はじめに。
僕(キングコング西野亮廣)は、「VS吉本興業」側に立ってる芸人ではなく、むしろ、「吉本興業って、上手につき合えば、こんなに良い事務所はないと思うので、上手につき合ってみまーす」というスタンスで活動しているという、ワイドショーや噂話好きのオバさん達がガッカリするような断りを入れておきます。

数年前、先輩方が一丸となって、「給料を上げてくれ」と社長に直談判に行き、あえなく撃沈した時には、「会社には給料を上げられない事情があるのだから、会社の収益を上げて、会社が芸人の給料を上げられる環境を作った方がよくね?」とか何とか言い出して、吉本興業と話し合って、芸人が自分で仕事をとってこれるように(合法的に闇営業ができるように)クラウドファンディングのプラットフォーム『SILKHAT』を作りました。



利用規約第15条で『反社会的勢力の排除』を明文化しているので、芸人が知り合いから闇営業(結婚式の余興など)の声がかかった時は、『SILKHAT』のリターンを通じて参加しちゃえば、反社チェックができるわ、直接仕事をとれるわ、そのうちの10%ほどが吉本興業に入るわ、それによって吉本興業の収益が上がるわ、吉本興業の収益が上がれば芸人の給料が上げやすくなるわ…で、全員ハッピー。
この夏、世間の皆様をお騒がせしてしまった吉本興業のお家騒動は2~3分で解決できます。




騒動の中で出てきた『エージェント契約』に関しても、僕個人としましては何年も前から吉本興業とはその関係でして(※株式会社NISHINOという個人の会社で活動しています。最近、社長を辞めたよ)、「この方が、お互いにとってプラスになるよね」という話し合いをして、意外とスンナリと今に至ります。

いつだったかジャニーズの田中聖君が六本木でBARを経営していたことが発覚した時に「悪童」と報道されているのを見て、Webサービスやスナックや美術館や学校や町を作っている僕は震え上がったものです。
ちなみに次は、もっと大きなものを作ります(※詳しくは西野亮廣エンタメ研究所で)
とにかく、他事務所に所属していなくて本当に助かりました。

吉本興業が今日も僕を好き勝手に活動させてくれるので、何か御礼をしたくなって、僕が吉本興業にできることは、
①芸人のチャンスを作る。
②吉本興業の収益を上げる。
の二つかなぁと思い、まずは『SILKHAT』で①をクリアしてみました。
SILKHAT』の手数料が吉本興業に入るので、若干②も混ざっていますね。

次に、②をクリアしようと思った時に、そういえば僕は絵本なんぞを描いていて(結構売れてるんです)、コラボ商品のオファーがひっきり無しにくるものですから、この売り上げを僕が独り占めするのではなく、キチンと吉本興業と契約をして、商品の売り上げの一部(9%)が吉本興業に入るように働きかけてみました。

『えんとつ町のプペル』のグッズが売れれば売れるほど、吉本芸人のお給料が上がれば最高じゃん!と考えたわけですね。

そこで去年(2018年)の10月から、その話し合いをスタートさせたのですが、やりとりは以下の感じ。

━━━━━━━
【西野サイド】
「『えんとつ町のプペル』のグッズの売り上げを吉本興業に入れたいので、キチンと契約を結びましょう」 

【吉本サイド】
「もちろんです。宜しくお願い致します」

【西野サイド】
「では、この条件で」

【吉本サイド】
「いや、その条件はチョット…」

【西野サイド】
「であれば、この条件は?」

【吉本サイド】
「弁護士に確認します。明日、折り返します」
 
(翌日)

※吉本サイドからの返答無し。

(翌々日)

【西野サイド】
「…どうなりましたか?」

【吉本サイド】
「ちょっと、社内で調整して、今週中には折り返します」

(半年後)

【西野サイド】
「……あの、どうなりましたか?」

【吉本サイド】
「ちょっと弁護士に確認します」

━━━━━━
こういうやりとりが一年間続いて、今に至ります。
もちろん、1ミリも前進していません。
(※この「明日」も連絡が来なかった…)

僕と吉本興業の契約がキチンと結ばれるまでの間、コラボのオファーをくださった企業さんにはプロジェクトをストップしてもらっていたので、ひっくり返るほど御迷惑をおかけしています。

さすがに、これ以上、皆様に御迷惑をおかけするわけにはいかないので、僕の著作物の権利は全て僕が預かることにして、「吉本興業に売り上げを入れる」という道を諦めることにしました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここで、ようやく吉本興業の『共同確認書』の話…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今年の夏の騒動を受けて、吉本興業所属のタレント全員に『共同確認書』という紙が配られました。
「お互い、こういう約束で仕事をしていこうね。納得してくれたら、サインしてね」というものです。

『共同確認書』には、反社会勢力との関係を断ち切ることに多くの文字数が割かれていましたが、その中で、ドサクサに紛れて、こんな一文がありました。

(吉本興業は)収益が最大化されるよう適切に当該成果物やタレントの諸権利を管理・保護・行使します。

キングコング西野の場合だと、『えんとつ町のプペル』の権利の管理・保護・行使は、吉本興業が行うというものです。
先程の契約のやりとりのスピード感でも分かるとおり、吉本興業にボールを渡した瞬間に、収益が最小化されてしまった(1年間で1円も売り上げを出さなかった)ので、もちろん、この『共同確認書』にはサインはできません。

きっと多くの吉本芸人が『共同確認書』の内容を詳しく読まずにサインしてしまったと思うのですが、目まぐるしいスピードで需要が入れ替わる現代において最大の損失は「失敗すること」ではなく「遅いこと」なので、まだ『共同確認書』にサインをしていないのであれば、「諸権利の管理・保護・行使」の部分はキチンと話し合った方が良いと思います。
(※梶原くんは何も考えずにサインをしたそうですww)


「『共同確認書』にサインできない芸人は吉本興業を辞めなけらばならない」というのであれば今からシャワーを浴びた後にでも辞めますし(※キャリオクで次の職を探します。時給は1013円でいいよ)、『共同確認書』にサインしなくてもいいのであれば「何の為の『共同確認書』なのか?」という話になってきます。

こう言うと冷たく聞こえるかもしれませんが、僕はぶっちゃけ『共同確認書』の行方なんてどうでも良くて(※そもそも「火消し運動の一つ」としか思ってない)、
そんなことよりも吉本興業や吉本芸人が笑っている時間が増えた方が僕は楽しいので、「絵本の関連グッズの売り上げを吉本興業に入れる」以外の方法で(※これは破綻しちゃったので)、吉本興業の収益を上げる方法を考え、行動していきたいと思います。

以上、意外と吉本愛のあるキングコング西野でした。


【追伸】
『吉本愛』というか、個人的には大崎さんのファンなんだよね(*^^*)




【オンラインサロン】
毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
本日の記事は『ふるさと納税を考える』です。
面白いと思います。
興味がある方はコチラ↓

Instagramで楽しみたい方はコチラ↓