エンターテイメントが好きです。
ニューヨークに行った際は、ブロードウェイに宿をとり、連日、片っ端からエンタメを貪り食っています。

当然、アタリの作品もあればハズレの作品もありますが、ハズレ作品の中でも「工夫している部分」が必ずあるので、そういうところを見つけてはニヤニヤしています。
今年も5月末~6月初週までニューヨークに行くと思います。

国内でも、時間を見つけては、アレやコレやと観に行っています。
中でも演劇が好きです。
楽屋挨拶が苦手なので、コッソリと観に行って、コソコソと帰っていますが、年間、そこそこの数を観ています。

そりゃ「上手い・下手」は確かにありますが、皆、一生懸命なので大好きです。

ただ一方で、小さな劇団であればあるほど“演劇村が抱えている構造上の欠陥”に気がついていながらも議論していない点が多々見受けられます。 
ザックリ言ってしまうと『お金』の問題ですね。

これに対して、あまり大きな声を上げてしまうと村八分に遭うので“中にいる人”は上げにくいのだとは思いますが、とはいえ、そこから目を背けると、待っているのは「汗水垂らして走っているのに、よくよく考えてみると昨日から1ミリも進んでいない毎日」です。


チケット代(芸術の値段のつけ方)は難しいところですが、「チケット代は彼ら(出演者)への支援だから」と考える人は一部で、多くのお客さんは過去のエンタメ体験と比較して、「高い」「安い」を正直に判断しています。
その上で、お客さんは役者さんには口が割けても言えませんが、「これで6000円もとるの?」という思いをしている人が少なくありません。

役者さんも日頃、『ディズニーランド』や『USJ』や『チームラボ』や『劇団四季』などを観に行っているので、実は気づいています。
「この舞台セットで6000円はさすがに…」

ちなみに「演劇」ではありませんが、僕がやっている学校イベント『サーカス! ~世界で一番楽しい学校~』のチケット代の平均は5000円です。
当然、これだけのゲストや空間をお客さんに提供するには、『チケット代』や『グッズ代』だけではとても間に合いません。

+αの制作費を調達する為に、頭をひねって、足を使って、方々に頭を下げまくって、日夜エンヤコラ。ようやくイベントが開催できるわけです。

とはいえ、「演劇」はお金の問題を全く無視しているわけではなくて、(僕の友人の演劇人も)それなりになんとかしようとはしています。
その中の一つが『チケットノルマ』ですね。

『チケットノルマ』というのは、口悪く言うと、「舞台に出してやるから、そのかわり一人あたりチケットを30枚さばいてこい」
です。
僕は、僕が主催してゲストの方をお招きするイベントに関しては、僕一人でチケットを完売させた上でゲストの方をお招きするようにしているので、個人的には『チケットノルマ』という文化はあまり好きではありませんが、ただ、主催者側の気持ちが理解できないわけでもないので、「『チケットノルマ』は良くない!!」とは言いません。

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そろそろ、話をまとめます
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「演劇村」が抱えている一番の問題は『チケットノルマ』ではなくて、『チケットノルマ』を課せられた出演者が、「招待」という名目で自分の友達にチケットを売って、それで採算を取っているところだと思います。

また、その友達というのも「役者仲間」であることが多く、蓋を開けてみれば、客席が本日の出演者ファンか、本日の出演者の役者仲間で埋まっている」という光景が珍しくありません。

そして、その日に招待された役者仲間は、次に自分が舞台をする時に、「このまえ、自分を招待した役者仲間」を招待します。
「このまえ招待した手前、断れない」の地獄ループですね。

そうして小さな劇場の客席はファンか知人…つまり自分に近しい人間だけで埋まってしまうので、自然と、正直で辛辣な感想が消えてしまいます。

もちろん、親身になって「あそこは面白くなかったよ」と正直な感想をくれる人も一部いますが、多くの場合はネガティブな感想を発することには、(終演後にエゴサーチ魔と化す出演者に見つかる)デメリットしかありません。

知人との人間関係が壊れるから、舞台の感想に自主規制がかかるわけですね。
構造上、絶賛コメントしか入ってこない出演者は「これで良かったんだ」となり、当然、成長率が下がります。
小さな劇団が抱えている大きな問題ですね。

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じゃあ、どうしたらいいの?
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大切なのは『他人』を劇場に呼び込むことなので、+αで友人を招待するのはアリだとしても、『チケットノルマ』で渡されたチケットは、「自分の知り合い以外に売る」とした方がいいと思います。

ただ、もう一度言いますが、こんなことは関係者なら全員分かっているんです。
「分かっちゃいるけど、あまり改善できていない」ということは、それだけ、やっかいな案件なんです。

でもね。

簡単なことじゃないけど、エンタメに魂を売ったのなら、そこから逃げちゃダメだよ。

エンターテイメントにか関わる全ての人を尊敬しています。一緒に頑張りましょう。



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