今日は10月30日(エッフェル塔の個展開催期間中)にサロン内に投稿した記事『世界との戦い方』を無料公開します。
内容に共感いただけたら、記事のシェアをお願いします。
それでは、どうぞ。
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世界との戦い方
【投稿者】西野亮廣
ヨーロッパの街並みや文化に触れる度に、“日本人が作る外国風の作品”に「ハリボテ感」を覚えます。
たとえ技術的に「外国」が再現できたとしても、もっともっと根本的な理由で、世界は日本人作家にそんなものを求めていません。
「差別」に近いと思います。
僕らが、ジャマイカ人が握る寿司に期待していない(どこか疑っている)のと似たような感じです。
世界で戦うには、まずは世界戦のルールを知り、そして「世界が日本人に何を期待しているか?」に耳を傾けるべきで、つまるところ、それは、
日本人がこれまで織り成してきた「歴史」「文化」「風俗」の延長にあるものでしょう。
こういった仕事をしていると、たとえ僅かでも心が動いた瞬間を取りこぼしてはいけなくて、今回のパリの個展でも、その瞬間が何度かありました。
その一つが、会場に流していた『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』の映像です。
パリの景色に目が慣れた頃に観たその映像は、日本で観た時とは、まるで違うものでした。
そこに流れている空気や色や音楽や温度が圧倒的に異国で、異質で、ファンタジーだったのです。
これこそが世界が日本に求めているもので、世界が逆立ちしたって真似できないことです。
やはり、日本の「歴史」「文化」「風俗」の延長にあるもの…もっと言うと、“日本がこれまで投下した時間を味方につけたもの”が、僕らが作るエンターテイメントの答えだと、今回のパリ遠征で確信しました。
面白いもので、世界で戦えば戦うほど、自分の中で「0→1」の興味が薄れ、「あやかる」というテーマが大きくなっていきます。
ところで、今回の個展では、VRに並んで、ARも大好評でした。
僕が描いたラフ画にタブレットをかざすと、絵が完成するまでの過程が早送りで観れるというもの。
天才・AR三兄弟のお仕事です。
この演出は更に発展させられると思っていて、ちょうど今、アニメーション映画『えんとつ町のプペル』を制作中なのですが、個展会場に展示されている作品(光る絵)にタブレットをかざすと、その絵をキッカケに映画のワンシーンが動き始めるARは、面白そう。
映画は基本、上映期間(締め切り)が設けられていますが、個展会場に展示されている絵の中に映画を埋め込めば、映画の上映期間(締め切り)は無くなり、5年後も、10年後も映画を観ることができます。
このカードがきれるのは、「絵本作家」&「アニメーション映画を作っている」という条件が揃っていないといけまけんし、世界の文脈でいうと「日本人」という条件がのっていないといけません。
世界が日本人に「アニメーション」を求めているからです。
こういった日本の文脈の延長にある演出が、ここから更に重要になってくると思うので、実現に向けて動きます。
現場からは以上でーす。
西野亮廣
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