初心 | 品川 西村柳一郎

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「初心忘るべからず」
 
 これは、世阿弥の『花鏡』にでてくる言葉です。皆さんも一度は聞いたことがあるでしょう。この言葉はよく、「はじめの志を忘れてはならない」という意味で使われますが、世阿弥が言った「初心忘るべからず」は、もう少し複雑です。
『花鏡』では、「初心忘るべからず」の前に「是非」「時々」「老後」という3種類の言葉がつくのです。
 
 世阿弥は、若い時の初心、人生の時々の初心、そして老後の初心があると言っており、それらを忘れてはならないと伝えています。そして、周りに褒め称えられ、有頂天になり、道を極めたと思ったときこそ、改めて自分の未熟さに気付き、周りの先輩や師匠に質問したりして自分を磨き上げていかなければ、「まことの花」にはならないと言っているのです。そこで満足して何もしなければ、自分自身の成長もそこで止まってしまうからです。
 
 さて、「初心」には以下のような意味もあるという説があります。
 世阿弥の言う「初心」とは「始めた頃の気持ちや志」すなわち「初志」ではなく、「芸(自分)の未熟さ」を指すということです。初心者の頃の未熟さを、それぞれの時期に思い出すことにより、あの頃には戻りたくないと思うことでさらに精進できると彼は説いているというのです。そして、若い頃の未熟な芸(自分)を忘れなければ、そこから向上した今の芸(自分)も正しく認識できるのだとしています。
 
 「初心忘るべからず」もなかなか奥が深いですね。このことからしても、常に向上することを目指していく大切さが分かります。