「 マネーロンダリンって脱税なんでしょう。」
「 うーん、余丁のケースは将に脱税だな。一般には其うとも言い切れないのさ。金利が少しでも高いところを狙って金を移すのが多いのさ。おそらくマリーは其の手を使ってる筈なんだ。だから金を動かすだけでは犯罪には成らないのさ。俺が調べた範囲では、余丁名義の預金にして有るらしいな。一概には言えないが余丁本人にしか動かせないとしたら、日本に釘付けに成っているのでは死に金と同じだな。既に個人の財政力でもマリーと差が付いてる筈なんだ。
まあ、楽しみながら徐々に手を引くだろうが、日本と繋がって居て貰わないと何かと不便だろう。」
「 おかしいでしょう。貴男の銀行預金だったら此処に居ても引き出せるでしょう。其れ位は珠樹だって知ってますのよ。電信為替で送るのだって出来るでしょう。」
「 流石と褒めて置いても好いぞ。」
「 何よ、其のけなし様は。からかわないでチャンと教えてよ。」
「 済まんすまん、つい吹き出しそうに成っちゃっただろう。
マリーに渡したユダヤバンクのカードはドル預金なんだ。円やポンド預金は何かと面倒なのさ。ポンドだって引き出す限度額が決められてるから、銀行の窓口に行かなければ自由に引き出したり移したり出来ないのさ。
もっと複雑な預金の組み方も有るのさ。
まあ、マリーに聞いて見るのだな。」
「 うふっ、貴男のお得意なのは承知の助よ。マリーさんと組んで珠樹を焦らそうとしてるのね。
好いわ、娘が生まれたらお風呂に入れさせて挙げませんからね。」
「 参ったな、其の手で来るとはな。
じゃあ、少しだけ教えるさ。銀行に拠っては限度額を設定して、其れを超えたものは銀行預かりにする国も有るのさ。もっと特殊な方法を使ってる銀行も有るんだな。
口座の開設者しか開けない貸金庫制度を作って、其処に限度額を超えた預金はドル紙幣に換えて移す銀行も有るのさ。ていの好い封鎖なんだが、本人が来れないのを見越して預金を凍結して置くのさ。
判るだろう、お亡くなりに成ったら預金口座は国だけが動かせるのさ。全部国庫に入っちゃうから銀行としては手の打ち様が無いのさ。其れを見越して一部を凍結する契約を結んでおくのさ。マリーがどの手を使ったのかは判らないが、余丁ごときを手玉に取るのは簡単なのさ。」
「 其れでしたら功君を日本に釘付けしとけば好いのね。でも彼、オーストラリアの外交官特権を持ってるのよ。取り上げるのは出来ないし、マリーさんが地団太踏んだってオーストラリアが相手ではドウ仕様も無いでしょう。」
「 其処が余丁とマリーの違いに成って居るのさ。2年の同棲で目くらにされてたのを、其れからの男遍歴でチャンと学習してるんだな。
誰れでも一時の迷いは有るだろう。他人の性を言うのは拙いだろうが、俺も性を封印すれば溜ったエネルギーは体を逆流させるのを知ったのさ。育ちざかりの若者に良く有るだろう。顔中にきびだらけにしてボコボコの顔の奴がさ。オナニーでベッドの下をテッシュで埋めてもまだ治まらない小僧も居るのさ。
奴が其の部類に入る男だな。今は家政婦係の女性では満足せずに、柳橋の女将に嵌ってるらしいな。性の無駄遣いも程々にすれば好いのに、喜寿を過ぎた婆さんに手を出すとはな。既に頭は老年期に入ってるさ。今ではマリーにからかわれてるのも気が付かない体たらくなんだ。マリーが来たら聞いて見るんだな。乳母車が押せるかとな。」
判らないでしょうね。妻の珠樹にそれと無く言ってるのよ。
マリーは女を廃業してるってね。
見ててご覧なさい。弥太郎さんをパパにまで引き返えさせた珠樹のエネルギーをお忘れでは無いかしら。珠樹がその気に成ればマリーを妹に引き戻すくらい朝飯前のチャンチャラ可笑しい手品なんですのよ。
何の為に6年も、5人のベテランの姥桜さんのお相手をしてたとお思いかしら。男殺しと同じ手をマリーに使えるとは思いませんのよ。でもオマジナイって手も有りますのよ。
36が何よ。10年呼び戻せば28の弥太郎さんをキリキリ舞いさせるのも楽しいでしょう。まさか乳母車を引いてホテルに入れないでしょうからね。