本題に入る前にお知らせをさせてください。



ノンスタイル石田君と僕の二人で、呑みながら語り明かすオンラインイベント『ノンスタ石田×キンコン西野 呑みながら喋るエンタメの未来」が2月14日の18時半にあります。

こちらの参加方法なのですが、本日2月2日〜2月10日までの『映画 えんとつ町のプペル』のチケットの半券が、参加チケットとなりますので、今日から映画をご覧になられる方は半券を捨てずにとっておいてください。

石田君とは同期で、デビューの頃から一緒に走ってきた仲でして、実は今回の『えんとつ町のプペル』も2012年に石田君と一緒に舞台で上映しているんですね。

初代プペルは石田君なんです。そのへんの話もできたら面白いかなぁと思っております。
詳しくは『映画 えんとつ町のプペル』の公式ホームページでチェックしてみてください。





さて、そんなこんなで本題です。

 
いつも、「オンラインサロンって何か怪しいけど、何をしてるの?」とよく聞かれるんですが、何をしてるも何も僕のサロンに関しては内容はいたってシンプルで、「毎朝2000文字〜3000文字の記事を投稿しています」というだけなんです。

いわばメルマガです。

ただ、そこでどんな記事が投稿されているかが分からないと思うので、今日は、5年くらい前にオンラインサロンに投稿した記事を思い返しながら、「だいたい、いつも、こんな話をしてますよ」という話をしたいと思います。

 
サロンメンバーさんは「もう知ってるよ!」という内容だと思うので、復習のような感じで聞いていただけると嬉しいです。

 
 




『表現とビジネスモデル』というテーマでお話したいと思います。

 

エンターテイメントを生業としている僕らは、基本を押さえつつも、いつも新しい表現を探していて、お客さんをビックリさせてやろうと思っていたりします。

おそらく、他のサービス業でも同じようなことを考えられている方が少なくないと思います。

で、その「新しい表現はどこから生まれるのか?」というのが今回のテーマになってくるのですが、、

伝統芸能の「能」とか「狂言」ってあるじゃないですか?
ああいうものが行われる舞台の形って、なんとなくイメージつきます?

「能舞台」と呼ぶのですが、中央に正方形のステージがあって、客席からみて左奥の方に、演者さんが登場する渡り廊下みたいなのが斜めに伸びているんです。

ステージから左奥に向かって斜め奥に。

この渡り廊下みたいなものを「橋掛り」と呼ぶのですが、この橋掛りの横には、松の木が3本植えられていて、手前から「1の松」「2の松」「3の松」と呼ぶんです。

……なんか、聞きなれない単語を次々と繰り出してしまってすみません。


この松の木が面白くて、木の高さが、それぞれ違っていて、奥に向かうにつれて、松の木の背が低くなっているんです。

これは「遠近感・奥行きを出す為」といわれています。

 
能の歴史って諸説あって、一説には、13世紀の終わり頃には今の能の原型が出来上がったと言われています。
とにかく昔からあるのですが、その当時から「舞台の奥行き」みたいなものが演出に組みこまれていて、その当時から3D的な発想があったんです。

したがって演者さんの動きは、ステージ奥から手前に動く「縦移動」が多めになるんですね。

 
ただ「能」のビジネス的な難点は、橋掛りが斜めに伸びているので、「客席を多く確保できない」が考えられます。

劇場の図面を想像していただけると分かると思うのですが、能の舞台って、結構、贅沢な空間の潰し方をしちゃってるんです。
まぁ、そこが最高なんですけども。
とりあえず、ここではビジネス的な視点で語らせてください。

 

で、

 

月日が経ってあれやこれやとありまして、歌舞伎が出てくるんですね。
歌舞伎が世に出てきたのは、たしか1600年頃だったと思います。
間違ってたらすみません。

歌舞伎のステージの形ってイメージつきますよね?

客席正面の一番奥にステージがある。
ああいう絵画の額縁みたいな舞台の形は「額縁舞台」と呼んだりします。歌舞伎の場合は、ここに「花道」というのがつきますが、まぁ、僕らが知っている舞台のベーシックな形は「額縁舞台」ですよね?

学校の体育館のステージがそうですね。

劇場の図面を想像していただけると分かると思うのですが、額縁舞台だと、より多くのお客さんを劇場に入れることができるんですね。

たくさんお客さんを入れられるので、公演内容によってはチケット代も少し下げられるかもしれません。

そうすると、一気に大衆性が増し、一部貴族のものではなくなる。

もちろん、「能」が一部貴族だけのものだったか?というとそんなことは無いと思うのですが、シンプルに、額縁舞台は多くの人に届けることができる。

 

で、この舞台の形によって、どうなったかというと、舞台が横に広がって、演者さんも「舞台袖」と呼ばれるところ(ステージ真横)から飛び出してきますから、演者さんの動きが「横移動」が多くなるんですね。


吉本新喜劇の島田珠代姉さんが、舞台の端から端まで走りって、壁にぶつかるギャグがあったりするのですが、あれなんてまさに「横移動」多めの「額縁舞台」ならではの表現で、「縦移動」多めの能の舞台ではなかなか表現できない。


より多くのお客さんに見てもらう為に、ステージの形を変えたことによって、そういった「横移動」の表現が生まれたわけですね。


切り取り方を変えると、「新しいビジネスモデルにしたから、新しい表現が生まれた」とも言えます。

100人のお客さんから1万円ずつもらうビジネスから、500人のお客さんから2000円ずつもらうビジネスに移行した瞬間に、そのビジネスを成立する為の新しい表現が生まれた。

 
YouTubeとかもそうですよね。

 
「スマホのあの小さな画面で観てもらう」というのが前提にあるから、テレビのように団体芸でワ〜という感じではなく、基本、登場人物は少なめで、その中で何ができるかを模索する。


「現代人はせっかちなので、動画のスピード感を出した方がいいからトークの間をつめるような編集がなされて、言葉が聞き溢れのないように、文字テロップがずっと出てる」みたいな、テレビとはまた違う表現が生まれている。

何が言いたいかというと、「表現が先か? ビジネスモデルが先か?」という話なんですけども、絶対に「ビジネスモデルが先」なんです。

「ステージの形」であったり、「画面のサイズ」であったり、あるいは「お金の流れ」であったり…太古の昔より、新しいビジネスモデルが、新しい表現を生んでいるんです。
これは歴史が証明しています。

なので、圧倒的に新しい表現を模索したいのであれば、新しいビジネスモデルを構築することが大切なのですが……多くの人は「新しいビジネスモデル」を脊髄反射的に否定しちゃうんです。。

「そんなのはダメだ」と。


それって、「表現の否定」なんです。
「もう新しい表現は生みません」と同義です。

新しいビジネスモデルが誕生した瞬間って、まだ新しい表現が開発されきっていないから、「そんなのはダメだ」が通用するんですけど、まもなく新しいビジネスモデルは新しい表現を生むんです。

 
その瞬間、「そんなのはダメだ」と言っていた人達が一気に過去の人になってしまう。
そりゃそうです。
新しい表現を否定してしまっているので。


なので、いつの時代も、新しいビジネスモデルが、新しい表現を生んでいるから、新しいビジネスモデルが出てきた時は、否定せずに、ちょっと「様子を観た方がいい」と思います。

 
オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、こんな話を毎朝しております。
興味がある方は是非。
 


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