ネタになるほどの貧乏をした経験もなく、
極端にチビというわけでもなく、
下積み時代が長かったわけでもない。
デビュー前に売れて、1年目で冠番組を持つ苦労はなかなか大変なものがあったのだけれど(梶原はストレスで失踪した)、そんな苦労は誰にも共感されないし、話したところで「自慢ですか?」と返されて終わりだ。

共感される苦労(コンプレックス)を持たずに世に出た人間は脆弱だ。
応援される理由が極端に少ない。
誰の代弁者にもなっていないのだ。

こんな状態で世に出ても、長くは続かないことぐらい二十歳の頃には分かっていた。
慌てて(皆に共感されるような)コンプレックスを探したけれど、皆に共感されるようなコンプレックスは時代や環境や運が決定するものであって、DIYで作り上げるものではない。

20代前半は「まいっちゃったなぁ」と思いながら駆け抜けた。

状況が一変したのは、25歳。
表向きには仕事が軌道に乗った頃、個人的にはもろもろ限界を感じていて、いろんな仕事を終わらせて、裸一貫でテレビの外に飛び出してみた。
「ひな壇」に出ないことを決めたのも、絵本を描き始めたのも、その時だ。

そこからは、もう散々。
やることなすこと日本中から叩かれた。
他人に迷惑をかけていなかろうが関係ない。
自分の意思で、自分の人生を歩み始めると、周りは「イタイ」「空気を読め」の大合唱。

ここは、声を上げれば村八分に遭う国だ。
皆がストレスを抱えながら生きているので、そのサイクルから抜け出そうとすると、「ズルイぞ」と足を引っ張られる。

それでも僕にはやりたいことがあるし、伝えたいことがあるので、日本中から批判を浴びながらも、構わず前に進んでいたら、ある時、「ありがとう」という言葉をいただいた。

相手は、
僕と同じように声をあげ、
僕と同じように村八分に遭っている人だった。

日本中から叩かれながらもグイグイ進む僕の活動が、気がつけば、僕と同じように村八分に遭っている人達の支えになっていたのだ。

それは、初めて誰かの「代弁者」になれた瞬間だった。

その頃からかな。
「挑戦する人」を徹底的に肯定して、めいっぱい応援するようになった。
僕が書く本は「挑戦する人」への手紙で、毎度毎度、「頑張れ」「強くなれ」と言っている。

『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』を書くときに、スタッフからは「広告戦略の本なんて、読んでもらえますかね?」と心配された。
「対象が狭すぎる」と言うのだ。

スタッフが言っていることは、よく分かる。

ただ、僕がエールを送るのは、「お金」と「広告」のことを把握しておかないと死んでしまう「挑戦する人」達だ。
僕と彼らの活動を具体的に止めてしまうのは、批判の声などではなく、「お金(活動費・生活費)」の問題と「広告(告知・集客)」の問題だ。

この問題が解けなくなった瞬間に、僕らは自分の挑戦の幕を閉じることになってしまう。

「お金と広告」の本を求めている人が少なかろうが何だろうが、僕がエールを贈る相手はその人達で、僕を支えてくれているのもその人達なので、その人達に向けて、書いた。
「フリーランスの戦場に向かうのなら、この武器と、この情報だけは持っていけ」と経験談を書いた。

結局、今日も長々と書いて、最後は自慢になってしまうのだけれど、『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』が、『読者が選ぶビジネス書グランプリ2018』の第1位(グランプリ)に選ばれた。


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狭い狭いターゲット…まるで隣に座っている友人に話しかけるように書いた一冊が、まさか、こんな大きな賞をいただけるなんて思っていなかった。

『革命のファンファーレ』を手にとってくださった皆様、そして今回、「投票」という形で意思を表明してくださった皆様に心から感謝します。



今回、あらためて学んだのは、「自分が誰を肯定する人間なのかを明確にすること」の重要性だ。
自己プロデュースは往々にして読み誤るけれど、自分が誰を肯定して、自分の活動が誰の精神的支えになるのかを明らかにすると、迷いが減るし、なにより頑張れる。

引き続き「挑戦する人」を応援していきたいと思います。
お互い頑張りましょう。







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