「その時、リーダーはどう動くべきか?」を議論する方が前向きだと思います。


日本最大オンラインサロンを運営するキングコング西野が『脱社畜サロン』について考えてみた。



「オンラインサロン」という言葉を耳にする機会が増えてきたように思います。
僕自身が国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』を運営しているので、オンラインサロンに関する質問がポコポコ飛んできます。

多いのは、「オンラインサロンでは、毎日、どんなことがおこなわれているのですか?」という質問と、「私もサロンオーナーになりたいのですが…」という相談。

サロンの内容に関しては、各サロンによって発信しているコンテンツが違うので一概には言えません。
『西野亮廣エンタメ研究所』のメインコンテンツは僕が毎朝投稿するエンタメビジネスに関する本気記事で、オンラインサロンとは名ばかりの、メルマガだと思っていただいても構いません。


ただ、ときどき一緒に大きなイベントを作ったり、絵本を作ったり、Webサービスを作ったり、地図を作ったり、美術館を作ったり、ただただバーベキュー大会をしたりしているので、その辺も加味してオンラインサロンと名乗っております。

べつに名称は、オンラインサロンでも、メルマガでも、西野の有料日記でも、何でもいいです。

「私もサロンオーナーになりたいのですが…」という相談に対しては、
「もちろん止めないけど、オンラインサロン運営はメチャクチャ難しいので、体力的にも精神的にもベラボーに削られた上に、今のあなたが想像している『不労所得』のようなものはありません。そのことを踏まえて『やる!』というのであれば、僕からできるサロン運営のコツは、『何よりもサロンメンバーを大切にすること』です」
とだけお伝えしております。

そんなことを言って調子にのっている男が、今年の1月、Twitter界隈をザワザワさせた『脱社畜サロン騒動』について、考えてみました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
脱社畜サロン騒動について思うこと…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『脱社畜サロン』とは、ブロガーの「イケダハヤト」さんと、作家の「はあちゅう」さんと、エンジェル投資家で創業支援もおこなっている「小原聖誉」さんの三名のオーナーさんが運営するオンラインサロンです。(月額費=3000円。会員=1500人)

先に言っておきますが、個人的には、はあちゅうサンとしか面識がなく、はあちゅうサンの活動は応援させていただいておりますが、はあちゅうサンが他の方と組まれているプロジェクト(脱社畜サロン)に関しては、あまり良く分かっていないので、好意的な気持ちも、ネガティブな気持ちも何もありません。

よく分かっていないので感情は動きませんが、同じサロンオーナーとして、「どんなハンドリングをしてるのかなぁ?」ぐらいの興味はあります。

ま、僕と『脱社畜サロン』の距離は、それぐらいです。


そんな『脱社畜サロン』が今年の1月に大炎上。
けっこうな炎だったと記憶しています。
傷口を広げるようなマネはしたくないので、騒動の詳細が書かれたリンクは貼りませんが、何も知らない方の為にザックリとした流れを(僕個人の感情を一切挟まずに)お伝えします。


【『脱社畜サロン』は、こんな感じで炎上してたよ】

①『脱社畜サロン』のサロンオーナーの経歴に「嘘or盛った?」部分があった。

②「嘘をついている!」「いやいや、嘘はついていない!」の論争が始まる。

③『脱社畜サロン』のメンバーが、サロン内でオーナーに「今、かなり騒動になってますけど、どうなんですか?」と質問をする。

④サロンオーナーが、“他人から見ると「ボヤかしている」ともとれてしまう”返事をする。

⑤サロンメンバーが、そのオーナーの返答をTwitterで公開して、「なんか、ボヤかしてる!後ろめたいことでもあるのか!」と更に『脱社畜サロン』が炎上。

⑥『脱社畜サロン』のオーナーが、そのメンバーをサロンから退会させる。

⑦「普通に質問しただけなのに、退会させられたー!」と、元・脱社畜サロンのメンバーがネットで暴れまわり、更に『脱社畜サロン』が炎上。

⑧「経歴に嘘がある!」と指摘されたサロンオーナーの一人が『脱社畜サロン』を脱退。

⑨3000人いた『脱社畜サロン』のメンバーが、1500人になる。

⑩今、『脱社畜サロン』でエゴサーチをかけたら、「ブラックだ!」「搾取だ!」「情弱ビジネスだ!」とTwitterランドは罵詈雑言のオンパレード。


…ザッとこんな感じです。

僕個人的には、サロンオーナーの経歴が「嘘だったのか、それとも、嘘じゃなかったのか?」には1ミリも興味がないので、これらの騒動があった時に、リーダーがとるべき行動について、サロンオーナー目線から少し考えてみたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
僕なら、こうしてるかも…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

まず第一に考えなければならないことは、今のサロンメンバーのことだと思います。
罵詈雑言の嵐が吹き荒ぶTwitterランドでは、なかなか「今日の『脱社畜サロン』楽しかった~!」と呟くことができません。
呟いてしまうと、自分のところに火の粉が飛んでくるからです。

このあたりは、つい1~2年前まで日本中から叩かれていたキングコング西野はよく知っています。

キングコング西野の支持者は「なんで、あんなイタイ奴を応援してるの? お前もイタイの?」と叩かれ、まるで隠れキリシタンのような生活を余儀なくされました。

ま、そんなことを経験しているので、僕が『脱社畜サロン』のオーナーなら、サロンメンバーにメチャクチャ謝ります。
もう、ひたすら謝ります。

自分のやっていることが「正しい・間違っている」の議論ではなくて、結果的に、自分の支持者に窮屈な思いをさせてしまっていることに対してです。

自分自身の当時を振り返ってみると、世間からどれだけバッシングされようが、ただただシンプルに世間の感覚が5~6年遅れているだけで、自分は間違ったことを一つもしていないと思っていたので、世間に対しては謝りませんでしたが、ファンの方やスタッフには、「窮屈な思いをさせちゃってゴメンね。必ずひっくり返します」と、ほぼ毎日謝っていました。

御輿を担いでもらっている人間のマナーだと思います。

新世界新世界
1,450円
Amazon


二つ目。

『脱社畜サロン』のオーナーさんが気をつけなければならないのは、
オーナー自身にその意図が無かったとしても、『脱社畜』として打ち出してしまっている以上、結果的に、今の生活に納得がいっていない人か、もしくは、生活に困窮している(切羽つまった)人が駆け込み寺としてサロンに入ってきてしまうことで、そんな彼らが求めているのは「正論」ではなくて、「再現度」だという点です。

オーナーが「○○をすれば自分の力で稼げるようになりますよ」とどれだけレクチャーしようが、駆け込み寺に駆け込んでくれた人からすると、「正論」ではなくて「再現度」の方が前に来ちゃっているので、努力量が必要なアドバイスは意味をなしません。

駆け込み寺のように駆け込んで来た人の多くは、起死回生の「コツ」を求めて来ているので、「素振りを10万回すれば、ホームランを打てますよ」と言われても、再現できない。
素振りを10万回できない(事情がある)人が集まって来ちゃっているので。

サロンオーナーさんの言い分は間違っていないと思うのですが、『脱社畜サロン』という名前が呼び寄せている一部の客層が求めているものとの解離があるので、退会したメンバーがネガティブキャンペーンを始めてしまう。

ただ、これは人間性のミスではなく、システム上の欠陥なので、入り口の期待値コントロールをキチンとすれば10秒で改善できると思います。
逆に、ここの交通整理をしておかないと、『脱社畜サロン』のオーナーさんは「なんで分かってくれないんだよ!」を叫び続けることになるので、精神が削られ続けることになっちゃうと思います。


そして、3つ目。

おそらく、これはサロンオーナーが一番気をつけなれかばならないことです。

『脱社畜サロン』のオーナーが、サロン内で質問&サロン外に質問を公開してきたメンバーAを退会させた件について、ですが……

これに関しては、一番の犯人は間違いなくサロンメンバーAです。

「サロン内のことは口外禁止」という規約がある以上、問答無用でアウトです。
シンプルに営業妨害なので、場合によっては訴えられてもおなしくない案件です。

サロンメンバーAは退会後に猛烈なネガキャンをスタートさせましたが、「痛い質問をしたから退会させられた」ではなくて、「規約を破ったから退会させられた」が真実です。

退会は仕方がないのですが、重要なのは退会のさせ方です。
「もともとネガキャンをするために(悪意をもって)入会した」とも考えられますが、そんな悪意がなくて、純粋にオーナーを応援しようと思ってサロンに入ってきてくれたメンバーなら尚のこと、別れ際は細心の注意を払わなければなりません。

別れ方次第では、費やした愛情が、そのまま憎しみに変わるからです。
恋愛と一緒ですね。

『西野亮廣エンタメ研究所』では、もちろん規約違反をしたメンバーや、不用意にドヤる古参メンバーには退会をお願いすることがありますが、その時は何度も何度も話し合って、場合によっては直接会いに行って「あなたのことが嫌いになったわけではなくて、今回はルール違反だった」ということを伝え、納得いただいてから、退会していただいております。

法律違反だからといって、殴って逮捕してしまってはダメで、オンラインサロン運営は、ここに一番のコストがかかります。
1000人キャパのライブを運営するのと、1000人のコミュニティーを運営するのは、まったく違う競技で、父親のように立ち振る舞わなきゃいけないのがコミュニティーです。


…とまぁ、こんな感じです。

これらは、あくまで「僕(西野亮廣エンタメ研究所)ならこうしてる」ということなので、これが正解だとは思っておりません。

いろんなサロンを覗いてみるのがイイと思います。
では(*^^*)


【オンラインサロン】
毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルの記事を毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓とめお