「記憶できるかどうかは、記憶する事柄に、いかに多様にして数多い連想の網の目を作れるかにかかっている」
記憶の3つのポイントは①印象付け②反復③連想です。
人は最初の8時間にその後の30日間よりも多くの量を忘れてしまいます。逆に言えば、8時間覚えていれば、その後はある程度、記憶に残るということです。はじめの8時間で忘れないためにはどうすればよいか。最も有効的なのが印象付けです。人は言葉や文字はすぐ忘れてしまいますが、絵や映像は記憶に残りやすいです。ですので、言葉や文字を絵や映像にしてしまうのです。イメージ化というやつですね。
そして、次に反復。スピーチなどは主に言葉で思いを伝えるわけですから、覚えたイメージを言葉にして、その言葉を覚えなければなりません。反復で大切なことは複数の器官を使うことです。文章を覚えようとするときに目で見るだけでは使っている器官は「目」の一つです。音読すればそれに「耳」が加わります。紙に書けばそれに「手」が加わります。記憶したことを文章に起こすなら「手」をつかい、スピーチにするなら「耳」を使うのがいいでしょう。また、反復作業は合間をとりながら行います。合間をとることによって脳が疲れません。また、反復作業の合間に連想の網の目を強化する仕事が忙しく行われます。そして、スピーチ直前にはもう一度反復し、記憶を新たにしておくとよいでしょう。
最後に連想です。スピーチの時に「あれ、次の文は何だったかな」ということがよくあります。いくら反復を繰り返しても、スピーチ本番、頭が真っ白になって、文がとんでしまうということもありえるでしょう。そうならないためにも、文と文、要点と要点を連結させます。この連結はスピーチの内容と関係なくてもOKです。前の文の最後の言葉と次の文の最初の言葉を連結させるのです。イメージ連結法というものです。もし、スピーチの途中に次の文を忘れてしまったとしても、その直前の文の最後の言葉と次の文の最初の言葉が連結していれば再び思い出すことができます。
最後になりますが、記憶で重要なことは連想の網の目です。5つのことのうち、一つのことを忘れても、網の目が作られていれば、その一つを思い出すことができます。一つ一つを独立させて覚えているとそうはいきません。一つのことを必死に覚えようとするのではなく、複数のことと絡めて記憶することが大切なのですね。