国内外のトップクリエイターと組んで、いろんなエンタメを作っています。
その辺のプロが束になってかかってきても、まったく追いつけないブッチぎりのエンタメを作るのも好きですが、
一方で……
プロと素人(ステージと客席)の垣根を壊して、お客さんと一緒に、0点から20点まで持っていく過程をエンタメにするのも好きです。
お客さんの満足度でいうと、もはや、後者の方が高いような気もしています。
プラモデルやバーベキューのモデルに近いですね。
何年か前に、そんな話をした時に、世間的には総スカンをくらったのですが、ウチのスタッフや友達が「よく分からないけど、まぁ、西野が言うなら、面白くなるんでしょ」と無条件で協力してくれて、その一つの完成形として3年前に、お客さん全員がプレイヤー(スタッフ)の『おとぎ町ビエンナーレ』という個展を作りました。
設営から、運営、撤収まで、全てお客さんです。
それは、今のオンラインサロンの原型になった空間でした。
『おとぎ町ビエンナーレ』オープン前夜は「ヤバイ!間にあわなーい」と皆で半泣きになりながら、設営に励んで、それはまるで文化祭のような時間でした。
僕は自分の仕事場を『おとぎ町ビエンナーレ』の中に作って、夏の間、一ヶ月まるまる『おとぎ町ビエンナーレ』にいました。
その個展が、あと6日で終わるという時に、個展の設営のリーダーとして頑張ってくれていたスタッフを事故で亡くしました。
ご両親から事故の報せを聞いて 直後、すべての仕事を放り投げて、ご実家がある神戸に飛びました。
昨日まで一緒にバカみたいに走り回っていたヤツが、未来しかなかったヤツが、どれだけ声をかけても、もう全然起きなくて、
でも、御両親の前だったので、その子がいかにスタッフから愛されていたか、だけを御両親に話して、お別れしました。
玄関を出た直後に、ずっと我慢していた涙が溢れてきて、人に見られちゃマズイので、マンションの裏の海に避難して、立ち上がれないくらい泣きました。
涙の止め方が分からなくなって、ずっとずっと泣いていました。
昨日、東京キネマ倶楽部で『おとぎ町の素敵な音楽会』というイベントがありました。
出演者は全員素人。
僕はサロンメンバー(ダンス音痴の中年限定)に声をかけて、自分が最も苦手なダンスに挑戦しました。
僕らにダンスを指導してくださったのは、安室奈美恵さんなどトップアーティストの振り付けをして、今は女優としても活動されているRYONRYON.さん。
開会宣言は、ウチのマネージャーの須藤くんのアカペラ。
このアカペラによって、「今日は素人しか出ないから、お客さんが頑張るしかないんだぞ!」というルールが伝わった気がします。
イベントは最初からフルスロットルで、前日、「ヤバイ!間に合わなーい!」と半泣きになりながら、遅くまで練習していたSHOWROOM前田さんのドラムが鳴り響き、お客さんはお母さんのようなスタンスで、前田さんが間違えないように
緊張しないように、声を上げていました。
お金を払って誰よりも汗を流して頑張っているのがお客さんという変な空間です
そして、オジサン達と一緒になって3週間みっちり練習をしたダンスを披露。
※ちなみに、本番前は、オジサンダンサーズ(サロンメンバー)と一緒に銭湯に行きました。
そして、最後は『緊張の塊』『緊張から手足がはえた男』の異名を持つ舘野さん。
相変わらず緊張でプルプル震えながら演奏する舘野さんをお客さん全員が大声を張り上げて応援。
応援しないと緊張で潰れちゃうから、とにかく応援。
そこには優しさしかなくて、
「ああ、3年前に一緒に『おとぎ町』を作ったアイツに、この景色をアイツに見せてやりたかったなぁ」
と思ったら、こみ上げてきちゃって、私、ついに後輩の目の前で号泣してしまいました。
もう恥ずかしいぐらい泣きました。
でも本当に最高の空間だったんです。
ステージに立つ人間が弱いと、これだけ一体感が生まれて、これだけ優しさに溢れるのだということを知りました。
また一つ、勉強になりました。
そして、やっぱり、ペンキまみれになりながら、この空間を一緒に作ってくれたアイツに感謝です。
『おとぎ町』作詞・作曲 西野亮廣
昨日の『おとぎ町の素敵な音楽会』が、あまりにも最高すぎたので、今年も年末に5日間開催する音楽フェス『天才万博』の一日を『天才万博 ~おとぎ町の素敵な音楽会~』として、やってやろうかなぁと思っております。
【オンラインサロン】
毎日、議論&実験&モノ作り&イベントを繰り返しております。
西野亮廣が仕掛けるエンタメの裏側を覗きたい方や、作り手として参加したい方はコチラ↓