世界で一番楽しい学校『サーカス!』から学ぶ“料金設定”

現代の『満足度』と『料金設定』をあらためて考える

西野亮廣エンタメ研究所というオンラインサロンを運営しています。
絵本を作ったり、映画を作ったり、WEBサービスを作ったり、美術館を作ったり、飲食店を作ったり……エンターテイメントにまつわるあれこれに携わり、メンバーの皆さんと試行錯誤を繰り返しています。

その中で、イベントの運営もやらせてもらっています。
先日、おこなわれた「世界一楽しい学校『サーカス!』」では、200人のサロンメンバーがボランティアスタッフとして参加しました。


ここでのポイントは、200人のボランティアスタッフ全員が自分でお金を払って参加したこと。
スタッフが支払った金額は5500円で、B席(3000円)よりも2500円ほど高いです。

お客さんよりも高い値段を支払ってスタッフになっているのですが、スタッフになれる権(限定200枚)は、オンラインサロンの中だけで販売したにもかかわらず、即完。
次回は、さらに熾烈な争奪戦になると予想されます。

これまで『お金』は労働の対価として発生していましたから、『お金を払って働く』は矢印の方向がムチャクチャですが、ところが、サーカス!の『お金を払って働く権』は大人気。
S席よりも、A席よりも、B席よりも、『お金を払って働く権』が先に売り切れました。

ここには、エンタメ研究をする余地がありそうです。

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どうして、『お金を払って働く』が人気なの?
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『お金を払って働く権』が人気な理由は、満足度の観点から考えていくと、スンナリと答えが見えてきます。

たとえば、友達に『サプライズ』をする場合、サプライズをする側と、される側の満足度は、どちらの方が高いでしょうか?

もちろんサプライズされた側は「皆が自分の為に、こんなに時間を使ってくれたんだ」と、泣くほど嬉しいですが、そこでサプライズされた側が泣こうもんなら、サプライズした側は、もっと嬉しいです。
「大成功~!イェ~イ!」というやつです。

あの時、お金を払っているのは、サプライズされた側ではなくて、サプライズした側です。
受信者(お金を払って受けとる人)と発信者(お金を受けとって発信する人)という考え方ではなく、満足度の高い方がお金を払っているという考え方ですね。(※ここ需要ですよ)


『サーカス!』の料金設定が、まさにその考え方で、『スタッフになれる権』がB席よりも値段が高いのに即完する理由は、B席よりも満足度が高いからでしょう。

くわえて、現代はSNS社会です。
上質な発信をすると、フォロワーが増え、身動きがとりやすくなります。

「サーカス!を観に行ったよ」よりも「サーカス!を作ったよ」と言った方が、自分のポイントが上がるので、そこに“B席以上のお金”を支払っているのだと思います。

究極、『サーカス!』は「スタッフは有料、お客さんは無料」まで持っていけたら、面白いと思っています。

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『おとぎ町の素敵な音楽会』という実験
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「受信者と発信者」ではなく「満足度」から“あらためて”考える料金設定について、8月30日に開催する『おとぎ町の素敵な音楽会』で、その実験をおこなっています。

DX席が5500円、一般席(スタンディング)が3000円に対して、『ダンサーになれる権』が7000円(即完)。
つまり、発信者が一番高い料金を払っているのです。
もちろん僕もお金を払って出演しています。

お金を払って出演するゴミダンサーの皆様

ここでの料金設定の失敗は、レッスンの満足度が高すぎたこと。
よくよく考えてみれば、プロの振付師&ダンサー(しかも可愛い)の方に何時間(何日)もみっちりダンスを教えてもらうことなんて異常事態で、くわえて、RYONRYON.先生はとにかく盛り上げてくださるので、これが7000円なわけがありません。

7000円というのはイベント当日の値段で、レッスンの満足度のことをすっかり失念しておりました。(※ていうか、ダンスのレッスンが、ここまで楽しいとは思わなかった)

DX席5500円、一般席(スタンディング)3000円、『ダンサーになれる権』1万円でも、誰も何も文句は言わなかったと思います。

以上、『満足度から考える料金設定について』でした。
ご清聴ありがとうございました。


すべての仕事を放り投げて、ダンスレッスンに励んでおります。
8月30日は、東京キネマ倶楽部まで応援に来てください。
僕も頑張るので、そちらも頑張ってファンをやってみてください。

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