「 戦争だってパーティーで決まるのよ。」

   「 そう、民主主義の国ですから、議会で戦争を決めるのでしょう。日本だと今でも 【 帝国議会】って言うお年寄りが居る位だから、アメリカでも議会をパーティーって言うのね。」

   「 間違えちゃうでしょう。アメリカでも議会は議会でパーティーとは違うのよ。

           大統領選でも上院議員の寄付を集めるのにもパーティーは使われるのね。日本ではパーティーで寄付を集めるのは禁止されてるから、何万円もの参加費用を名目にして資金集めをしてのね。

      政治の話に絡めたから誤解されたと思うのよ。

           パーティーの中には政治目的のパーティーが有るのも現実だけど、アメリカには

       【 井戸端会議は無いのよ 】

      不思議に思うでしょうが人種のるつぼですから、集まって話に興じるなんて出来ないのよ。早い話がマンハッタンだと何処へ行っても黒人がたむろしてるでしょう。其処には白人もメキシカンもジャパニーズも入って行けないのよ。

           逆に言うと白人と言っても国によって人種の違いがハッキリしてるから、どうしても同じ国の人達だけのパーティーに成るのね。

       確かに表立って何かか決まるのにパーティーが遣われるけど、其処には暗黙の決まりが有るのよ。」


   「 不思議なのね。日本でパーティーと言ったら政治家の集会しか無いのね。宗教の集まりでも結婚式やお葬式の集まりでも、パーティーとは違うのね。

       式が終わって解散するのでも、其処で懇意に成るって無いのね。

            少し話したいとか思っても、次回の約束を取るだけで終わっちゃうのね。

       慣れて来ると親しい馴染みを造ろうとしてもすっぽかされるのが暗黙の裡に格差の宣言に繋がるから、自然に表立っての挨拶しかし無く成るのね。

            判るでしょう。日本でパーティーを組んでも個人の意思とは別物に成るのね。」


    「 アメリカでも其れと似た様なパーティーは有るのよ。先に言った様に黒人だけで集まるのと同じで、週末と成ればアメリカ中で同国人たちのパーティーが数百万組も組まれてるのよ。」


   「 其れを今言われても、何と応えたら好いのかしら。」

   「 そうじゃ無いのよ。私たちパティ―したことが有ったかしら。

            根津で一緒に顔を合わせて暮らして居ても、意思が通じなくて独り蚊帳の外に置かれた事が有ったかしら。

       そうなのよ。銀座に行きたいとも旅行したいとも、話し合った事は無かったでしょう。

       何処で何時、話し合ったのかって、アメリカ人の心を持ってたマリーだって、特に話し合わなくても12人から弾き出された覚えは無かったのよ。

            12人の女同志のヤヤコシサの中でも、どうして気が合って来たのかしら。歳の差を言ったら姉妹と言うよりも母と娘の違いが有った筈なのね。其れが何となく日本流の合意が出来て来たのが今までだったのね。

        今に成って楠さんと心を通じ合うのって、今までがヘンだったのかしら。違うと思うのよ。お互いに判り合ってる事は多いのに、今は大金が絡んで来てるのね。すると此のお金をドウ遣うのかに―――――」


    「 待ってよ、楠は其れとは違う思いを持ってるのよ。

            娘たちとの歳の差を言うから、楠が何を思って来たのかを言うわ。歳の差なんか考えないで売春して来たし、彼女たちが十文字に行けば、根津の今日を整えるので時間が消えて行ってたのよ。

      判るかしら。歳の差を想うよりも明日の12人やら明後日の12人しか考えて来なかったのよ。

      一つには現実に迫られてたのね。10人は同じ線に並んでたのよ。

            青森を出てから好いも悪いも何も無かったのね。一緒に列車に乗って一緒に12歳を過ごすしか無かったのよ。

            そうなのよ。現実に押しつぶされてたのでは無かったのね。独りポツンと置かれて居た楠も、同じ青森の悲惨な暮らしの中から仲間に成ったのね。

       12歳の無鉄砲と言うか、

            腰の痛みも病気も死も明日さえも考えない12歳の仲間に入ったのよ。

        其れが此れまでの現実だったのよ。考えて御覧なさい。マリーだって10人の仲間に組み込まれちゃったのよ。

        其れが今、思い掛けない大金を手にしたでしょう。今日しか考えない世界から飛び出してズート先まで考える様に成ったんですもの。混乱してるのを判り合うのが先でしょう。」

        図星でしたのよ。今日の処はワインに溺れるのに決めましたのよ。