オンラインサロンの中の内容が不透明すぎるのも怖いと思うので、月に2~3度ほど、オンラインサロン内に投稿している記事をブログにアップしているのですが、今日がその日です。
今日は6月30日にサロン内に投稿した記事を無料公開します。

それでは、どうぞ。

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自分達の致死率を上げるTVタレント
2019.6.30 【投稿者】西野亮廣



おはようございます。
情報番組のコメンテーターとして活躍している先輩芸人が「芸人も品行方正を求められるようになってしまった…」と嘆いていたので、「あなたが芸人のクセに間違ったことをせず、コメンテーターとして正論を吐き続けているからじゃないっすか?」とアドバイスをしたら、めちゃめちゃヤバイ空気になってしまったキングコング西野です。

さて。

『闇営業』で芸能界が揺れています。
これに関しては方々で議論されていますし、「批評」は僕の仕事ではないので、ここ(オンラインサロン)では少し違う角度から、お話しをしたいと思います。


| もはや『テレビタレント』って全然オイシイ仕事じゃなくない?


先日、ワイドショーからゲスト出演のオファーをいただきましたが、丁重にお断りしました。

理由は、芸人として生きたいからです。

「アメリカでは芸人も政治に口を挟む!」という意見もあり、芸人の定義は様々ですが、僕は今の御時世だからこそ芸人として「アイツは間違ってるけど、いいよね」と言われる生き物でありたいので、正論を吐かなきゃいけない現場には参加いたしません。


これは決して、『コメンテーター』という仕事を批判しているわけではなくて(正しいことを言ってくれる人がいないと僕も困る!)、「間違っている人間」というボジションをとりたいので、「僕はコメンテーターをやりません」という話です。


今回の『闇営業』の問題で、もっとも気になったのが、コメンテーターとして飯を食っている芸人の数です。
気がつけば、あの芸人も、この芸人も、みんなコメンテーターとして、正しいことを言っています。
そして、テレビは写真週刊誌をとりあげて、写真週刊誌の売り上げに貢献しています。

※この辺の記事が面白いです↓

要するに、ユーザー(視聴者)が求めるものにコンテンツを切り替えた結果、テレビのユーザーである高齢者が求めているものが「他人の不幸」だったという話です。

他人の不幸を紹介する為にスポンサーがお金を払い、
他人の不幸を紹介する為に番組が作られ、
TVタレントは他人の不幸を紹介することを「仕事」としているのが今のテレビです。

これは闇営業問題と似ていて、「なんで芸人がコメンテーターになってフライデーの売り上げに協力してんだよ。辞めちまえよ、そんな仕事」と言ったところで、彼らは『他人の不幸を紹介する仕事を辞めてしまったら食っていけない』という問題を抱えていて、辞めるに辞められません。


①視聴者がタレントの不幸を求める。
②テレビがタレントの不幸を紹介する(視聴率を稼ぐ)為に、写真週刊誌をとりあげる。
③写真週刊誌の売り上げが上がる。
④写真週刊誌がヤクザ筋からのタレコミを買う。
⑤タレントが社会的制裁を受ける。
⑥視聴率がタレントの不幸を求める
⑦テレビがタレントの不幸を紹介する(視聴率を稼ぐ)為に、写真週刊誌をとりあげる……

というサイクルですね。


恐ろしいことに、有名になればなるほど(タレントとして結果を出せば出すほど)社会的制裁を受ける確率は上がり、つまるところ「タレントは一丸となって自分達の致死率を上げさせられている」という構図です。


この流れはもう止められません。


日本はどんどん高齢化していき、活動量が減る人が増えれば増えるほど、他人の不幸を「美味しい」と感じる人の数が増え、テレビはそこにパーソナライズするので、テレビのメイン業務は「写真週刊誌の売り上げのお手伝い」となっていくでしょう。

あ。もちろん、このサロンに、各局のテレビマンがいること承知の上で、この話をしています。

引退間近のテレビマンはさておき、今、働き盛りのテレビマン(アラフォー)は、このまま決断を先伸ばしにすると、数年後、「自分はこんなことをする為にテレビを始めたわけじゃない!」という自暴自棄からの『時すでに遅し』という、かなりハードな地獄が待っていると思います。

逆説的ですが、エンターテイメントを届けるには視聴者にパーソナライズしちゃダメで、パーソナライズしなきゃいけない環境から脱しなきゃいけません。(※収入源を『広告費』から『ダイレクト課金』へのお引っ越しするも、ひとつの手だと思います)

キングコングはそっちに舵をきっています。
梶原くんのYouTubeチャンネル登録者数が、まもなく100万人を突破するらしいです。
(※突破しました。7月13日現在)


YouTubeは広告費ビジネスですが、すべての権限を梶原君がもっているので、「他人の不幸」には1秒も時間を使っていません。
僕らはエンターテイメントを止めません。

現場からは以上でーす。

西野亮廣

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