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僕は毎朝7時にVoicyで10分喋っているんですけど、その音源をウチのマネージャーがコピペしているYouTubeチャンネルがあるんです。
チャンネル立ち上げから8ヶ月とか9ヶ月とか経ってるんですかね?



…まぁ、ウチの場合、YouTubeは相方の領海なので、マネージャーが運営してくれているコピペチャンネルは隅の方で細々とやっているのですが、それでも、まもなくチャンネル登録者数は30万人になります。



僕自身、YouTubeにはあまり時間を割くつもりはなくて、ぶっちゃけ「再生回数なんかどうだっていい」と思っています。
ただ、それを言うと、必ず「嘘つけ」みたいなことを言われるんですね。
「強がってんじゃね〜よ」的な(笑)

 
過去にも、同様の説明をしたことがあるのですが、イマイチ伝わっていない。

 


ただ、大前提として、キングコング西野の活動を知った上で、本当に「嘘つけ!」と思われているのであれば、実は、その感覚って、ちょっとヤバイと思っています。

 
というわけで今日は、伝え方を少し工夫して(一旦相手側に寄り添ってみて)、僕自身が【「再生回数なんてどうだっていい」というスタンスをとる人に対して「嘘つけ」と思っていた頃】の話をしてみたいと思います。

 



もう10年以上前の話なので、「再生回数」という概念ではないですが、問題の本質は、たぶん一緒です。



僕、今でこそテレビで見かけなくなりましたが、実は、テレビをものすご〜く頑張っていた時代があるんですね。
今は完全にニートですが、元々は、すっごい売れっ子だったんです(笑)

#ホントだよ



時期で言うと、24歳の頃です。
日本テレビさんで『音楽戦士ミュージックファイター』という音楽番組がスタートしまして、その番組のMCをさせてもらっていました。

毎週1組のアーティストをお招きして、トークをする1時間番組です。


やっている僕も面白かったですし、ナンジャカンジャで6年ぐらい続いた番組なので、評判も良かったのだと思います。


その番組で、僕、一度怒っちゃったことがあったんです。 
でも後々考えたら、僕が間違っていました。



それが今日の本題です。



…名前は伏せていただきますが、ある時、ミステリアスな雰囲気をまとったアーティストさんをお招きしたことがあったんですね。


あまりバラエティーでは見かけない方だったのですが、ありがたいことに番組のファンでいてくださって、出演を決めてくださったんです。


出ていただく以上は絶対に損はさせたくないじゃないですか?
僕は、視聴者さんに「実は、あの人、喋ったらメチャクチャ面白いじゃん」と思ってもらうことがゴールだと判断しました。


かなり気合いを入れて収録に臨み、絶対にスベらないパスを出して、お相手の方のボケは全部拾って、とにかく盛り上げたんですよ。


本人も乗ってくださって、ついには向こうからポンポンとボケ始めて、最後には「バカヤロウ!」みたいな感じで愛情たっぷりに頭をコツいたりして、とにかく収録がメチャクチャ盛り上がったんです。


ミステリアスというフリも効いていたから余計に。


スタッフも演者もお客さんも、そして、ご本人も涙出るぐらい笑って、収録は大成功です。


で、当時の僕は自分が出る番組を見るのが大好物だった上に、あれだけ盛り上がった回です。
もう、メチャクチャ期待して、テレビの前のに座って放送を観たのですが……



収録で盛り上がった部分が編集で全部カットされていたんです。



お相手の方が前のめりでボケ始めた瞬間とか死ぬほど面白かったんですけど、そこも全部カットです。



ワケ分かんないじゃないですか?

あまりにもビックリして、夜中なのにスタッフさんに電話して、理由を聞いたんです。

「今日の編集の意図を聞かせてください」と。
24歳の若造が生意気な話ですが……まぁ、それほどビックリしたということです。


で、いろいろ聞くとですね、どうやらお相手の方の事務所から「盛り上がった部分はカットしてください」というお願いが入ったらしんです。


バラエティー番組ですよ?
盛り上げることがゴールじゃないですか?
その為にスタッフと演者がスクラムを組んで走っているのに……だけど、「盛り上がった部分はカットしてください」と。


その時は本当に腹が立ちました。

「だったら、バラエティーに出るなよ」と。

それって、沖縄料理屋に来といて「ゴーヤチャンプルと海ブドウと島ラッキョはNGなんです」と言っているようなもので、「だったら沖縄料理屋選ぶなよ!」じゃないですか。


とにかく、メチャクチャ腹が立ったし、意味が全然分からなかったです。



その怒りが間違いだと気がついたのは、もうちょっと後。

自分が作品を売るようになってからです。



あの時のアーティストさんは、「そもそも何の為にテレビに出ているのか?」を考えてみたところ、当然、音楽番組ですから、新曲のプロモーションなんです。


僕には、「番組を盛り上がる」…もっと言うと、「視聴率を取る」という目的があって、
お相手さんは「CDを売る」という目的がある。


つまり、その番組がどれだけ盛り上がって、どれだけ視聴率を稼いでも、アーティストイメージが崩れて、CDが売れなかったらお相手さんにとっては意味がないんです。
「ただ、笑いの為にアーティストイメージを崩しただけ」になるんです


それによって得をするのは、そのアーティストさんが丁寧に築き上げてきたアーティストイメージを崩すことで笑いにしていた僕だけなんです。



新曲のプロモーションでテレビに出られるアーティストさんって、プロモーション稼働なので、ほぼノーギャラみたいなものなんです。


テレビタレントの僕は「盛り上げるから、テレビのギャラをくださいね」なんですけど、
お相手さんは「テレビのギャラは要らないから、CDが売れる内容にしてね」なんです。


要するに、僕の収入源は「広告費」で、
お相手の方の収入源は「CDの売り上げ(ダイレクト課金)」なんです。



お金の出所が違うと、こんなにも「正義」が変わるんです。



話を、グイッと最初に戻しますね。

僕が言う「再生回数なんかどうだっていい」というのは、あの時、『音楽戦士ミュージックファイター』に出られたアーティストさんサイドの言い分と一緒です。


僕は「広告費」で生きているわけではなく、オンラインサロンや絵本を売ることで生きているんです。

言い換えると、100万回再生しようが、オンラインサロンや絵本が売れなかったら意味がないんです。



収益ベースで話すと、より分かりやすいかもしれません。


YouTubeの広告単価が1再生0.4円だったとしましょう。
オンラインサロンが【月額1000円】です。

YouTubeで1000円を稼ごうと思ったら、2500回再生されなきゃいけない。
だったら、再生回数は25回でいいから、そのうち2人ぐらいがオンラインサロンに入ってくれる内容にした方が、収益は上がりますよね?


…みたいな話です(笑)




世間の方は、すぐに「YouTuber」と一括りにしますが、そこには【YouTubeで生きる人】と、【商品を売る為にYouTubeをしている人】がいる。
僕は後者です。


そうやって見ていくと、たとえば「西野さん。YouTubeの再生回数を伸ばしたかったら、コラボがいいですよ」というアドバイスが、いかに的外れかが分かってくると思います。





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