本題に入る前にお知らせをさせてください。 


このお知らせに関しては今日が最後になるのですが、『映画 えんとつ町のプペル』のストーリーは僕の半生を下地にしているんですね。


あそこに出てくる言葉は実際に僕が言ったり浴びたりした言葉だったりします。

つまり、それなりに壮絶な目に遭ったんです(笑)。


ただ、こういう話って自分で話しちゃうと、「まだ恨みでもあるのか」と捉えられてしまって、ジメッとしちゃうので、深いところまではあまり話さないようにしていたのですが……それでも、「その時期をどう過ごしたか?」には、そこそこ需要があるというか…今、挑戦して、同じような目に遭っている人の励みになるかもしれません。


というわけで、当時(まぁ、今もですが)僕の隣にいた後輩二人、ブロードキャスト房野君と山口トンボ君が「誰も知らない あの日の西野亮廣」を語るオンライントークイベントを開催することになりました。


参加チケットは、1月10日から1月13日(今日)までの『映画 えんとつ町のプペル』の半券です。

今日が最終日です。

ですので、今日、『映画 えんとつ町のプペル』を観に行かれる方は、半券を捨てずに持っておいてください。


オンライントークイベントの参加方法に関しましては、『映画 えんとつ町のプペル』の公式ホームページの方でご確認ください。




 

そして、お知らせの二つ目です。

毎度おなじみのお知らせとなっておりますが『映画 えんとつ町のプペル』の副音声付き上映が明後日15日からスタートします。


私、西野亮廣が耳元で囁き続けるエッチな100分間です。


嘘です(笑)

制作の裏話や、えんとつ町の裏設定を話たり、時々、お客さんとして普通に見入っていたりします。


家のリビングで一緒にテレビを観ているような感覚です。

僕も、ちょっとさっき、自分の副音声を聴いたんですけど、結構、面白いです。

是非、一度、体験してみてください。


『映画 えんとつ町のプペル』の副音声付き上映は、明後日、15日からスタートです。

副音声を聴くには事前のスタンバイが必要になってくるので、『映画 えんとつ町のプペル』の公式ホームページをご確認ください。





 

そんなこんなで本題です。

 

今日は僕の人生を変えた「立川志の輔」師匠のお話です。


これは先月出版した『ゴミ人間』という本の中でも書かせてもらっているのですが、テレビから軸足を抜くことを決めた25歳の頃、志の輔師匠の『志の輔らくご』を観たんです。

たしかパルコ劇場でやられていたと思います。本多劇場だったかな。

 

もともと僕は劇場生まれ劇場育ちの人間ですので、「落語」は身近にあったんですね。

当然、落語家さんと出番が前後することもありました。

なので、結構な数の落語を観てきた方だと思っていたのですが、僕の中では、志の輔師匠の落語は他の落語と全然違って、とにかくエンターテイメントだったんです。

映画一本を観ているような。

 

最初に観たのは『ガラガラ』だったかな。

客足が遠のいてきた商店街が、起死回生をはかる為、歳末セールのガラガラ抽選会の1等商品を、思い切って「世界一周豪華客船の旅」にするんですね。

そこにお金をかけすぎたから、2位以下の商品が1個ずつしか用意できなかったのですが、そうまでしても1等の「目玉商品感」は大事なので、とにかくお金を絞り出して「世界一周豪華客船の旅」をなんとか1つ用意するんです。

ところが、1等の「世界一周豪華客船の旅」が立て続けに2本出ちゃうんですね。

さっき、金の玉が出たのに、また、金の玉が出ちゃうんです。


「これはおかしい」ということで、ガラガラの業者に「金の玉が2個出たぞ。どういうことだ」とクレームを入れたところ「そりゃ出るでしょうよ。だって注文表に、『一等=7』って書いていたじゃないですか?」と返ってくるんです。


言われて確認してみると、注文表に書いた一等の本数の「1」が、たしかに「7」っぽい(笑)。


でも、一等=7本、二等以下は全部1本って変じゃないですか?


「そこは汲みとれよ」と商店街のオジサン達はいうわけですが、時すでに遅しで、ガラガラ抽選は「世界一周豪華客船の旅」を求めた大行列。

さあ、どうする?…というところから始まる物語ですが、とにかくメチャクチャ笑って、そして、とっても優しい世界観だったんです。



 

その後に『メルシーひなまつり』を観たのかな。

それもメチャクチャ笑ったのですが、気がついたら最後は泣いちゃってて、その涙が止まらなかったんです。


「ああ、僕はこういうことがやりたくて、この世界に入ったんだった」と思ったわけですね。


なんかね、求められていることをやると褒められるので、つい、見失うんですよ。


でも、師匠の落語を観た時に、そういうのは全部言い訳だなと思った。



事実、師匠は、自分が面白いと思うことを徹底的にやって、これだけの人を巻き込んでいる。

やればできるんですよ。

 


そこで覚悟を決めて、大きく舵を切り、そして今に至るわけですが、

一つ確かなことは、志の輔師匠に出会わなければ、今のような夢を追いかけることはなかったんです。


大先輩であり、僕にとっては恩人中の恩人であり、そして、師匠の前に行くと、本当に、ただのお笑いファンになっちゃうんです。

ホント、今でも、毎年、チケットを握りしめて、開演前の劇場の列に並んでるんで。

 

で、「なんとなくこのあたりかなぁ」と折り合いをつけかけていたあの日の僕に「もっと上を見ろ」と言ってくれた人なので、『映画 えんとつ町のプペル』で、「星はある」と主人公に言う父親の「ブルーノ」役は志の輔師匠しか考えられなかったんです。

 

そんなこんなで、呑みに行かせていただいて、声優の出演の直談判した時に、


「素敵な話をくれてありがとう。是非、やらせていただきたいのですが、一つだけ条件があります。僕は西野君の大先輩なので、西野君がアフレコ時に僕に気を使ってしまうことは容易に想像がつくけれど、この作品が、西野君と、西野君の周りのスタッフの皆様、そしてファンの皆様が大切に育ててきた作品です。そこに遠慮があってはいけないんで、アフレコ時に、僕のぱファーマンスが至らなかった場合は、西野君が納得行くまで何度でもやり直しを申し付けてください。それが約束できないと、お受けできません」


と言ってくださったんです。

 

もうメチャクチャ背筋が伸びたし、実際、当日はトコトンやらせていただきました。




憧れの人と、真正面からぶつかって、そうして『えんとつ町のプペル』という作品が生まれたんです。

あの時間と、この作品は、僕の宝物以外の何物でもなくて…これ、酔っ払ってたら、いつでも泣ける案件なんです。


僕、本当に、ただのファンなんで。


自分が仕事でどれだけ結果を出そうが関係ないんです。師匠を前にすると、ただのファンになっちゃうんです。

その昔、実際、ファンレターを書いて渡したことがあるし(笑)

 


その師匠が、今年の頭に肺炎で入院されて、無事に退院されたのですが、師匠のライフワークであった『志の輔らくご』は全公演中止になっちゃったんですね。


師匠のことだから、今年こそ、お客さんに笑ってもらいたかったと思うんですよ。

誰よりもやりたかっただろうし、無念で無念で仕方なかったと思います。

 

で、僕は、映画のプロモーションで飛び回っている時に、その一報を聞いたわけですが、いてもたってもいられなくなっちゃって………何かできることはないか考えたのですが、何もなくて、でも、皆が立川志の輔の落語を待っていることは伝えたくて、メチャクチャ応援していることは伝えたくて、出すぎた真似ですが、勝手に応援動画を作らせていただきました。2分ぐらいの短い動画ですが、めいっぱいのエールと、この上ない感謝の気持ちを込めて。

 

とにかく今は、ゆっくり休んで、体力を養って、もういつまででも待つので、また元気なお姿で高座に帰ってきて欲しいなと思います。



#がんばれ父ちゃん



 


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