「子供は大人になるまで【お金】のことを学べないことを知るべきだし、大人は責任を持って【お金】の話をするべきだ」

キンコン西野が語る。夢を叶える上で、とっても大切な【お金】のルール「お金から目を背けるな」


5月24日に文庫本『新・魔法のコンパス』が出ます。
文庫本といっても、「昔書いた本の小っちゃい版」というわけではなくて、最初から最後まで全て書き直しました。
対象年齢を「小学生高学年以上」とした『お金』と『広告(集客)』の本です。

Kindleだと第1章が無料で読めるらしいので、それならば、ここ(ブログ)でも第1章を無料で読めるようにします。

第1章は、夢を叶える(挑戦を続ける)上で、とってもとっても大切な『お金』の話です。
このことは学校では教えてもらえないので、お父さんお母さんは、どうかお子さんに読ませてあげてください。

長くなるので、何回かに分けますね。
「面白かったよー」という方は、この記事をシェアしていただけると嬉しいです。
たくさんシェアされたら、続きを出します。

それでは、どうぞ。



第1章『お金』

挑戦を続ける為には「お金の問題」を解き続けなければならない。
挑戦を続ける為には、キミは、「キミの挑戦を阻む問題」を把握しておく必要がある。
キミの挑戦を阻む問題は二つ。
そのうちの一つが、『お金』だ。

たとえばキミが念願のケーキ屋さんを開いたとする。
その店でキミがどれだけ頑張ろうが、店の家賃が払えなくなった瞬間に、キミの挑戦は強制的に終わらされてしまう。

ボクだってそうだ。
「お笑い芸人」をやっているけど、生活費が捻出できなくなった瞬間に、子供の頃から追いかけ続けてきた「お笑い芸人」の夢は強制的に終わらされてしまう。

挑戦を続ける為には『お金』の問題を解き続けなきゃいけないんだ。
ところが残念ながら、学校では、この問題の解き方を教えてもらえない。
教えてもらえないどころか、『お金』について考え、議論することが、下品で、卑しい行為のように扱われてしまう。

おかげでボクらは、お金音痴のまま社会に放り出されて、「挑戦が成功する確率が低い身体」を引きずって、今日を生きている。

このままじゃマズイよね?

キミには守らなきゃいけないものがあるハズだ。
というわけで、まずは、『お金』の話から始めるね。


| お金は「他者に提供した労働の対価」ではなく、「他者に提供した価値の対価」だ。 


「仕事量と給料が見合ってない」という不満をよく耳にするんだけど、キミはどうかな?
そりゃまぁ、どうせ働くなら、なるべく多くの給料を貰いたいよね。
そう考えるなら尚のこと、押さえておかなきゃいけないルールがある。
これだ。


▼お金は「他者に提供した『価値』の対価」

お金というのは、他者に提供した『労働』の対価じゃなくて、他者に提供した『価値』の対価なんだ。
……ちょっと難しい表現になっちゃってるね。
でも、これは、すご〜く大事な話なので、頑張って耳を傾けてください。

たとえばキミが「おむすび」を握ったとする。
その「おむすび」を、お腹いっぱいの人に売るのと、お腹ペコペコの人に売るのとでは、「提供した労働量」は一緒なのに、「おむすび」一個あたりの値段が変わってくる。
理由は、「提供した価値」が違うからだ。

お腹いっぱいの人は30円でも買ってくれないけど、お腹がペコペコで今にも死にそうな人は1000円でも買ってくれる。
これは、なんとなく分かるよね?


▼山の上で売っている缶ジュースは、どうして高いの?

山の上で売っている缶ジュースって、やたら値段が高いけど、その理由について考えたことがあるかな?
よく言われるのは、「缶ジュースを山の上まで運ぶコスト(人件費)がかかっているから」なんだけど……でも、ちょっと待って。

じゃあ、たとえば、今後、ドローンが自動で山の上まで缶ジュースを運んでくれるようになって、そこに「運ぶコスト(人件費)」がかからなくなったら、山の上の缶ジュースは安くなるのかな?

答えは「安くならない」

山の上の缶ジュースは高いままだ。
だって、お客さんは、地上にいる時よりも、汗を流して山を登った後のほうがジュースを欲しているから。
つまり、「山の上の缶ジュースは高くしても売れるから高い」というわけだ。
分かるよね?
山の上で売られている缶ジュースは、「提供した労働」で高くなっているわけじゃなくて、「提供した価値」で高くなっているんだ。
とにもかくにも「価値」なんです。かーち!

こんな感じで、キミのもとに入ってくるお金というのは、「提供した労働」ではなく、「提供した価値」によって、増えたり減ったりする。

もし、キミがキミの給料に不満を覚えた時は、職場環境を疑うと同時に、他者に対して「価値」を提供できているかどうかも一緒に疑ったほうがいいよ。
お腹いっぱいの人に「おむすび」を握っている合がある。


▼「お金が欲しければ苦労しろ」は言っちゃダメ

ボクの友人で自分の一日を50円で売り続けている「何でも屋」のホームレスがいる。
男の名前は「ホームレス小谷」。

人生の時間のほとんどを格安で他人に捧げるもんだから、おかげで「金」も「名誉」も持ち合わせていないけど、ただ一つ、「他人からの信用」だけはたらふく持ち合わせていた。

今から6年前。

そんなホームレスが、クラウドファンディング(※インターネット上で企画をプレゼンして、支援を集める仕組み)を使って、自分の結婚式の開催費用を集めたことがあった。

これまで50円で彼を買った人達が、「あの小谷さんが結婚するのなら」と次々に支援を贈り、たったの3週間で「250万円」というお金が集まった。

すごいよね。

なかなか夢のある話だと思うんだけど、これに対して、まったく関係性が無いサラリーマンの方から「楽をするな。他人からお金をもらうな。結婚式は自分で汗水垂らして稼いだお金でやれ!」と物言いがついた。

批判の声をあげたサラリーマンは、「お金=提供した労働の対価」という考えで……もっと言うと、「お金=我慢の対価」という考えを持っていて、汗水を流さずにお金を手に入れることは『悪』としていたんだ。

お金教育を受けてこなかった多くの日本人は、往々にして、「お金=我慢の対価」というマインドに陥っている。
「洗脳されている」と言ったほうが近いかな。

このサラリーマンが言う「楽をするな。他人からお金をもらうな。結婚式は自分で汗水垂らして稼いだお金でやれ!」という発言を要約すると、
「お金が欲しければ労働量を増やせ」なんだけど、お金の本質は、そこじゃない。

ボクはとても優しい男なので、「他人からお金をもらうなー!」という批判に対して、「……てことは、あなたの結婚式では御祝儀を受け取っていないんですね?」というトドメは刺さなかったよ。
議論をする時は、相手の逃げ道を作ってあげることが大切だ。

繰り返し言うけど、お金というのは「提供した労働の対価」ではなくて、「提供した価値の対価」だ。

ホームレス小谷の結婚式を支援した人達は、日頃、他人の為に生きている彼から十分すぎる価値を頂いている。

汗水を流して働くことは美しい。
決して否定することではない。
だけれど、「労働量」と「収入」は必ずしも比例関係にあるわけじゃない。
ここは押さえておこうね。


【まとめ】
▼お金とは、「提供した労働の対価」ではなくて、「提供した価値の対価」。
▼「お金が欲しければ苦労しろ!」は言っちゃダメ!
▼議論をする時は、相手の逃げ道を作ってあげよう。

(※「シェア」が多ければ、つづく)

最新刊『新・魔法のコンパス』より
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