西野です。
僕の絵本の担当編集の袖山さんがFacebookの記事が本当に素敵だったので(あと、西野がモテそうなので)、シェアさせていただきます。

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日曜は、えんとつ町のプペルの完成披露試写会でした。
さっそくたくさんの方が、感動した、刺さった、泣いた……とコメントしてて、どれだけ嬉しいことか……!
が、これは、試写会が“終わった後”に、泣いた話です。

イベントが終わってから、私は美酒に酔いました。美酒に酔うのが好きな私ではありますが、昨日の美酒は、キングオブ美酒でした。

この試写会は、2年半前に立ち上がった「革命のファンファーレ1万部プロジェクト」というクラウドファンディングの、2年半越しのリターンでもありました(←箕輪君が立ち上げてくれたやつ)。待ってくださった皆さんに来てもらえて本当によかった。
あのシーンもよかったねー、これもよかったねーと言いながらスタッフと飲んでたら深夜になり、イイキモチになって帰ろうとしたときに、
西野さんが現れました。

さっきまで、あれだけの舞台をこなし(お客さんを楽しませつつ、メディアにもおいしい思いを提供する、サービスの天才!)、

あれだけのゲストに対応し(楽屋でもステージでもテンションが変わらず、ゲストひとりひとりに誠実で丁寧、しかも謙虚!)、

にもかかわらず、イベントが終わった後のスケジュールまでびっちりだった西野さん(取材に次ぐ取材でも、疲れた顔を見せない鉄人!)。

本当にお疲れ様でした。どうぞ少しでも早く帰って、ゆっくりお休みください。
と言ったような気がするのですが(たぶん!)、
西野さんは「軽く飲みましょう」と、もう閉まってる店も多い中、空いてる店を探して、すたすた歩いて、すたすたと入っていく。

取材の後、今までどこにいたんですか?と聞いたら、
スタジオ4℃の皆さんのところにいた、と。
クリエイターの皆さんと直接会えないまま進めたことも多かったし、
ちゃんと会って、顔を見て、話をしたかった、お礼を伝えたかったのだ、と。

“ステージに上がる人”の思いや、頑張りや、能力のすばらしさは、みんなに伝わるし、届くことが多い。
実際、ついさっきまで、キャストの皆さんの魅力を、持ち前のMC力で、短い時間に最大限まで引っ張り出していた。

でも、ステージにあがることのない貢献者――この偉大なるアニメーションを作った、たくさんのクリエイターや関係者がいる。

この作品が、多くの人の目に初めて触れた、記念すべき今日。
西野さんは、迷わず彼らのもとに駆け付けた。

総大将には、行くべきところがたくさんあるものだ。あっちからもこっちからも来てほしいと言われるだろうし、できるなら、全部行きたいと思うははず。
でも一つの身体しかない西野さんは、彼らのもとへ行った。
世界を圧倒する、あの映像を作ったチームのもとへ、人知れず日々がんばった彼らのもとへ。
舞台挨拶の最後、ステージの袖のところで、長時間頭を下げていた姿を思い出した。
そうだ、西野さんは、昔からずっと、こういう人だ。

西野さんは、こんなに華やかで、すごい存在感なのに、
自身の基準は、常に「自分より、他人」だ。
自己と向き合う、とか、自我との対話、みたいなことに時間を使うのはきっともったいなくて、ひたすら目は「外」と「未来」に向いている。限られた人生、使える時間は、「誰かの」「何かの」ために使いたい人なのだ。

だから、
自分自身が消耗していても、そのことに、マジで気づかない。食事も平気で忘れるし、寝ないし。
今日、超がんばったこと、だから体は疲れてるんだってことを、教えてあげなくては!
この特別な一日、西野さんはよくがんばりましたよ。ものすごくかっこよかったですよ。
聞きましたよね、あの、嵐のような拍手喝采!!!
いやーほんとにお疲れ様でした! もう、オンからオフに切り替えてください! もうスーツを脱いで(着てないけど)、ネクタイは取って(してないけど)、
まあ、一杯やりましょう!

すでにハッピーに仕上がってる私は、
ぺらぺらぺらぺらしゃべってたと思います。
申し訳ない。西野さんの大事な時間を、私のぺらぺらが埋めていく……。
ごめんなさい、西野さん。
でも、最高に幸せなんです。今日。
プペルが、こんなに大勢の人の絶賛されたんですよ、西野さん。
みんなが興奮して、泣いて、笑って、幸せそうに帰っていきましたよ、西野さん。
だから許して、西野さん。
どんなジャンルにも与さない、西野さんにしか作れない映画ができましたね。
「楽しかった」だけで終わらない、観た人のなかで進化していく映画ですよね、西野さん。
映画1作目から、本当に世界に勝負、しましたね、西野さん。
しかし、凄すぎるな、西野さん。
ステージの上の西野さん、眩しかったな。
でも、「自分が叩かれたせいで悔しい思いをした友達やスタッフのために、頑張った」っていつも言いますよね。こんなに立派になられても、昔からそれ、ずっと変わらないですよね、西野さん。
思えば、私は、西野亮廣という船に乗ったんです。嵐もありましたよ、荒波しかない時期もありましたよ、いろんな人が乗ってきたり、降りていったりしましたよ、でも、私は降りなかった。そしたらこんなところに連れてきてもらえました。この船、乗ってよかったー。
私は、最高に幸せな編集者です。
あーだ。こーだ。西野さん。
さすがに、そろそろ帰りましょう。

という段で、さりげなく会計まで済ませた西野さんが(ごちそうさまです!)
立ち上がるのかと思ったら、急に姿勢を正して言いました。

「袖山さんのおかげで、ここまで来れました」

え??
今、なんて??
時間が音を立てて止まりました。(ほんとに止まることってあるんですね)
西野さんは、疲れ果てた状態にもかかわらず、きっと、これだけのために、この時間を作ってくださったのです。

才能ある表現者、クリエイターをそろえて、
そのトップに立ち、
すべての立場の人をチアアップし、
最強のチームを作り、
そうやってこんなにすごい映画を作った人が、
世界を見据えて戦ってる人が、
裏方も裏方、映画製作にかかわっているわけでもない、絵本のお手伝いをしてきただけのちっぽけな編集者に、これを言うために、この路地裏の居酒屋にいる。

西野さんと長く仕事をしてきましたが、
「才能の塊」同士でぶつかり稽古してるみたいな毎日を送る西野さんを見て、
私って無力だなあーと思うことが何度もありますし、年中へこみます。
それでも、西野さんが行く先に障害物やゴミがあれば、それを退かすことは西野さんの仕事じゃないし、私にできるかな。
必要なときに「使える」と思ってもらえる、気を遣わないで適当に使える、裏方でいられたらいいなと思ってやってきました。

そんなちっぽけ編集者に、こんなご褒美、ありますか。

うそー!まじでーー!うれしいーーー!かんどーーー!!とか
またぺらぺらぺらぺら言ってたと思いますが、
気持ちも頭も呆然としたままで、タクシーに乗った西野さんを見送ったあと、
自分もタクシーに乗ると、途端に泣けてきました。

西野さんは世界を獲るために、大きな地図を描いている人だけど、足元で咲いてるちっぽけな花を、絶対に踏みつけたりしない。
西野さんを囲む世界がすごい勢いで大きくなってるから、別世界の住人みたいに思うことがあるけんだど、楽屋でみんなにいじられながらも黒い絵を描き続けたあのときを、西野さんは忘れてない。
やばい、書きながらまた泣きそうだ。

長くなりましたが
世界に勝負をかけたイケメンが、いかにイケメンか、という話でした。

そんな西野さんにロングインタビューさせていただいた『小説幻冬』のAmazon予約が始まりました。
プペルとルビッチと、小説幻冬の「鬼くん」のコラボカバーです。
ワタクシ、袖ッチも、原稿を書かせていただきました。
編集長から「1000字で西野さんのこれまでの歩みを書いてほしい」と言われて、「1000字じゃ無理~! 箇条書きにして並べただけで、終わっちゃう!」と、勝手に三倍くらい書いてしまってます。よろしければ。
しかし、毎度長くてすみません。。。