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僕の3〜5年前のインタビュー記事やビジネス書を読んで照らし合わせていただけるとチョット面白いのですが、あの時、言った未来が今、来ています。
これを受けて、僕はよく「先見性が凄い」的なことを言われたりします。
「なんで、未来のことが分かるの?」といった。
このことについて今日はお話ししたいのですが、(これは、まぁ前から何度も言っていることですが)僕、流行りに乗っかったことって無いんです。
理由はシンプルです。
答えが出ているものには興味が無いからです。
つまり、タピオカが流行っているからといって、タピオカ屋さんをやろうと思わないんです。
そのタイミングでタピオカ屋さんをやった時に「手に入るもの」と「手に入らないもの」を、それぞれ整理すると、手に入るものは「お金」で、手に入らないものは「データ」ですよね。
僕の中では、「ここに挑んだけど全然ハマらなかった」というデータの方が、「お金」よりも遥かに価値があって、成功と失敗の線引きは「データを取得したか、否か?」です。
ただ、くれぐれもこれは「僕はこれが好きです」というだけの話であって、まさか、世の中のタピオカ屋さんを否定しているではありません。
僕は一生懸命生きて、家族を養っている全ての人を尊敬しています。
「やらない=否定」では無いというコトをご理解いただけると嬉しいっす。
昔から僕は、世の中の流れとか本当に(本当に!)どうだってよくて、「自分がやりたいことをやる」の一点なんです。
ただ、少し冷静になって考えてみると、僕は「土星に行きたい」って思っていないんですね。
「海底都市を作りたい」とも思っていない。
つまり、全ての事柄の中から「やりたいこと」を選んでいるわけではなくて、実現性がある範囲の中から「やりたいこと」を選んでいる。
そして、実現性が極めて低いものを好んで選んでいる(笑)
イメージでいうと台風の予想進路図に似ています。
沖縄に到達した台風が翌日に左下に進むことは無いじゃないですか?
だいたい翌日は右上の方にグイ〜と進む。
あの範囲内で「やりたいこと」を選んでいるのだと思います。
大切なのはここからで、この時、3種類の人が生まれると思っています。
「時代が進んでから動く人」と、
「時代が進む方向を予想して動く人」と、
「時代が進む方向を決める人」です。
僕、一番最後の人なんです。
ここに関して僕はあまり上品じゃなくて、「時代は右に進む」と宣言して、力技で時代を右に進めて、「ほらね」と言っている感じです。
予想を当てたわけじゃなくて、暴力的に正解にしている(笑)。
今だと…
「オンラインサロン」を始める方が増えたと思うのですが、オンラインサロンを始められる方は全員一度、キングコング西野のオンラインサロンの収益を計算されていると思います。
もちろん、そんなことは表には出さないし、自分のブランディング的にも「西野とか興味がないですよ」というポーズを取られると思いますが、そこで算盤を弾かないわけがない。
自分の時間を投下するわけだから、「どれぐらいのリターンがあるものなのか?」は調べて当然だと思います。僕なら調べます。
でも、オンラインサロンの歴史を振り返ってみると、シナプスという会社がオンラインサロンのプラッとフォーム事業を開始したのが2012年で、DMMさんが始めたのが2016年。
当時、圧倒的にトップを走っていたのが堀江さんで、サロン会員は1200人とかです。
堀江さんは例外中の例外で、他のオンラインサロンは、会員数が多くても200〜300人。
トップランナーが200〜300人ですよ。
月額1000円だと、月の収益は手数料を取られて20万円程度です。
トップがそれだと文化にならないんですよ。
「YouTubeやった方がいいじゃん」となるんで。
僕がオンラインサロンを始めたのも、ちょうどその頃(2016年)で、まさか羨ましがられるような世界じゃありませんでした。
どちらかと言うと「都落ち」で、「数少ないファンから、お金を恵んでもらっている」みたいな見られ方をしました。
事実、僕がオンラインサロンを始める時に、吉本興業に「一緒にやろうよ」と話を投げたのですが、門前払いで、「よく分からないので、勝手にやってください」という返事が返ってきました。
「たぶん、僕と一緒にやって、収益を分配した方がいいと思うけど」と、もう一回言ったのですが、それも全然ダメで(笑)
結局、一人でシステムを組んで、一人で立ち上げて、今に至ります。
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「時代」は、どのタイミングに生まれるのか?
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あのまま流れに身を任せていたら、今日のようなオンラインサロン文化は無かったと思います。
これは全てに言えることですが、固まって全く動かなかったものが、溶けて、流れ始める「融解点」が必ずあるんです。
「融解点」は待ってても来ないんです。
こちらから迎えに行かなきゃいけない。
僕は今、本当に本当にありがたいことに、全国に応援してくださる方がいて、その方が、さらに、その外側にいる方に向けて「西野って結構面白いことをしてるよ」とアナウンスしてくれるという好循環が生まれていますが、たまたまそうなったか?というとそんなことはありません。
僕は毎年、自分のイベントのチケットを2000枚手売りしていたんです。
ツイッターでお客さんと待ち合わせをして、チケットを買ってくださるお客さんに会いに行って、買ってもらっていたんです。
毎年です。
最後の年は4500枚売りました。
4500枚の手売りって想像つきます?
1日に12枚売り続けなきゃいけないんです。
仕事で1週間海外に行ってしまったら、帰国した日は96枚売らなきゃいけない。
その作業をずっと続けて、ある瞬間に「融解点」を迎える。そこから流れ始めるんです。
絵本にしたってそうです。
今は、絵本が絵本の宣伝をしてくれていて、広告が自走していますが、もちろん、これは突然湧いた流れではなくて、ずっと手売りをしていたんです。
時間があれば書店周りをして、各地でこまめに個展を開催して、ネットショップを開設して、そこでサイン本を販売して、サインを入れて、梱包して、配送して…ていうか、これは今もしています。昨日も40冊ほどサインを入れて、梱包して、配送しました。
そういった作業をずっと続けて、ある瞬間に「融解点」を迎える。
そこから流れ始めるんです。
オンラインサロンもそうです。絶望的な努力を続けて、「融解点」を迎えて、それが時代になり、文化になった。
今、いろんなことを挑戦されている方がいらっしゃると思います。
「流れ」が生まれてからは強いのですが、流れは待ってても生まれなくて、ある地点まではドブ板営業をしなくちゃいけない。
しかもそれはペースを守ったドブ板営業ではなく、その他のことを全て犠牲にするぐらい、もっともっと猟奇的なドブ板営業です。
そうして、はじめて「融解点」を迎える。
僕は今もこの暮らしをしています。
今は映画ですね。
今、映画「えんとつ町のプペル」を作っているのですが、今のところ、キングコング西野が作る映画なんて、世間的には誰も興味がないので、世間の興味の好循環が生まれる地点までは力技で持っていきます。
クラウドファンディングでコツコツと前売りチケットを届けているのは、その為です。
前売りチケットは、とりあえず個人で10万枚を売ります。
流れが生まれるまでは苦労しますが、お互い頑張りましょう。
西野亮廣(キングコング)
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