今回紹介する本は、
香月夕花先生の
「やわらかな足で人魚は」です。
この愛は、もうどこにも行けやしない。
表紙ポイント
もちろん表題作「柔らかな足で人魚は」を表す表紙だと思います。
だけれど、読後は「水に立つ人」のようにも見える表紙でした。
あらすじ
オール讀物新人賞を受賞された「水に立つ人」を含む、5編の短編集。
○逃げてゆく緑の男
○水風船の割れる朝に
○彼女の海に溺れる
○水に立つ人
○やわらかな足で人魚は
感想
表題作ももちろん好きな話でしたが、
個人的には「水に立つ人」がよかったです。
(おそらく診断を受けていないけれど軽度の障害を抱える)カメラマンと心を開けない教師。
その出会いは彼女にとって、心を開くことのできるチャンスだった。
変わることができるかも、
そう思った矢先に彼は消えてしまう。
もしも、彼が生きていたら。
ゆらゆらと揺れる不安定な水面立つ人でなければ。
たぶん平穏なまま、この物語が続いていたとしたら
彼らは上手く行かなかったのではないかと
私は思いました。
先生は生徒との距離を測りかねるような不器用さに苦しむ一方で、与えられた仕事はきっちり期日にこなす真面目さがあります。
しかし、カメラマンの彼は自由奔放。(写真屋の店主には恩を感じており、しっかりと仕事はこなす一面もありますが)いつかきっと旅に出てしまい帰ってこなくなりそうな雰囲気を漂わせています。
そのため、
互いがしがらみとなるのではないかと。。
皆さんはどう感じましたか?