海外に行くと、いとも簡単に世界観が変わる男


『購入型のクラウドファンディング』は、「支援」じゃなくて、いっそのこと「予約販売」と言った方がいいんじゃないの?


皆さん、こんにちは。
「自分探しの旅」とか何とか言っちゃってインドとかに行くタイプの意識高い系日本代表の西野です。

今回は、タイの田舎町に4日ほど滞在しました(今日はベトナム・ホーチミンに移動します)。

今回、西野が訪れたタイの漁村

自分が海外を訪れる時は、今回のように絵本のロケハンである場合がほとんどです。

事前に下調べをして行きますが、正確な『情報』『風土』『伝統』は現地に来てみないと分かりません。
良かれと思って“やっていたこと”が相手を苦しめている場合もありますし、
良かれと思って“やめていたこと”が相手を苦しめている場合もあります。

さて。

先日、『スラム街の暮らしを肌で感じたい!』というクラウドファンディングが大炎上。
あまりの燃えっぷりに、企画が中止に追い込まれるという騒ぎがありました。

クラウドファンディングでお金を集めて、スラム街の生活を肌で感じ、そこで得たものを、スラム街の子供達や、自分の人生に還元しようという企画です。

この企画に対しての批判は、だいたい以下の三つ。

「現地の人に寄り添っていない!」
「死ぬ可能性がある!」
「自分の金で行け!」

クラウドファンディングでは、よく見かける批判ですね。
この批判についての僕の意見は、この方が先に言ってくださっているので、コチラの記事を、ご一読ください(僕は素晴らしい記事だと思います)↓


んでもって、僕から一つだけ言わせてください。
『自分の金で行け!』
という批判についてです。

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どこからどこまでが『自分の金』なの?
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「自分で働いて稼いだ金で行け!」という声が、本当にたくさん上がっていたので、まずは、働いていただいたお金は『自分の金』と定義して話を進めたいと思います。

カラオケのアルバイトで得た給料は『自分の金』だし、
自分の知識をメルマガやnoteに綴って得たお金は『自分の金』だし、
芸人がテレビやライブでエピソードを語って得たギャラも『自分の金』としちゃって、問題ありませんよね?

では、『予約販売』はどうでしょう?

事前にお金を集めて、そのお金を使って、商品やサービスを提供することで、在庫等のロスを無くす『予約販売』

こちらも、「サービスを提供してから、お金をいただく」から「先にお金をいただいてから、サービスを提供ふる」という順番の前後はあれど、提供した商品やサービスの対価としてお金を受け取っているので、『自分のお金』と言えそうです。 

ちなみに、ライブやコンサートも『予約販売』です。
「チケットぴあ」等を利用して、先にお金を回収して、そのお金で出演者さんのギャラやスタッフさんのギャラが支払われ、数ヵ月後にお客様にサービス(ライブ)が提供されます。

この時点で、
「予約販売で商品(サービス)を売って生活していくなんて、許せない!!自分で稼いで生きろ!!」
と言う方がいらっしゃるのであれば、詳しく話を聞かせてください。
2秒後には恥をかくと思います。

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今回、大学生がクラウドファンディングで集めたお金は『自分の金』ではなかったのか?
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今日のポイントはココです。

押さえておかなければならないのは、今回のクラウドファンディングは『購入型』であったということ。

支援額に応じたリターン(見返り)がキチンと用意されています。
たとえば、コチラです。




それぞれのリターンを短くまとめると…

①『今回の旅で得た情報を文章に起こして販売』
②『今回のエピソードが生で聞ける場を販売』

……いや、これ、

メルマガやnoteで文章を販売することや、芸人がトークライブのチケットを販売することと何が違うんですか?

どっちも、情報(体験談)を売っているし、どっちも予約販売じゃね?

ちなみに、上の二枚の写真は、コチラのツイートから引用させていただきました↓

ここで、皆さんの気持ちを代弁させていただきます。

「失礼だと思っていたら、支援してねーよ」

憶測で結論するSNS風紀委員に呆れている西野氏


このことを5年以上前から言い続けているのですが、なぜ、『チケットぴあ』を使って集めたお金は『自分の金』になって、『購入型のクラウドファンディング』を使って集めたお金が『他人の金』になるのでしょうか?

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『支援』という単語が混乱させている
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考えられる原因は2つです。

①『寄付型のクラウドファンディング』と『購入型のクラウドファンディング』の区別が“壊滅的に”ついていない。

②日本だと『被災地支援』のイメージが強すぎて、「支援は他人に使わなければいけない」と信じきっている。

20秒いただければ理詰めで論破することは可能ですが、さきほどのツイートのように、そこに悪気はなく、『正義を理由に堂々と間違った意見を言う人』を論破しても、怒りを買うだけで問題解決には向かいません。

以前、俳優の山田孝之さん(ファンです♥️)が自身のブランドの商品を『購入型のクラウドファンディング』を使って予約販売をしたところ…

「芸能人で金を持っているんだから、自分の金でやれや!」
「ひどい!そんな人だとは思わなかった!」

という批判が起こり、炎上。
異次元レベルの批判に開いた口が塞がりませんでした(まだ開いてます)。

開いた口が塞がっていない西野氏の現在の様子

今回の「自分の金で行け!」という炎上にしてもそうですが、クラウドファンディングに対する理解は、「この5年間で“思っていたよりも”進まなかった」というのが正直な感想です。

もはや、「説明しても無駄」の境地に差し掛かっており、とはいえクラウドファンディングは可能性に溢れた文化なので諦めたくはありません。

今回の大学生の件にしても、山田孝之さんの件にしても、きっと『予約販売』と謳っていれば、少なくとも「自分の金でやれや!」という批判は起こっていなかったと思います。

なので、
『購入型のクラウドファンディング』は、内容の変更はしなくていいので、「支援」じゃなくて「予約販売」と言った方が、批判シロが無くなって(皆が納得して)話が前に進むんじゃないの?
というのが今日の結論です。

ちなみに、クラウドファンディングで集まったお金は『収入』になるので、『税金』が支払われていることをお忘れなく(*^^*)
(※国や法律は「クラウドファンディングを『仕事』として扱っているよ」という話です)


というわけで、今日はこれからベトナム(ホーチミン)に向かうのですが、予約していたタクシーが1時間ほど来なくて、代わりに目の前に巨大なイノシシが現れて震え上がっている西野でした。
タクシーじゃなくて、巨大イノシシが来た。


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