本題に入る前にお知らせをさせてください。
本日(2月20日)19時半から一時間、これはツイッターで検索していただけると出てくると思うのですが『共感シアター』という動画チャンネルで「なぜ『プペル』は大ヒットしたのか?謎すぎるから〝中の人〟に聞いてみたSP」という番組が配信されます。
こうして紹介しておいてアレなんですけども、実は、僕もこの番組で何が語られるのか知らないんです。
今、ちょっと、番組の内容欄を見てみると…
「お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣の製作総指揮・脚本・原作により、興行収入20億円を超える大ヒットとなっている現在公開中の『映画 えんとつ町のプペル』。
従来の映画興行におけるアニメ映画は、ディズニーアニメ、TVアニメ、漫画アニメなど、明確に観客動員の下支えとなる“ベース”がある作品以外ヒットは難しいとされていた中、オリジナル作品で社会現象とも言えるヒットとなった本作は、世間のみならず、映画業界内でも大変な驚きをもって捉えられています。
では、なぜ『映画 えんとつ町のプペル』はヒットしたのか?
どんな秘密があるのか? 何を仕掛けたのか?
そして西野亮廣という人物はどのような人物なのか?
これまで数々の映画をヒットに導き、『映画えんとつ町のプペル』でも「宣伝プロデューサー」としてプロジェクトの重責を担った、木村徳永氏をお迎えし、大ヒットに隠された秘密を赤裸々に解明する60分!!」
……とあります。
この番組、たぶん面白いと思います。
映画館に足しげく通っている方なら分かると思うんですけど、映画館って、俳優のファン(個人のマンパワー)では埋まらないんです。
埋まってせいぜい初日だけ。
それも都心部の劇場だけ。
ファンで埋まるのなら、ジャニーズさんが出演されている映画、全部ヒットしてるんです。
でも、実際はそう甘くない。
ジャ二ーズの人気タレントさんが出ていて、ヒットしている映画って、キチンと理由がある。
作品の強度がキチンとある。
そこにきて、『映画 えんとつ町のプペル』です。
僕なんかにも一応、応援してくださる方はいるのですが、キングコング西野なんぞ、そういった人気俳優さんとか、人気アイドルさんに比べたら、足元にも及ばない。
「西野の作品!」というだけで、150万人ものお客さんが集まるわけがないんです。
くわえて、作品の認知度が圧倒的に低い。
累計ウン千万部、ウン億部売れて、テレビ放送もされているコミックの映画化とは違って、絵本『えんとつ町のプペル』はヒットしたとはいえ、あくまでそれは「絵本業界内でのヒット」というだけで、発行部数は69万部です。
桁が二桁も三桁も違うんです。
こうして僕にチャンネルを合わせてくださっている方からするとアレかもしれませんが、絵本『えんとつ町のプペル』なんて誰も知りません。
というところからのスタートで、ただ作品が出来上がっていくにつれて、それこそ宣伝プロデューサーの木村さんをはじめ、多くの宣伝スタッフが「この先品は届けなきゃダメだろう」と本気になってくださって、あの手この手を仕掛けたんですね。
番組の紹介欄にもありましたが、「ディズニーアニメ、TVアニメ、漫画アニメなど、明確に観客動員の下支えとなる“ベース”がある作品」ではないので、潤沢な宣伝費があるわけでも、宣伝枠を持っているわけでもない。
「その中で、どう突破していったか?」というのは、結構、根性さえ決めれば再現性のある話なので、表現活動をされている方や、まぁ、サービス業をされている方の参考になると思います。
『映画 えんとつ町のプペル』の宣伝の裏側で何が起きていたのか? 是非、「中の人」の話を聞いて見てください。
「共感シアター」は本日19時30分スタートです。
そして、この話の流れで、今日の本題です。
僕らは今、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を作っています。
もしかすると、日本公演のタイトルはそのまま『えんとつ町のプペル』かもしれません。
もともとは去年の9月にオフブロードウェイで公演する予定だったのですが、コロナで延期になってしまって、ブロードウェイの再開の目処が立たないから、「先に日本公演をしちゃおう」という話で、今年の11月14日〜28日に東京で日本公演をおこなうことになりました。
昨日も劇場に入って、舞台監督さんや美術さんや照明さんらと、アレやコレやと話を進めたんです。
今回は、劇場の中に「えんとつ町」を作っちゃうんですけど、昨日、話に上がったアイデアを全て実現しようと思ったら、とても、チケット代では賄えないんです。
普通、ミュージカルに限らず、イベントはチケットの売り上げが、そのままイベントの制作費となって、「その予算の中で、やりくりしましょう」という話になってくるのですが、それだと表現できるサイズが決まってくるんです。
で、この話を、なぜ、『映画 えんとつ町のプペル』の宣伝の話の流れでしているかというと……弱者が勝ち上がろうと思ったら、圧倒的に新しいことをしようと思ったら、
宣伝方法にしても、
予算繰りにしても、
結論、「開発」しなきゃいけないんです。
既存の宣伝方法だと力負けするし、既存の予算繰りだと「表現の限界」が必ず出てくる。
だから僕らの会社(CHIMNEY TOWN)では、そこから掘り下げて考えて、「こういう宣伝方法はどうだろう?」とか、「こういう予算繰りはどうだろう?」という話をするのですが、
そういうところと向き合うと、「銭ゲバだ!」という人が必ず出てくるんですね。
で、これ、一般の方が言っている分には構わないのですが、以外と、同じ業界の人間でも言ったりする人がいます。
「売るものはチケットとグッズ!それ以外はアウト!」
という人が普通にいて、それだと生活してくのも苦しいから、普通に飲食店でアルバイトしていたりするんです。
「そっちは売るんかい」なんです。
……言ってること、伝わってますか?
つまり、「表現活動を続けていく為に、自分の時間を売って、生ビールとかポテトサラダを売って、そこでマネタイズするのはOKなんかい!」です。
それならば、作品にまつわるものを売って、四六時中、作品と寄り添っていた方が健康的じゃないですか?
でも、売るものはチケットとグッズのみ。
「クラウドファンディングで作品のメイキングを売る? はい、銭ゲバ!」
「オンラインサロンで作品の下見に立ち会える券を売る? はい、銭ゲバ!」
「居酒屋でビールとポテトサラダを売る。OK!」
「表現活動を続ける為にキャバクラで働く。OK!」
……という線引きです。
理屈は破綻していて、マネタイズのセーフとアウトに線引きが「これまでにあったマネタイズか、これまでになかったマネタイズか?」というところになっていて、めちゃくちゃ不健康なんです。
「もっと作品と向き合える時間を増やせるはずだから、そこから考えませんか?」と提案しようものなら、「鼻につく!」「怪しい!」とか言われちゃう。
……くれぐれも僕らのチームの中では、そういうことは一切ないですよ。
昨日、美術セットの打ち合わせをしながら、「多くの舞台役者さんは、このセット費を賄う為に、ギャランティーを押さえられて、その分、アルバイトをしてるんだよなぁ……」と思って、自分の作品においては、絶対にそんなことはさせないと思いました。
役者さん、スタッフさんには100%作品と向き合ってもらう為に、キチンを予算を開発しようとあらためて思いました。
▼西野亮廣の最新のエンタメビジネスに関する記事(1記事=2000~3000文字)が毎朝読めるのはオンラインサロン(ほぼメルマガ)はコチラ↓
▼Instagram版はコチラ↓