この世界に飛び込んだ時、「○○さんに気に入られなきゃ、テレビに出れない」とか「○○さんから嫌われたら、この世界で生きていけない」みたいな話がザラにあった。

半分は本当で、半分は結果を出せない自分への言い訳だと思う。
「自分は(実力はあるのに)、○○さんにハマっていないから、出れないんだ」という言い訳。

「半分は本当」についてなんだけれど、上の人間が自分にとって都合の良い陣を敷いて既得権を守るのは当然だと思うし、下の人間は、それを踏まえて戦うべきだと思う。
下の人間(若者)が、運動量が落ちた70歳の殿様に対して「城から出てきて俺と一騎討ちをしろよ、卑怯だぞ!」と叫ぶのは、あまりにも自分(若者)に都合の良い話だ。

なので、「○○さんに気に入られなきゃ、テレビに出れない」みたいな風潮に対して僕は否定的に見ていない。
「世の中はそういうもんでしょ」と思っている。

まぁ、そんな世界に生きているわけだけれど、お気づきかもしれないが、残念なことにキングコング西野は“ゴマをする”のが極端に下手くそだ。
「○○さんにハマらないといけない」と言われても、そもそも○○さんを尊敬していなかったら、なんとしてでもハマりたくないのがキングコング西野だ。
こいつは大変マズイ。

そのひとつが『ひな壇』だと思う。

そもそも得意じゃないし、得意じゃないので楽しめないから、ひな壇に出ることを放棄したら、業界関係者から「西野はチョーシにのってる」の大合唱。
発信力のある人達がこぞって声を上げたので、それがそのまま世間に拡がって、日本中から叩かれた。

おそらくこういったことは、芸能界だけじゃなくて、学校や会社でもザラにあって、
降りると叩かれて、今よりも更にマズイ状況になるから、苦手なゲームから降りられずに苦しんでいる人が今もたくさんいると思う。

当時は、「自分が苦手なことを辞めただけなのに、どうして叩かれなきゃいけないかなぁ?」と疑問に思ったし、「なるほど。タレントさんって、こうやって干されて消えていくんだなぁ」と思った。

僕がツイていた(ラッキーだった)のは、その時、目の前にインターネットがあったことだ。
そこにSNSがあったことだ。

○○さんを経由しなくても、お客さんにダイレクトに声を届けられる時代になり、クラウドファンディングによって、ついには資金調達まで民主化され、スポンサーにハマらなくても大きな活動できるようになった。

スポンサーにハマらなくてもいいので、これまでのタレントの絶対指針であった「好感度」をヤンワリ無視した活動が可能になったのは本当に大きい。
純粋に「面白いこと」だけを追求して生きていけるようになった。

「堀を埋める」とか「城を攻め落とす」という戦いではなくて、城の外からダイレクトに天守閣に大砲を放りこめるようになった。
これは、これまでの芸能史で最も大きなゲームチェンジだと思う。

時代が変わっちゃったので、戦い方も大きく変えて、「一人でも多くの人に会う」と決めた。

昨日は宮城県(古川)での公演後、地元の人達と集まって、映画『えんとつ町のプペル』の宣伝会議in宮城を開催。

映画『えんとつ町のプペル』は全都道府県で宣伝チームを作っていて(※詳しくはFacebook『えんとつ町のプペル ○○(あなたがお住まい県名)』で検索してね)、仕事で地方に行けば、なるべく泊まって、その夜に地元の人達と集まって、「あーでもない、こーでもない」と意見を出し合っている。


明日は『えんとつ町のプペル 光る絵本展』で岡山県(倉敷)に行く。
夜は、やっぱり岡山の人達と集まって、「あーでもない、こーでもない」と交流する。

参加される方はコチラ↓

面白い時代になってきた。
みんなのエンタメを、みんなで作るのだ。