ステージ上が“たよりない”から参加する?

次世代エンターテイメントの鍵は『たよりない』だ。



幻冬舎の舘野さん(取締役?専務?)との関係は古く、僕がまだ処女作『Dr.インクの星空キネマ』を作りはじめた頃に、知人の紹介で出会いました。
たしか、六本木か赤坂かどこかのレストランかBarだったと記憶しています。(#記憶していない)


その席で、
「西野君が作ろうとしている作品(世界)の話を聞かせて」
と言われたので、構想を全部喋ったら、その場で幻冬舎から出版することが決まり、
「他社で出したら、ボク、自殺するからね」
という圧倒的な脅迫を頂戴しました。

そこから、一緒に呑みに行ったり、一緒に旅行に行ったり、ときどき本を作ったり……のズブズブの関係。
呑みに行った時の後半は、基本、何かしらに感動されて、お泣きになられています。

ちなみに、『野さん』なのか『野さん』なのか、いまだに分かりません。
いずれにせよ「タテノサン」です。

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『舘野さんのギター発表会』
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そんなある日、舘野さんから、
「今度、ギター発表会をやることになったから、来てよぉ~」
と連絡がありました。

いろいろツッコミどころはありますが、とにかく舘野さんが「来て」と言うので、行くことにしました。

「なるほど、編集長なんて仕事をしながら、『ギター』という隠れた才能を持っていたんだなぁ。大人の男は違うなぁ」
と観に行ってみると、隠れた才能はステージ上でも才能は隠れたまんまで、ギターは見事にヘタクソでした。

緊張で手が震えているし、自信の無さから声が小さいし、散々。
バックバンドの皆さんは本当に演奏が上手い(上手すぎる!)のですが、主役の舘野さんは壊滅的です。
最初の1~2曲で、すっかりメンタルもやられていました。

それを観ているうちに、僕や、『舘野さんのギター発表会』を観に来ていた他のお客さんの中で、ある疑問が湧いてきました。


「なんで、やったんだ??」


幻冬舎の取締役なのか専務なのか、いずれにせよ立場のある大人なので、そのまま生きていれば、こんな赤っ恥をかくこともありません。

なのに、得意でもないステージに挑戦し、結果、手がプルプル震えています。
できなさすぎて、お客から鼻で笑われています。
何かを語っている舘野さん

よくよく考えてみると、こんな目に遭わなくてもいい大人が、自ら飛び込んでいって、こんな目に遭っているわけです。

まもなく、お客さんが口々に叫びはじめました。

「舘野さん、頑張れー!」
「大丈夫、いけるっ!」
「頑張れー!!」

曲間のMCがあまりにも拙い(変態的にモジモジしている)ので、ついに見かねて、ボクと(別で観に来ていらした)大竹しのぶサンが急遽ステージに上がり、ダブルMC。

そこから、全員で舘野さんをサポートするライブが始まりました。
ここまで『お客さん参加型』のライブを観たのは初めてで、『お客さん参加型ライブ』どころか、『お客さんが参加しないと、いとも簡単に潰れるライブ』です。

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『たよりない』が生む感動
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「お客さんが参加しないと潰れる」という非常事態を、お客さん全員が共有することによって、客席の温度がグッとあがります。

長年この世界にいますが、こんな光景を目の当たりにしたのは初めてで、技術があることによって生まれる感動もあれば、技術が無いことによって生まれる感動もあったのです。

これがまた、SNSを手に入れて国民総発信者になった現代と相性がイイ!

その後、『舘野さんのギター発表会』は『おとぎ町の素敵な音楽会』に名前を変え、『ステージには、たよりない人間しか立てない』というルールで、幾度となく開催してきました。
熱唱するも、マイクの位置が遠すぎた為、お客さんで観に来ていたブロードキャスト房野君にマイクの位置を合わせてもらっている舘野氏。

僕や、僕のまわりのスタッフさんや、SHOWROOMの前田さんといった『たよりない人間』が順番にステージに上がっていき、得意でもない音楽を一生懸命披露します。
演奏中、途中で歌うことを止め、凄まじい色気でジッと客席を見る(ただただ歌詞を忘れているだけの)西野氏

大トリは勿論、永遠の素人『舘野さん』が率いる失敗型ロックンロールバンドTHE タテノサンズ (#だせえ!)
タテノサンズの時間帯なのに、歌いたい人がステージに上がって歌っている奇妙な光景。これ、カラオケじゃね?

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そして『東京キネマ倶楽部』へ
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細々とスタートした『おとぎ町の素敵な音楽会』ですが、回を重ねる毎に何故かお客さんが増え続け、今年の8月30日に、ついに我らが『東京キネマ倶楽部』で開催することが決定しました。

毎年、『天才万博』でお世話になっている『東京キネマ倶楽部』。過去には10日間連続で『西野亮廣独演会』も開催した。

舘野さんは緊張で機能しないし、
SHOWROOM前田さん山口トンボ君は「青春パンクバンドを結成する!」とか言っているし、
ウチのマネージャーの須藤くんはオープニングアクトで松山千春を熱唱するし、
ホームレス小谷は客席で呑んだくれているし、とにもかくにも散々な内容なので、お客様が頑張るしかありません。


8月30日は是非、『東京キネマ倶楽部』まで頑張りに来てください。
お願いです、助けてください。

チケットは→コチラから



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