https://voicy.jp/channel/941/95804
今日は、「自分の判断が、方針によるものなのか、思い込みによるものなのか」は常に問い続けた方がいいよね、という話をしたいと思います。
御存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、僕の絵本というのは、ずいぶん描き込み量が多いんですね。
それこそ最近では映画化が決定して、今でこそ、一部の方から支持していただけるようになりましたが、発表した当初は散々で、一番言われたのは「子供は、こんな描き込み量の多い絵本は読まない」というご意見だったんです。
【西野亮廣新連載『ゴミ人間』】
https://thetv.jp/news/detail/242102/amp/?__twitter_impression=true
そういう親御さんに対して、当時、僕がずっと抱いていたのは「その意見は、どこのデータを元にしてるの?」という疑問です。
「子供は、こんな描き込み量の多い絵本は読まない」も何も、過去に読まれなかった「こんな描き込み量のある絵本」って、どの作品のことを指してるの?という(笑)
僕、僕の絵本ぐらい描き込んでいる絵本の存在を、あんまり知らないんですけど、そんな絵本、どこの本屋さんに並んでいるんですか?
森で見たこともない謎の昆虫を捕まえて、その謎の昆虫がハチミツ食べたとしても、それに対して、「この謎の昆虫はスイカは食べない」とか言えなくないですか?
だって、まだスイカを試してないんだもの。
さらに言うと「描き込み量が多い=子供は観ない」という謎の方程式だと、子供が飛び付いていて、描き込み量の多い『アナと雪の女王』とかは、どういう扱いになるんですか?
んでもって、『えんとつ町のプペル』は、結果、結構な子供が観てくれました。
多くの親が言っている、「子供は、こんな描き込み量の多い絵本は読まない」というやつ、アレ、何なんですか?
絵に対象年齢なんて無いんです。
あるのは「好み」だけです。
『ノンタンといっしょ』みたいな絵が好きな子もいれば、細かすぎる迷路が好きな子もいる。
僕が子供の頃なんかは、プラモデルの戦闘機や戦艦のパッケージに描かれていた「写真のような絵」が好きでした。
プロペラが千個ぐらい付いているスチームパンク系の飛行船も好きでした。
何が言いたいかというと、世の中には、何のエビデンスもない、親によるそういった思い込みによって、知らないものに触れる機会を削られている不幸な子供がいるということです。
感動に出会えていたかもしれないのに、それが削られている。
それが親の教育方針なら、まだ分かるんですよ。
「5歳までネットを触らせない」とか。「描き込み量の多い絵本は見せない」とか。
その方針が正しいか間違っているかは知りませんが、そこには、意図があるので。
そうじゃなくて、「子供は、こんな描き込み量の多い絵本は読まない」とかって、完全に親の思い込みであり、勘違いじゃないですか。
子育てに限った話じゃなく、後輩を教育する時も同じかもしれませんが、今回のような「教育方針」と「思い込み」は明確に区分しておいた方がいいなぁと思います。
子供や、後輩や、場合に行っては自分自身に、何かしらの情報を飲み込ませる時に、ある可能性を削除したりする。
それが「方針」で削除しているのか、「思い込み」で削除しているのか、という問いを常に持ち続けておくことが大切だなぁと思います。
特に自分自身に飲み込ませる情報を「思い込み」で削除している人というのは本当に多くて、それこそ、このラジオでもよく言っていますが、数年前のクラウドファンディングなんて「あれは、宗教だから」という理由で選択肢から外されていた。
ちょっと待て。クラウドファンディングのどの部分を切り取って「宗教」って言っているの?
そもそも、貴方の言う「宗教」って何?みたいな(笑)
https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/1921
もっともっと時代を遡って、僕の体験談を話すと、僕が1年目の頃なんかは、「パソコンで書くネタが面白いわけがない」と言っている先輩芸人が本当にいたんです。
「ちょっと待ってくれ。それは、ちゃんと比較したのか?」と思いません?
彼らに「パソコンでネタを書いたら面白さが減る理由って何なんですか?」と聞いても、答えを持っていない。
もっともっと時代を遡って、昭和まで遡ると、「練習中に水を飲むな。弱くなるぞ」みたいなのがあった(笑)
水を飲んだら弱くなる理由って何なんですか?
ここまで遡ると、流石に100人中が100人が「マジで何言ってんの?」となると思うのですが、「練習中に水を飲むな。弱くなるぞ」と言っている人と、「クラウドファンディングは宗教だから」と言っている人がやっていることは、本質的には全く同じです。
エビデンスを持たないまま、思い込みで判断を下して、自分の可能性を削り、子供や後輩に可能性を削る作業を削り続けている。
最悪、自分一人で生きている人だったら、自分がその判断の責任をとればいいだけなのですが、親や上司がこの病にかかってしまうと厄介ですよね。
ご自身が、その病に犯されていないか、今一度、チェックしてみてください。
調べ方は簡単で、「自分が否定しているものの『否定している理由』は何か?」という検査をするだけです。
否定している理由が、即答できなかったり、頭に「なんか」という言葉が付いたり、「良い評判を聞かないから」だったりしたら、(好きな言葉ではありませんが)シンプルに老害です。
時代の歩みを止めて、不幸の量を増やしている人です。
チェックしてみてください。
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