今でも月に30ステージは漫才の舞台(寄席)に立っています。
時間があれば地方営業にも行っています。
地方営業ともなると移動を含めて丸1日奪われてしまうのですが、それでも続けている1番の理由は「好きだから」です。
たぶんウチのコンビはそこそこ仲の良い方で(ときどき二人で呑みに行きます)、これはもう1ミリの嘘もパフォーマンスもなく、僕は相方の梶原君と漫才をしている時間が好きです。
ウケている梶原君を見るのも、スベり倒している梶原君を見るのも好きです。
僕は隣で基本ヘラヘラ笑っているだけで、助けたり、助けなかったりしています。
その時間がまとめて丸ごと好きで、これがありがたいことに年々好きになっていっているので、このままジジイ漫才師まで突っ走るつもりです。
そして、今日は寄席や営業を続けている“2番目の理由”について、お話ししたいと思います。
漫才の殿堂『なんばグランド花月』には月に1週間ほど立たせてもらっているのですが、その空間に集まってくるお客さんは僕らのファンではなく、お笑いが好きな人達だったり、大阪の観光客だったりします。
チビッ子からお爺ちゃんお婆ちゃんまで年齢層も幅広く、場合によってはお客さんの平均年齢が70代の時もあります(マジです)。
漫才ですから時事ネタを差し込んだりもするのですが、そこで痛感するのは「ネットで起きていることなんて誰も知らない」ということです。
1日中スマホにヘバリついていると、スマホの液晶画面の中で繰り広げられていることが世界の全てのように錯覚してしまいますが、残念ながら、このスマホ世界での共通言語はまったく通用しません。
「井の中の蛙大海を知らず」というヤツです。
リアルに世界(海外)とアクセスしているのはスマホの方なので、寄席に来られるようなお客さんを「井の中の蛙」と思いがちですが、どっこい、日本の人口ピラミッドで一番盛り上がっているのがアラセブン(70歳前後)です。
日本の場合の『大海』は、スマホを駆使していない世代を指すわけですね。
アメリカに仕掛ける時は英語を使い、
スペインに仕掛ける時はスペイン語を使うように、
日本の『大海』に仕掛ける時は、その地の言葉を選ばなければなりません。
「フェーズ」「レイヤー」「アップデート」…この辺の単語は全滅です。
致命的なのは、この辺の単語が通用しないということを知らずに使ってしまうことです。
伝わらないと意味がないので自分がビジネス書を書くときは、この辺の単語を極力外すように心掛けているのですが、寄席や地方営業(キングコング西野に興味がない人達が集まっている空間)から離れてしまうと、この辺りのバランスを欠いてしまうので、寄席や地方営業をとても大切にしています。
余談ですが、オンラインサロンの値段設定も、とても大切だと思います。
もちろんオンラインサロンごとに目的は変わってくるのですが、僕はクリエイターや起業家(←僕のオンラインサロンはこの層が一番厚い)はもちろんのこと、自分の活動内容的にも「『主婦』が継続できるサロンでないと意味がない」と考え、今の価格に設定しています。
先日サロン内に投稿した記事に対して、主婦の方から「プラットフォームって何ですか?」というコメントをいただき、「ハッ!」としたばかり。
自分のツメの甘さを知った次第であります。
各世代の単語や道徳を把握した上で、ブッちぎりたいと思うのでありました。
【オンラインサロン】
毎日、議論&実験や、主婦とのじゃれあいを繰り返しています。
興味がある方は→『西野亮廣エンタメ研究所』