「 日本に来てお勉強に成った事が二つ有るのよ。その一つなんですけど、功がお金の匂いに敏感だって事なのよ。」
「 あら、楠だってお金には飛び付きますのよ。女は男の人と違ってお金の種類なんか選ばないのよ。」
「 違うのよ。其れを言ってるのでは無いのよ。
お金にシビアなのはアメリカの方が徹底してるのよ。何を遣るのにも先ずお金なのよ。芸術だってお金なの。判り易く言うと音楽だって物に成ると思えば金が飛び付いて来るのよ。
ミュージカルが其の典型だって言われてるのね。ヨーロッパのオペラには到底及ばないから、軽い音楽にダンスを付けたって言われてるのね。其んなの理屈付けなのね。
営業―――つまり興行を打ち上げても人が呼べると成ればスポンサーが付いただけなのよ。
お金の匂いに敏感なのはアメリカの方が徹底してるかも知れないのよ。」
「 でしたら功の何処を見習おうって言うのよ。」
「 彼の特徴は、博打の胴元を作ったのでは無くて、其の " かすり "を育てて大きくして儲けてるのよ。
ラスベガスはアメリカに住み着いてたドイツ人が、リーガンバンクの資本で博打場を作ったと言われてるのね。其れが上手く行くと見たらアメリカの資本がどっとベガスに押し寄せたのね。
其処までだったら誰れでも遣るけど、功は博打場を育てて―――人気が出る様に競馬を娯楽に持ち上げて競馬を面白くさせて、中央競馬会や農林省にも儲けさせたのよ。其の上前を撥ねるのでは無くて 別口の " ノミ屋ってかすりで "懐を肥やしてるのね。此れだったら潰されないのを知ってるのね。」
「 彼の手口は誰れでも知ってるのよ。其れが犯罪だって言えるのかしら。」
「 其処なのよ。スーパーで " 万引き "を遣れば、お店は損害に成るでしょう。彼のやり方はお店にも儲けが出る様な " 万引き "だから訴えられないのよ。800億もの利益隠しって重罪なのよ。影のシャドーバンクにも儲けさせてるから、国税庁だって見ぬふりをしてるのよ。
シャドーバンクもそろそろヤバく成ったから、彼の資金を引き受け無くなったのよ。だからマリーを呼んでシャドーバンクを換え様としたのね。
バレたらマリーが罪を被る様に仕向けたのよ。」
今日の処は此れで話すのを打ち切ったのよ。だって其うでしょう。楠さんを心から信頼してるのとは違うんですもの。功の懐目当てで繋がって居るのでしたらバイバイするに限りますのよ。お金の匂いに集るのは、功も楠さんも同じなんですのよ。
只、珠樹が関係してた女将さんがしゃしゃり出て来たでしょう。其のお人を囲って置くのに根津を老人ホームにして、楠さんに管理させ様って思ってますのよ。功と組ませてね。