本題に入る前に、近況報告です。

昨日、映画『えんとつ町のプペル』の主演お二人のアフレコ収録が終わりました。


誰が主演なのかはここではまだ言えませんが、お二人をキャスティングさせていただいた理由について少しお話ししたいと思います。

言うまでもありませんが、今年、2020年は世界中が不安に包まれた年で、少なくとも僕の人生の中では、ここまで世界から夢や希望が奪われた年は初めてです。

奇しくも、この状況というのが、星を知らない(星が見えない)「えんとつ町」とダブっていて、厳しい戦いになることは百も承知で、それでもやっぱりこの作品は今年公開するべき作品だと思いました。

そんな中、頭の上を覆った煙を突き破って星を見せてくれる主人公の煙突掃除屋の「ルビッチ」と、ゴミ人間の「プペル」を背負ってくれる俳優さんは、単純に「声が合う」という理由だけじゃなくて、その人自身が、そういう芯の強さを持った人じゃないと、お客さんには刺さらないだろうなぁと思って、今回のお二人にお声がけさせていただきました。

 

まもなく映画『えんとつ町のプペル』の声優陣が発表されると思うので、この話を覚えておいていただけると嬉しいです。

「ああ、なるほどな」となるでしょうし、「この人、以外考えられないな」というキャスティングになっています。

アフレコ収録でお二人の第一声を聞いた瞬間に、ブースの外側にいるスタッフ全員がガッツポーズをしました。

「この人で間違いない」という確信です。

まもなく発表になるので、お楽しみに。

そして、作品の制作はいよいよ大詰めに入りましたので、1ミリの悔いも残さないように、頑張ります。

 

さて。
そんな中、昨日、アフレコ収録終わりに、「スナック西野」の収録がありました。


 
「スナック西野」というのは、YouTubeの月額590円のメンバーシップチャンネルです。

毎月2回放送(ときどき3回)で、僕の呑み仲間を、僕の自宅にお招きして、「(1時間ぐらいかな?)ただただ呑みながら、いつも通りの会話をする」という内容となっております。

こんなことを言ったらアレなんですけど、見られることを意識して喋ってないんです。

なので、見られることを意識しなくていいような撮影スタイルになっていて、カメラも固定だし、スタッフも最小人数で、時折会話に混ざりながら、呑んでいます(笑)

 

昨日の収録では、ゲストに品川庄司の品川さんが来てくださいました。
人としても本当に好きだし、表現者として尊敬以外の何物もない先輩です。

 

実は品川さんにはデビュー1年目の頃からお世話になっていて、僕が業界中・日本中から叩かれている時も、まわりの評判とか、まったく関係なく呑みに連れてってくださったんですね。

 
あまり想像つかないかもしれませんが「西野と仲良くしている」というだけで、煙たがられる時代というのが本当にあったんです。

 
人として最高だなぁと思ったのは、もう随分昔……僕が24〜5歳の頃だったと思うのですが、幸か不幸か僕はスピード出世で、最初の頃は同業者(少し先輩)から、とにかく攻撃されたんですね。

 
当時は、まだ「エンタの神様」とかも始まっていなくて、お笑いブームが起きる前で、若手芸人がテレビに出る機会なんて、本当になくて、そんな中、たまたま運が良かっただけで、自分達だけがポンと表舞台に出れたので、ぶっちゃけ「妬み」もあったと思います。

 

その時期を乗り越えて、東京に進出して、ゴールデンタイムで看板番組を持って、全国ネットの人気者になった時に、ブログか何かで当時の先輩のことを名指しで書いたんです。

それが品川さんに見つかっちゃって、「相手は先輩かもしれないけど、今はもうお前の方が売れていて、相手の方が弱い立場にある。いろいろ思うところはあるかもしれない。ただ、喧嘩をするなら、自分より強いヤツにいけよ」とメチャクチャ怒られた(笑)

 
でも、ホント、おっしゃる通りで、こういう人をガッカリさせちゃダメだなっと思って、その数ヶ月後にナイナイの岡村さんに喧嘩を売ったら、「強いヤツに行きすぎだ」とまた怒られました(笑)

「その間ぐらいの…なんかイイ感じのラインがあるだろ!」と(笑)

 

そこから僕は、年齢関係なく、自分よりも立場が弱い人を攻撃するのは辞めました。
人そして見習った部分は、そういうところです。

 
次に、表現者として憧れている部分ですが。。

 
去年だっけな?
友達と呑んでて、その夜も散々「次はアレをしよう、あと、大変だけど、アレも作ろう!」みたいな話をして、散々酔っ払った帰り道に、ふとスマホを開いたら、相変わらずツイッターのタイムラインは揚げ足の取り合いと、魔女狩りのオンパレードで、一般の方がされるのはまだしも、芸人までもがそこに参戦してて、なんか悲しくなっちゃったんです。

もう、他人の不倫とかどうでもいいじゃないですか。
お前に関係ないじゃないですか。
 
さらには、不倫を取り上げることによって、不倫された側の傷口が広がるじゃないですか。

「芸人が、なんでそんなことをするんだよ」「誰よりも優しくあれよ」
と思って、なんか、このまま家に帰るのが嫌になっちゃって、深夜0時ぐらいだったと思うのですが、「今から、お酒を買って家に行っていいっすか!?」と品川さんに連絡しちゃったんです(笑)

そうです。もう、とんでもねぇ後輩です。

 

品川さんがシラフで、僕はベロベロに酔っ払って、そこで僕は「悔しいっす!」みたいなことを延々と言っているんですね。

「芸人だったら、テメエの表現で世界を唸らせてくれよ!」みたいな。

夜中にこんな酔っ払いの後輩が家に転がり込んでくることを想像してみたください。品川さんが可哀想すぎるじゃないですか(笑)

 

ただ、どうしてその話を品川さんにしたかというと……あの人、ずっと作っているんです。

 
映画にドラマにMVに、あれやこれやず〜っと作品を作り続けている。

あらゆる活動には評判と数字が伴うわけですが、こと「作品」となると、分かりやすく監督責任で、品川さんの作品が面白くなかったり、数字で結果が出なかったら、全部、品川さんのせいなんですね。

「品川の作品がスベった」と言われる。

 

その恐怖を背負い続けている強さと美しさよ。
品川さんに比べると僕が背負っている責任なんかはまだまだ子供ですが、それでも共感させてもらっています。

僕は品川さんのオンラインサロンに入っているのですが、品川さんの活動を見る度に、「ああ、頑張らないとな」と思わされるし、「後輩に見せなきゃいけない背中ってコレだよな」と、毎度姿勢を正されます。


品川さんが新作の制作に入られる度に、「今、これを作ってんねん」と制作途中のものを見させていただいくのですが、

子供の頃、近所にいた、ちょっと悪めのお兄さんって、こんな感じだったじゃないですか?

「こんな遊びあるで」と教えてくれた。

そうして時間をいただいて教えてもらっている以上は、結果で返さないと失礼だから、今日もせっせと頑張るわけですが、

芸人として、作り手として、そういう関係でありたいな、と昨日あらためて思いました。

 

僕はただの酔っ払いなので無視していただくとして、昨日、収録した「スナック西野」の品川さんの話を聞いていただくと、「ああ、俺ももうちょっと頑張ろう」と間違いなく思えるので、お楽しみに。

 
 
 
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