本題に入る前にお知らせをさせてください。

一つ目は、以前も少しお話ししましたが、絵本の次回作についてのお知らせです。

現在、『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』という絵本の制作の大詰めに入っております。

『えんとつ町のプペル』から3年後の「えんとつ町」の物語です。

こちら、サイン本の予約の受付をさせてもらっているのですが…ごめんなさい。コロナの影響で完成が遅れておりまして、サイン本の配送は「絵本が完成し次第」という形となっております。

すでに全ページ描き終えていて、今は「最終の手直し」という段階なので、お届けは、そこまで先にはなりませんが、とりあえず現時点では「完成し次第」という言い方しかできません。

もう少しすれば発売日の日程が出るので、すでにご注文されている方や、これからご注文される方には、何卒、ご理解いただけると嬉しいです。

最新作『みにくいマルコ  ~えんとつ町に咲いた花~』のサイン本をお求めの方は、『キンコン西野のサイン本屋さん』で検索してみてください。


 

 
そんなこんなで今日の本題です。

今日は「これをやると集客力が落ちるよね」という話をしたいと思います。
 

本日から、『映画 えんとつ町のプペル』の副音声付き上映の第二弾が始まります。

そもそも「映画の副音声上映」というものに馴染みがない方がほとんどだと思うので、そこから、あらためてご説明させていただきますと…「HELLO MOVIE」というスマートフォンアプリがあるんです。

映画の字幕や音声ガイドが楽しめる無料アプリなんですけども、映画のスクリーンから出る音をスマホのマイクで拾って、認識して、それに合わせる形でスマートグラスに字幕が出たり、スマホから副音声が出たりします。

なので、目や耳が不自由な方にも映画をお楽しみいただけるんです。

『映画 えんとつ町のプペル』はこのサービスを利用して、バリアフリー上映もおこなっているのですが、その延長で、キングコング西野が映画の中身を解説する「副音声上映」もやっているんですね。

制作の裏話とか、「このシーンは、こういう見方をすると面白いですよ」といったこととかを、西野が耳元でずっと喋るんです。

 

で、時々、「副音声の西野が思っていた以上に喋る」というクレームを頂戴するので、「そんなに喋ったっけな?」と思って、昨日、あらためて西野の副音声を聴きながら映画を観てみたのですが、メッチャ喋ってました(笑)。

基本、1時間40分のラジオだと思っていただいて間違いありません。

 

で、このことを踏まえて、副音声の第2弾が今日から始まるわけですが、えっと…第2弾の西野もメッチャ喋ってます。恐ろしいことに、第1弾よりも喋ってます。

これはもう「録ってしまったものは仕方がない」というところですので、皆様には諦めていただくしかありません。

 

で、ここでは第2弾の副音声の内容について、少しお話ししたいのですが、『えんとつ町のプペル』の舞台となる「えんとつ町」には、たくさんの秘密があるんです。

たとえば、食卓に野菜が並んでいたり、建物に木材が使われたりしているのですが…厚い煙で覆われて、頭の上は朝から晩まで黒い煙でモックモクの「えんとつ町」にそんなものがあるわけがないんですね。

まともに陽が射さないので、植物が育つわけがないんです。
ですが、食卓には野菜が並び、建物には木材が使われています。

 

これは脚本の粗でも何でもなくて、ここには明確な理由があるんです。

 
で、副音声の第2弾では、そういったことをお話しするのですが、想像してくだい。

植物が育たないハズの「えんとつ町」に野菜や木材がある理由って、話すと長くなりそうな気がしません?

そうなんです。長くなるんです。

 

たぶん、今の話だけでも、どれだけ短く話ても5〜6分はかかるんです。

 

でね、食卓に野菜が出てきたタイミングで、「植物が育たない『えんとつ町』に野菜がある理由」を5〜6分かけて話すわけですが、スクリーンの中の映像は止まってはくれませんから、5〜6分後はもう全然違うシーンが流れているんですね。

主人公が友達と喧嘩しているシーンで、「植物が育たない『えんとつ町』に野菜がある理由」を話していたりします。

 

つまり、映像と音声がチグハグなんです。

これ、何度も観て、映画の内容が入っている人じゃないと、ツライと思うんです。

 

この仕事に就いていると、やっぱり「集客」という問題は付きまとって、そこはしていかなきゃいけないのですが、「なんでもいいから、お客さんを呼び込めばいい」とは僕は絶対に思いません。

 
よく、小劇場のお芝居で「チケットノルマ」があったりしますが、あの制度って、そこそこ悪魔の契約で……たとえノルマがあっても、面白い舞台だったら、役者さんにとっては、まだプラスかもしれませんが、「全然、面白くない舞台なのに、チケットノルマの為に集客しなきゃいけない」となったら、最終的に削られてしまうのは、その役者さんの信用だったりするわけじゃないですか?

その役者さんも、友達とかに声をかけて、友達に時間とお金を割いてもらっているわけなので。

もちろん「面白い、面白くない」には個人差がありますから、難しいところではあるのですが、この先、何年も活動を続けていくのならば、明らかにお客さんの満足度が低いような場所には、お客さんは呼ばない方がいいと思っています。

 
結果的にそれは「集客」と逆のことをやっちゃっているので。


なので、どのサービスであろうと、こうして事前に説明して、「思てたのと違う!」というミスマッチを減らす作業は超重要だと思います。
「呼んじゃダメなお客さんは、何が何でも呼んじゃダメだよね」という話です。

 
今回の副音声は、映画を何度も観られて、すでに内容が入っている方にはすっごく楽しんでいただけますが、「2回目です」とか、「あえて一回目から副音声の第2弾をやってやるぜ」という方には、全然楽しんでいただけないと思うので、お伝えしておきます。


「そっちの味を期待されているのであれば、この料理は美味しくないですよ」と正直に伝えるのも料理人の仕事だと思っています。

今は自分の「副音声上映」の話を軸に喋っていますが、意外と、「なんでもかんでも集客しちゃえ〜」というサービス提供者さんって少なくないと思うので、自戒を込めて、「それは長い目で観たときにマイナスですよ」ということで、まとめさせていただきます。

 
そんなこんなで本日から『映画 えんとつ町のプペル』の副音声の第2弾が始まります。

今日お話ししたのは、くれぐれもミスマッチを防ぐ為の話であって、もう一度言いますが、映画を何度も観られて、すでに内容が入っている方にはすっごく楽しんでいただる内容となっておりますので、是非、体験してみてください。

映画の公開もいつまでもやっているものでもないので、早いうちに是非。

アプリの事前ダウンロードなどが必要になってきますので、副音声上映の参加方法は『映画 えんとつ町のプペル』の公式ホームページの方でご確認ください。

 


 

 

 
 

▼西野亮廣の最新のエンタメビジネスに関する記事(1記事=2000~3000文字)が毎朝読めるのはオンラインサロン(ほぼメルマガ)はコチラ↓



▼Instagram版はコチラ↓