えんとつ町は煙突だらけ。
そこかしこから煙が上がり、頭の上はモックモク。
黒い煙でモックモク。
朝から晩までモックモク。

えんとつ町に住む人は、青い空を知りやしない。
輝く星を知りやしない。

そんな中、煙突掃除屋の少年とゴミ人間は上を見た。
「あの黒い煙の向こうに世界が広がっているのでは?」と口にした。

途端、町の皆からの攻撃に遭ってしまう。
「星なんてあるわけないじゃないか」
「いつまで上を見てるんだよ」
「空気を読めよ。イタイ奴だな」

えんとつ町は、
夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる現代社会を描いた。
今まさに僕らの身の回りで展開されている世界だ。

上を見る人間は往々にして村八分に遭う。
どこかで折り合いをつけて上を見ることを捨てた人達が、「俺達も捨てたんだから、お前も早く捨てろよ」と集団リンチを始める。

学校や会社といったあらゆるコミュニティーで、そんなことが繰り返されている。
僕にいたっては日本中から、その目に遭った。

攻撃している側には自覚がなく、3日も経てば忘れる始末。
だけど、攻撃された側にはキチンと傷が残っている。 
 
場合によっては癒えない傷もある。


そんな人達への応援歌として、『えんとつ町のプペル』という物語を書いた。
ストーリーを書き上げたのは6~7年前だ。
「傑作が書けました!」と担当編集の袖山さんに電話をしたことを今でも鮮明に覚えている。

一生懸命作って、一生懸命届けて、今も一生懸命届け続けている。
ついにはコロンビアまで来た。

コロンビアは今、27時。

今日は『えんとつ町のプペル』のコロンビア版の出版記念トークショーが2回あった。

本当に、たくさんの人が足を運んでくださった。
列は会場の外まで伸びていた。



『えんとつ町のプペル』で、上を見続け、星を信じ続けた少年とゴミ人間は、最後に星に遭遇し、物語はハッピーエンドを迎える。
「信じぬけば、夢は叶う」という、まったく教訓めいたこのストーリーを、
出来すぎた作り話にはしたくなくて、
そこに説得力を持たせたくて、
まずは僕自身がそのことを証明しなくちゃいけないと思って、誰に何を言われようと歩みを止めず、エンヤコラと地球の裏側まで来た。

あの日あの時、『えんとつ町のプペル』という作品で応援することを決めた人達や、
今まさに村八分に遭っているあなたに対して、
『えんとつ町のプペル』という作品や、
僕の活動は、
支えになれているのかな?
「大丈夫。いけるよ」と言えているかな?


できれば、そこは言い切りたいので、
その為に僕は、もっともっと結果を出さなきゃいけない。
そうすれば、もう少しだけ挑戦が許される世界になるんじゃないか…と勝手に理由をこじつけて、また明日からも頑張ります。
あなたも頑張って。

たくさん行動して、たくさん痛い目に遭って、常識に屈しない身体を手に入れてください。
きっと面白い景色が待っていると思う。






コロンビア遠征は本日をもって全行程終了。
明日の昼の便で日本に帰ります。
帰国後すぐに、チームラボの猪子さんと対談番組の収録。
収録終わりにソッコーで長崎へ。
日本をウロチョロしてますので、また、相手をしてやってください。

頑張ろうね。



西野亮廣




【毎日本気で実験を繰り返しています】


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