今回紹介する本は、
綾崎隼先生の
「盤上に君はもういない」です。
女でも対等に戦えると、わたしが証明してみせる。
表紙ポイント
この少女はどちらか。
初めて見たとき、
この表紙の少女が飛鳥か夕妃か悩みました。
読後はどちらなのかわかります。
タイトル「盤上に君はもういない」
の意味も読む前に考えていたものとは、
個人的には結構異なりました。
あらすじ
世界初の女性棋士を目前とした
名門生まれの天才 飛鳥
26歳の足切りが迫る 夕妃
激闘のリーグ戦を勝ち抜いた初の女性棋士は、
世界中が期待を寄せるデビュー戦に、
やってくることはなかったーーー
感想
読み応えのある、満足感たっぷりの一冊でした。
前半部は、誰が初の女性棋士となるのか。
後半部は、彼女はどうして消えたのか。
を、ベースとした多重視点の物語です。
私は名門生まれの天才飛鳥ちゃんを応援していました。
前向きで、力強い天才。
だけれど、誰よりも負けてきた苦労を知る若人。
勝って欲しい
君が女性初の棋士に相応しい。
そう思わせる魅力的な登場人物でした。
以降ネタバレあります。
しかし、勝者は病弱な26歳 夕妃。
リーグ戦では天才少年竹本陵太に勝利した本物の実力者です。
（この竹本陵太が特に推し登場人物です！！）
なんというかこう、なんでもできる天才なのに
愛されて生きてる天才なのに
こうちょっと残念な感じが、笑
人を見る目は確かなんですけどね。
気を取り直して、
後半は、なぜ棋士の座を手に入れた千桜夕妃は、
デビュー戦にやってこなかったのか。
を争点として物語が進行します。
様々な登場人物を介して、
千咲夕妃がどんな人物かを追っていくのですが
各々の背景がこれまた魅力的で、
結構な年月を重ねるので、
飛鳥ちゃんの成長も見守れました。
結末まで読み進めて、
タイトルの意味を誤解していたことに気がつきました。
「君はもういない」というくらいですから
千桜夕妃は病気で亡くなると思っていたのですが、
実際な「いない」と表現されるのは別の人物でしたね。
多重視点ですが主人公は飛鳥だと思っていたので、
飛鳥から見て「もういない」の表現だと思っていました。
しかし、
主人公千桜夕妃から見て「あなたはもういない」
がタイトルでした。
初の綾崎先生作品でしたが、
家に「君を描けば嘘になる」を積んでいるので
早く読んでみようと思います！