「 じゃあ、神田市場の買春は、功が仕組んだのじゃ無かったのね。」
「 女衒から逃げ出したけど、初音町に連れて来て結局功に相談するより無かったのよ。青森会のリーダーのノミ屋を手伝ってたから、かなりのお金は溜めてた筈なのよ。其れを宛てにしたのが間違ってたのね。何しろ青森しか知らない田舎娘でしょう。東京に慣れさせるって、オーストラリアインターナショナルスクールの黄色いバスを持って来て、神保町にお買い物に行ったりしてたのよ。」
「 其れは聞いてるわ。大使館もマリーがバックに居ると思うから、功の勝っ手を許してたのよ。あの男は利用できる物なら使いこなす特技を持ってるのよ。やっと気が着いたのね。ウマウマと乗せられてたのにね。
彼が最初の男だったでしょう。新婚気取りでお天道様が黄色く見えるまで遣り捲くったのよ。其の続きで除隊してから持ってたお金で黒人を忘れるセックスに落ち込んだのね。
〆はアボリジニだったわ。功に逃げられたからまんまと罠に嵌っちゃったのよ。貴女が売春の全部を話して呉れるのならマリーも隠さずに話すわ。」
で、アボリジニに遊ばれたのを隠さずって少しはたくさんの脚色を混ぜてね。
違うのよ。10人の12歳の買春なんか聞いても仕方が無いでしょう。カナダの半年で大凡の見当は着いてたのよ。
マリーのセックスの終点がアボリジニだったのね。彼らの部落は金鉱の廃坑後だったのよ。今ではサンゴの生殖地で観光地と成ってるQLD州のケインズの山の中だったのよ。
サラブレットを日本に運んだのに見倣って、野生動物商を手掛けようとしてアボリジニをガイドに雇ったのが失敗だったのよ。功はさっさと逃げ出したでしょう。途端にアボリジニは牙を剥いて、金を掘り尽した廃坑に閉じ込められたのよ。其れから毎日30人の男たちに玩具にされたのよ。
悲惨も何も必死に生き延びる事しか考えなかったのよ。小さな男たちですから、セックスだって小さいのね。でも好い経験に成ったのよ。朝から晩まで縛られての強姦でしょう。半年で逃げ出せたけど、売春とは違うセックスの最悪の形を経験したのよ。
ですから楠さんの買春なんかに驚かないわ。」
「 其うだったのね。聞いてはいけない事なのね。」
「 違うのよ。経験って生きてくのに必要なのね。其れまでの男と女の関係を綺麗に作ろうとしてたのよ。其れが現実とは大違いなのを徹底的に教えられたのよ。
売春とは違うけど、やっぱり性の一つの形には違いないのね。男を甘く見てたけど、男の性の中には暴力も含まれてるのを現実に教えられたのよ。全部が其うだとは言わないわ。でも男の性の捌け口には、お金が絡んでるか暴力が絡んでるのかが多いのね。
マリーの経験を話したんですから、娘たちの買春も含めて楠さんの買春を教えて欲しいのよ。其れが此れからの皆んなの生き方に繋がると思うのよ。」
やっと真実を話す気に成ったのね。
マリーが言いたかったのは、セックスを表の面からだけ見て居たら、其れだけに嵌って生きてく道を間違えると思うのよ。女の性は夫々に差が有っても経験と同時に性の裏表も、男が暴力で上に立とうとしているのも知って来るでしょうね。
でも男の性は交わり方を納得した上でか、お金や暴力による一方的な快楽を求める物かによって変わって来るのよ。功との新婚時代から始まって、アメリカ南部でお金で逆売春したセックスと、締めくくりに暴力のセックスを教えられたのよ。楠さんは売春をドウ思ってるのか知らないけど、少なくても納得の上でのセックスだったのでしょう。
其の全部を聞いて置かないと、此れからのお付き合いのもとからウソを作らねば成らないでしょう。少なくても功との関係ではね。