新型コロナウイルスによって職場を奪われたタレントさん達が、今、続々とYouTubeに参戦していますよね。
それに引っ張られる形で、YouTubeチャンネルを立ち上げる方も増えていたりするのかな?
…そのへんはよく知りませんが、いずれにせよ、コロナ関係なくYouTubeは「ググる」に続く検索ツールとしての需要を高めていくでしょう。

もはや、「YouTubeチャンネルを持っていない」というのは、「会社のホームページが無い」とか「会社の固定電話が無い」みたいな感じになっていますよね。
つまり、社会と繋がる為のドレスコードになっている。

これはもう抗えない流れだと思います。
この記事を読んでくださっている方の中にも、「自分がYouTubeをやるには、どの枠を狙おうか?」とか考えておられる方がいると思うので、今日はそんな方に向けて参考になるかもしれない話をしたいと思います。



YouTubeの戦い方って、大きく分けると三種類だと思っています。

①再生回数(チャンネル登録者数)を稼ぎに行く。
②有料コンテンツの宣伝として使う。
③お客さんとの一対一のコミュニケーションツールとして使う。

こんなとこですね。
戦い方によってお金の出所が違って、
①は広告費。
②と③は、お客さんからのダイレクト課金です。

ちなみに、僕は②です。
オンラインサロンの案内になればいいなぁと思いながら、YouTubeチャンネルを立ち上げています。




ウチの若手スタッフとかは③ですね。
「バズらせる」なんて一ミリも考えていなくて、ライブ配信で、とにかく一人一人とコミュニケーションをとっています。
たぶん、世間的には「それって、コスパが悪くない?」というところなのかもしれませんが、ちなみに、世間的にはまったく無名のウチの社員が旗を振っているクラウドファンディングの支援額は現在、700万円(※支援者1000人以上)を突破しています。

一対一のコミュニケーションで繋がった方々が、こういう時に支援してくださるわけですね。
このあたりの踏み込んだ戦略については、僕のオンラインサロンの方で御説明させていただいておりますので、ここでは割愛します。



で、今日はですね、長年、時代の先頭を優しく見守り続けてきたキングコング西野がですね、『ビジネス芸YouTuberは、さすがにもう撤退した方がいいかもね』というテーマでお話ししたいと思います。


まず、念をおしておきたいのが、「ビジネス系YouTuberさん全員が撤退した方がいい」という話ではなくて、「ほとんどのビジネス系YouTuberは撤退した方が良いかもね」というのが僕のメッセージです。


要するに、もう「勝負あった」というところですね(笑)
「ビジネス系YouTuberの戦国時代は終わった」というのが僕の見立てで、今からビジネス系YouTuber枠を狙いにいっても、あんまり美味しい未来は待っていないと思います。


理由は、『時代の空気』と『本人のモチベーション』の二つです。


まずは、『時代の空気』について。

僕、エンタメとビジネスの両輪で走っているので、それぞれの業界に寄せられる熱量を結構冷静に比べることができるのですが、今、ビジネス業界に吹いている風は何かというと「もう、正論は聞き飽きたよ」なんです。

よく使われる言い方でいうと「正解がコモディティ化している」といったところですかね。
コモディティ化というのは、類似サービスが同時に販売されることでサービス間の差がなくなり、市場価値が低下することです。

「もう、正解なんて誰でも言えるよね」という空気になっている。

 
一方、エンタメの熱は高まってきています。
コロナが「飢え」を作ったのもあるかもしれません。
この時期に映画『今日から俺は』がヒットしたのなんて、まさに。
もちろん作品の素晴らしさもさることながら、皆が、エンタメを渇望していたことも後押ししたと思います。

今、エンタメが待たれている感じはヒシヒシと伝わってきますね。
こんな中、正論合戦に新規参入するのは、かなり分が悪い。



次に、『本人のモチベーション』の問題。
たぶん、こっちの方が大きな問題です。 

冒頭で、YouTuberの戦い方が3つあるという話をさせていただいきました。

①再生回数(チャンネル登録者数)を稼ぎに行く。
②有料コンテンツの宣伝として使う。
③お客さんとの一対一のコミュニケーションツールとして使う。

このうち、これまでビジネス系YouTuberは①か②だったんです。
ところが、ビジネス系YouTuberと呼ばれる人の中でもトップを走る人達が軒並み、メンバーシップ(有料チャンネル)をスタートさせた。

で、僕も『スナック西野』という負け組アル中のメンバーシップをスタートさせたので、勉強がてらビジネス系YouTuberさん達の有料チャンネルに参加させてもらったのですが、やっぱり、断然面白いんですね。





僕ごときが偉そうに言うのもあれですが、ちゃんと「使える情報」なんです。

こうなってくると、メンバーシップを始めたビジネス系YouTuberさん達は、有料チャンネルで有益な情報を、そして、無料チャンネルで少し浅めの(言ってしまえば)「有料チャンネルの客寄せ」的な情報を発信するわけじゃないですか?

メンバーシップを始めたYouTuberさんからすると、もはや、YouTuberの広告費なんて雀の涙です。
それより、メンバーシップに入ってもらった方がいい。

そうすると、メンバーシップに入ってもらう為に浅い情報を発信しているビジネス系YouTuberさんと、
雀の涙だよりで、浅い情報を発信しているビジネス系YouTubeさんの間に、モチベーションの違いが明らかに出てくる。

「ここはお金にならなくていいっす」という人と、
「ここがお金になってもらわないと困る!」という人の違いですね。
そして、いずれにせよ、入ってくるのは雀の涙ほどのお金なので、後者はやりきれなくなってくる。
前者は、メンバーシップに繋げる為に割り切っているので、モチベーションが低下することはありません。


もっというと、「ここはお金にならなくていいっす」というビジネス系YouTuberさんは、その雀の涙ほどのお金は全額広告費にまわすと思います。
そっちのほうが、最終的な収益が大きくなるので。


なので、別の事業で大当たりしている人を除いては、これからビジネス系YouTubeに参戦する人、そして、今、なんとなくビジネス系YouTuberをされている方は、撤退した方がいいと思います。
才能の話じゃなくて、構造上の理由です。

「撤退」というとネガティブに捉えられる方もいらっしゃるかもしれませんが、戦略的撤退は「前進」で、優秀なビジネスマンほど「撤退」が上手いです。

まぁ、一言で言うと、さきほども申し上げましたが、「ビジネス系YouTuber戦争は、もう勝負あったよね」というところですかね。


僕は今、お仕事の踏み込んだ話はオンラインサロンで発信して、呑みながら…というか酔っ払いながら本音で語るのはメンバーシップです。

ちなみに、僕が今からYouTubeを始めるのならば、
まずはどこかのコミュニティーに属して、ウチの若手スタッフがやっているような「1対1のコミュニケーションツール」として使うと思います。

何かの参考にしてみてください。



西野亮廣(キングコング)