよりも、筆を走らせました。
おかげで右手中指の骨は変形しています。


以前、酒場で「絵本作家になりたいんです」と話しかけた若者の手を見て、「つまんねぇ骨をしやがって。変形してねぇじゃねえか」という悪態をつき、隣にいたスタッフに怒られたのは何を隠そう私です。

自分で言うのもアレなのですが、とにかく西野は、すっごい頑張り屋さんなのです。


 


 
しかしまぁ、その頑張りは目に見えませんので(同業者には伝わりませんので)、「外からやってきたヤツがサクッと結果を出した」とされて、今度は「何かズルイことをしているに違いない」という第二波が始まります。


そのあと、もう一発ぐらい結果を出して、ようやく静かになるのが、いつものパターン。


そして、静かになったら、僕は次に進みます。
そして、またタコ殴りに遭います。

本来ならば、真面目に働いていれば、この歳になると、そこそこ良いポジションにいるのかもしれませんが、この調子でまったく違う業界への転職を繰り返しているもんですから、これまで何度も「弱者」を経験しています。

 
今も映画業界では圧倒的に「弱者」です。
皆さん、お忘れかもしれませんが、『映画 えんとつ町のプペル』は僕のデビュー作どころか、僕が“生まれて初めて作った映画”です。
まだ右も左も分かりません。



しかしながら、同じ商品棚に並んだら「芸歴」なんて関係ありません。
NSC(養成所)時代から、10年目の先輩方と同じステージでドンパチやり合ってきました。


二年目(二十歳?)で東京に出ていった時にネタ番組で僕らの前に出ていたのは海砂利水魚から改名して再ブレーク中の「くりーむしちゅー」さん。
「キングコングより、くりーむしちゅーの方が面白い!」と言われ、その年の年末にはM1グランプリの決勝で7位に終わり、「スベってたね」という評価。
#つい最近まで田舎の高校生やぞ


いつも肩身の狭い思いをしながら、「どうすれば這い上がれるかなぁ」と考えています。

  

 
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弱者がチャンスを勝ち取るには…
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いつチャンスが巡ってきてもいいように、自分の表現をバッキバキに仕上げておくのは当たり前の話。
「打席にさえ立たせてもらえれば、必ずホームランを打ちます」という状態で、チャンスに備えます。


しかしながら、現実問題、「弱者」にチャンスが巡ってくることなどほとんどありません。
チャンスを与える側も結果を求めているので、チャンスはいつも「強者」に渡ります。

ここを、どうやって引き寄せるか?…というのか今日の話です。

 

いつも僕は「自分と同じような境遇にある『過去の弱者』が、どうチャンスを引き寄せたのか?」を調べます。


中でも、ディズニーランドを誘致した「オリエンタルランド」の話が大好物。
『海を超える想像力』(講談社)や『「エンタメ」の夜明け』(講談社)という本が面白いです。




当時、『ディズニーランド』の誘致に向けて動いていたのは、オリエンタルランドの他に、三菱グループ(三菱&東宝連合軍みたいたの)がいました。
三菱グループは富士山が望める絶景スポットを用意し、ディズニーサイドにアタックします。


対するオリエンタルランドが用意したのは千葉の埋め立て地。
東京湾の汚染も問題になっていました。
オリエンタルランドの切り札は「都心から近い」の一枚だけ。
かなり分が悪いです。


しかし、結果は皆さんご存知のとおり、オリエンタルランドに軍配が上がります。

さて。

この「天下分け目の一戦」で、明らかに分が悪かったオリエンタルランドの動きは学びシロだらけです。

 
ディズニーの視察団御一行様を、東京から舞浜にお連れするバスでは、移動時間を少しでも短く感じさせる為に、一流シェフの料理をふるまいます。

圧巻は「マジックボックス」と呼ばれた小さな小さな冷蔵庫。


オリエンタルランドのスタッフ(振り袖の美女)が、「お飲み物は何になさいますか?」と視察団に訊くも、視察団の目から見えるのは小さな小さな冷蔵庫。
「何がありますか?」と質問する視察団に、「何でもありますよ」と答えるオリエンタルランド。
「ならば」と、(少しイジワル心で)視察団の面々が各々好きなお酒を注文したところ、あの小さな小さな冷蔵庫から出てくる出てくる。


視察団が注文したお酒が全て出てきたそうです。


これ、冷蔵庫に細工をしていたわけではなくて、オリエンタルランド側が、事前に、視察団の視察をしていて、お酒の注文パターンをリスト化していたそうです。

 
 
『「エンタメ」の夜明け』(講談社)には、天才興行師・小谷正一の逸話も語られています。
小谷は、フランスのパントマイムの第一人者マルセル・マルソーを日本に招き、公演をおこなった時に、マルソー夫妻の買い物に部下を一人同行させます。

その際、小谷は「婦人が買い物をする時に、必ず迷ってどちらかを選ぶ。そこで迷って諦めた方を全て買っておけ」と部下に指示を出し、帰国の日の空港で「婦人が迷って泣く泣く諦めた商品」を全てプレゼントしたそうです。


その一件で、マルソーは「小谷の招きなら、いつでも日本に来る」という約束をします。

 

 

……読書感想文を書きたいわけではありません。

 
過去、大仕事を成し遂げた人は皆、もともと何者でもない、何も持たない「弱者」でした。
彼らはチャンスに備えて常に爪を研ぎ、そして、利害関係を超えた「惚れさせる」というカードを切って、チャンスを引き寄せました。

そして、今お伝えしたとおり、この「惚れさせる」というカードは天然モノではなく、綿密に計算され尽くした養殖モノだということ。


ビジネスパートナーは必ず、まず最初に損得勘定をします。
「お前と組んで、俺に何の得があるの?」です。
この時、弱者に「得」なんぞ用意できるわけがありません。

 
弱者は「惚れさせる」ぐらいしか、打つ手がないんです。
これは、もっともっと議論されるべき題材だと思います。

 
(株)CHIMNEY TOWNの若手スタッフには、「キミはまだ相手に何も提供できないんだから、それでも一緒に仕事をしたいのなら、惚れられる努力をするしかないよ」と伝えています。
#おかげで酒呑みばかりになりましたが

 
ここは本当に甘く見積もらない方がいいと思います。
インターネットは一極集中です。
強い人に人が集まり、より強くなります。

そんな中、生き残り、勝ち上がろうと思うのであれば、弱者だった先人から学ぶ部分がたくさんあると思います。

スナックに行くといいよ(^o^)

 
現場からは以上でーす。

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(投稿者:西野亮廣)

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