キングコング西野「未来を担うキミへ」 | 西野亮廣ブログ Powered by Ameba
    【※2017年の記事です】


    「やりたいことが見つからない」と言う若い子、本当に多いよね。
    これを読んでいるキミも、もしかしたら、そうかもしれないね。
    そして、大人はキミのような子達を指して、「ゆとり世代」だとか、「さとり世代」だとか、「草食」だとか…
    自分達に比べて、まるで最近の若い子達は"人としての能力が低い"といった扱い方をする。

    でもね、

    大人が発する「最近の若いヤツは…」という苦言は人類が誕生した時からずーっと言われ続けていて、その言い分が正しければ、理論上、人類なんて、とっくに絶滅してるわけだ。
    スケールダウンを繰り返している生物が生き残るわけがない。

    だけど、僕らは今日も生きている。
    時代や環境に合わせて、アップデートを繰り返してきたからだよ。
    つまり、種として優秀なのは"年下"なわけだ。

    だから僕は年下を肯定するところから考えるようにしている。
    僕よりキミの方が、ずっとずっと優秀だからね。

    でね、
    正直に言うと、「やりたいことが見つからない」というのは、僕は最初、全然理解できなかったのよ。 
    僕は小学2年の頃に芸人に憧れて、そのまま今まで来ちゃったから、特に。
    「なんで、やりたいことが無いの?」と思っていた。

    ただ、「やりたいことが見つからない」というコトを肯定するところから考えてみると、なるほど、理解ができるようになった。
    ようやくキミに追いついた。

    こんなことを言うと僕は先輩方から怒られるかもしれないけれど、僕らより上の世代の人達はね、「職業に寿命がある」という体験を"キミ達ほどは"してこなかったんだ。
    多くの大人は「職業は延々に続く」という前提で話を進めてくる。
    だから、すぐに、「お前は何屋さんなんだ!?」と肩書きを付けたがる。

    それに比べて、今のキミ達は違う。
    スマホの登場以降、職業が無くなる場面をたくさんたくさん見てきただろう?
    Amazonに潰された本屋さんを見てきただろう?
    「ロボットタクシー」という言葉が飛び交っている今の時代に、「タクシードライバーになりたい!」とは言いにくいと思うんだ。

    15年前はタクシードライバーという職業が無くなるかもしれない」なんて想像もしなかったんだよ。
    20年前は、日本の本屋さんが1日に1件潰れていくことなんて想像もしなかったんだよ。

    明日には、どの職業が無くなっているかも分からない(これからの)時代は、副業、兼業、転職が当たり前になってくる。

    上の世代の人達は、職業をたくさん掛け持つことを「結局、何がやりたいんだ!一つに決めろ!」と咎めてくるけれど、どっこい、
    やりたいことを掛け持つことや、やりたいことに迷うことは、これからの時代を生き抜く術だよ。生き物が生き残ろうとして何が悪い?

    今の時代に「◯◯になる!」と肩書きを1つに決め込む方が、よっぽど危険だ。
    「やりたいことが見つからない」は、悪いことでも何でもない。
    職業が猛スピードで終わっていく時代にキチンと対応できているんだよ。
    「アッチがダメなら、コッチだ!」と、肩書きを移動できる準備ができているんだよ。
    周りはとやかく言ってくるかもしれないけれど、キミは何も間違っちゃいない。
    迷って正解だ。
    大丈夫。本当に大丈夫。


    具体的な話をしようか。

    僕は『えんとつ町のプペル』という絵本を作ったんだけれど、それを作るのに4年半かかったんだよ。4年半だぜ?
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    これは、芸人としての収入があったから可能だったわけで、絵本作家一本で活動していたら、4年半も収入が途絶えるわけだから、物理的に作ることができなかったんだよ。

    僕もよく「何がやりたいんだ!?」「何屋さんなんだ!?」と世間の皆様から怒られるんだけれど、『えんとつ町のプペル』は、肩書きを掛け持っていたから作ることができた作品なんだ。世間の皆様の正義(ルール)に従っていたら、生まれてこなかった作品なんだ。


    時代は変わっちゃった。
    人間の寿命だって、すこぶる延びた。
    きっとキミは100歳まで生きるだろう。いや、もっとかな?
    大人になるのが20歳で、定年が60歳というのは、人生が70~80歳で終わる時代に設定された常識だ。
    そんな常識が、定年退職後に約半世紀は生きる今のキミ達に合うわけがない。


    昔よりも、時間はたっぷりある。
    たくさん迷って、たくさん失敗して、
    ゆっくり大人になればいいと思う。
    そして、自分達の時代に合ったルールを再構築していけばいいと思う。

    僕がまったく知らないやり方で、
    僕らとは、まったく違うルールで、
    キミが、キミのやり方で、来を運んできてくれることを願っています。

    あと、今、ウォシュレットをしたら肛門に激痛が走ったんだけど、これは切れ痔の可能性が極めて高い。
    でも、肛門の病院に通う勇気が僕にはないんだ。切れ痔をスマートに治せる薬を早急に開発しておくれ。

    頑張ってね(*^^*)


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