過去に似たようなことをしたことがあるキミや、大人の面をかぶり「まぁまぁ、いいじゃん」という言葉で片付けたことがあるキミに、この言葉を贈りたい。

昨日、とても後味の悪い仕事があった。
大阪市内でひらかれた講演会で、最前列をズラリと陣取っていたお客さん(学生)が、揃いの「お面」をかぶり、ステージ上の僕を(みんなが気になるぐらい)眺めていて、さすがに「他のお客様に迷惑がかかるので、やめてください」と何度か注意を促したが、いっこうに辞める気配がなかった。

あとから聞くと、『SDGs』のアピール活動の一環だったそうだ。
(※嘘か誠か「先生からの指示でやった」という話もあったが、もし先生からの指示だとしたら相当ヤバい!)  

今一度、整理しておきたい。

映画館や、劇場や、イベント会場といった空間は、
「できるだけ楽しませたい!」という一心で、開演ギリギリまで走り回っている運営スタッフと、
「できるだけ楽しみたい!」という一心で、スケジュールやお小遣いを調整して集まったお客さんと、
「それらの期待に応えたい!」という一心で、ステージに上がっている出演者との共犯関係で成り立っている。

お客さんは、自分以外のお客さんを含めたその空間に時間とお金を払っていて、そこはステージ上のパフォーマンスを純度100%で楽しむことができる場であり、間違っても、お客さんによるSDGsの宣伝に使われていい場所ではない。
もちろんSDGs側も、他でSDGsを広める活動をしている同士達も、このように被害者が生まれるような(SDGsの評判を下げるような)宣伝を望んではいないだろう。

昨夜、Twitter経由で、その(お面をかぶった学生達の)学校の生徒会長を名乗る方から「SDGsの宣伝の一環として『よかれ』と思ってやったことなので」と、学生の弁護とも擁護ともとれるコメントをいただいた。

もともと僕は学生を子供扱いするつもりはないし、加えて、昨日の生徒会長さんは匿名アカウントなどではなく、キチンとした覚悟をもった意見をくださったので、一人の人間として向き合い「今回のアクションの何が(どこが)間違っていたのか?」をお伝えした。

昨日の件しかり、上演中は携帯電話の電源を切るようにアナウンスされているのにバイブにしているお客さんや、「動画撮影禁止」と案内しているのに盗み撮りをするお客さん(※講演会に時々現れます)の心の中に往々にして見られるのが「これぐらいイイじゃん」という考え。
罪の重さに対して、あまりにも無自覚だ。

もし、この文章を読んでくれているキミのどこかに、そんな気持ちが少しでもあるのなら、どうかお願いだから、ただちに捨てて欲しい。

映画館や、劇場や、イベント会場といった空間には、もう何年も何年もずっと楽しみにして、チケットを握りしめてやって来たお客さんがいる。
「次から気をつけましょうね」と前向きな言葉で片付けたいところだが、キミが軽い気持ちで壊してしまった世界はもう二度と再現できないのだ。

ずっと楽しみにしていた舞台は、「他の客に携帯電話を鳴らされて壊された」「他の客が突然、SDGsの宣伝を始めて、壊された」という最悪の思い出として一生残ることになる。

キミに悪意が無いことは分かっているけれど、誰かの夢を壊したキミは、その罪を一生償うことができない。
どうか、観劇時のマナー違反は重く受け止めて欲しい。
高校生であろうが、中学生だろうが関係ない。

昨日はとても残念だったが、想いを伝えるキッカケをくださった生徒会長さんには感謝している(※夜遅くまで意見交換に付き合わせてごめんね。ありがとう)。

とりいそぎ、昨日の学生を引率していた代表者は、すみやかに運営陣およびスポンサーさんに謝罪にあがるべきだ。
大人が子供達に見せなきゃいけない背中は、それだろう。



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