僕の絵本の「制作費」「印税(収入)」について明らかにしておきたいと思います。

キングコング西野は、ある時から分業制で(たくさんのスタッフさんと一緒に)絵本を作っているので、スタッフさんのお給料…つまり「制作費」というものが必要になります。

一般的には「絵本は一人で作るもの」となっているので、基本、絵本の「制作費」というのは、作家本人の制作期間中の生活費がそれにあたります。
なので、作家本人が自分の生活を切り詰めさえすれば、制作費はかなり安く押さえられるのですが、多くのスタッフさんを巻き込む「分業制」となるとそうはいきません。

要するに、絵本の分業制を可能にするには、たくさんのお金が必要なんですね。

(詳しくはコチラ↓)

そこで、絵本『えんとつ町のプペル』は、クラウドファンディングを使って、制作費を集めたわけですけれども、クラウドファンディングには花火的な要素があって、やっばり一発目が一番大きくて、同じネタだと、どうしても回を重ねるごとにコンパクトになってしまいます。

「未来永劫続けていく制作活動の制作費をクラウドファンディングに委ねる」というのは、なかなか危なっかしいというか、物理的に不可能なんですね。


| たくさんの制作費がかかる挑戦を続けていく為に…

こういう話をすると嫌悪感を抱く方もいらっしゃるのですが、すべてのクリエイターが抱えているとても大切な問題なので正直に全てお話しします。

僕の活動は絵本『えんとつ町のプペル』が最後ではなく、それよりも、もっともっと大きな規模の作品(挑戦)を続けていくことを目的としているので、その為には、制作費を定期的に生んでくれる場所が必要で、そこで月額1000円のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』を強化することにしました。

オンラインサロンをメルマガ的に活用し、毎朝毎朝、本気の記事を投稿しているのは、言ってしまえば、制作費を集める為です。

その制作費から生まれたのが、『ほんやのポンチョ』だったり、『チックタック ~約束の時計台~』です。
今、オンラインサロンの中では、こういった絵本よりも、もっともっと大きな作品を作っていますが、話がブレてしまうので、ここでは割愛します。


| 印税は何に使ってるの?

本が売れると「印税」というものが発生します。
これが作家の「収入」になるわけですね。

ただ、僕は贅沢の類いに一切興味がなく、くわえて独身ですので、一ヶ月の生活費は7~8万円あれば十分です。
それに、僕の絵本は、たくさんのサロンメンバーに作らせてもらったので、ここで生まれた「印税」は、絵本の為に使うべきだと思って、こういうことに使っています。

新聞の広告枠は決して安くはないのですが、皆と作った作品は一人でも多くの人に知ってもらいたいので、入ってきた「印税」を広告に使っています。


| 『チックタック ~約束の時計台~』の印税は何に使うの?

前置きが本当に長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

2週間ほど前に『チックタック ~約束の時計台~』という絵本最新作が出ました。
当然、この作品でも「印税」というものが発生するのですが、これまで「印税」を使って、新聞広告も買ったし、新宿駅の看板も買ったし、いろいろやってきました。

そんなことを繰り返していくうちに、絵本の印税を絵本の為に使うことに少し飽きてきてしまって、今まさに困っている人の為に使いたくなってきました。
勿論、これが僕のエゴだということは自覚しているので、一切の批判を受け付けます。

そこで、『チックタック ~約束の時計台~』の「印税」の使い道をずーっと考えていたのですが、そんな中、『アナザースカイ』のロケで、絵本『チックタック ~約束の時計台~』の舞台のモデルとなった「ラオス」を訪れます。


| アジアの貧困国「ラオス」に不足しているもの

ラオスの山奥にある「ララ村」という小さな小さな村の景色が絵本『チックタック ~約束の時計台~』のモデルとなっているのですが、今回、一年ぶりに訪れた「ララ村」で、少し気になったことがありました。

それは村の端にある小さな小さな「小学校」です。
2枚の写真を見比べてください。

【2018年の小学校】

【2019年の小学校】

カメラの角度が違うので少し分かりにくいですが、この一年で、かなり傾いています。

村の人達に話を聞くと、「小学校が傾いてしまって、建て直したいけど、お金がない」と言います。

実は去年「ラオス」に訪れた理由の一つに、『ラオスに小学校を作る』というのがあったのですが、文明が行き届いていないのにたくさんの笑顔を見せる子供達を見ると、「ここに小学校を建ててもよいのか?」という疑問が生まれてきて、去年は小学校の建設を見送りました。


ただ、今回、村の皆さんと膝を付き合わせてガッツリとお話しさせていただいた時に、親御さんからは「安全な環境で勉強をさせたい。学校が欲しい」と言われ、子供達からは「もっと勉強がしたい」と言われました。

彼らが求めているのであれば、僕の考えを挟む余地などないので、『チックタック ~約束の時計台~』の「印税」で、ラオスの「ララ村」に『小学校』を作ることに決めました。

※詳細はオンラインサロンに書きます。



| 一冊の絵本で小学校を作る

本当はもう少し早い段階でお知らせしたかったのですが、ラオスはセンシティブな問題をたくさん抱えている国で、「学校建設」となると尚のこと。
こうして、公表に至るまでには、クリアにしておかければならないことがたくさんあって、報告のタイミングが今になってしまいました。

「それもこれも絵本の広告だろ!」という批判もきっとあると思うのですが、たしかに広まった時点で「絵本の広告」になってしまうので、それに対しての反論はありません。

そして、たった、その程度の批判を受けるだけで、ラオスの子供達に「安心して学べる環境」をプレゼントできれば安いもんです。

ラオスが抱えている問題をたくさんの人に知ってもらう為には、こうして表に出していくことが何よりも大切だと思うので、今回、このようなブログを書かせていただきました。
共感いただけたら、この記事をシェアしていただけると嬉しいです。

ラオスがなければ『チックタック ~約束の時計台~』という絵本は生まれていなかったので、今回は、この作品を生んでくれた御礼に、ラオスに小学校をプレゼントさせていただきます。

これからも、エンターテイメントの力で一つでも多くの笑顔を生んでいこうと思います。
引き続き、お付き合いください。


2019.5.8 西野亮廣



【オンラインサロン】
毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルの記事を毎朝投稿しています。
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【本日の出没情報】

12:00 
紀伊国屋 梅田本店(大阪市北区芝田1-1-3 阪急三番街)

12:30 
梅田 蔦屋書店(大阪市北区梅田3-1-3 ルクア イーレ9F)

18時~20時50分
満願寺(兵庫県川西市)

現場で『チックタック ~約束の時計台~』をご購入された方には、サインを入れさせていただいますので、気軽にお声がけください。